優れたクルマを完成させても、それが必ずしもヒットするわけではない。今回はさまざまな魅力を持っていたにもかかわらず、商業的な成功を収められなかった悲運のモデルを紹介し、不発に終わった理由も考察していきたい。
文:長谷川 敦/写真:スズキ、日産、三菱自動車、BMW、CarWp.com
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●日産 スカイライン クロスオーバー
日産のスカイラインは言わずと知れた人気車だが、実はスカイラインの名を冠しながらもメジャーになれなかった不幸なモデルがある。
それが2009年に誕生したスカイライン クロスオーバーだ。
クロスオーバーの名称を使っていることからわかるように、スカイラインのSUVモデルであり、ベースになったのは12代目のスカイラインで、アメリカでインフィニティ EX35として発売されたものを日本に導入した。
見た目はまさに12代目スカイラインのクロスオーバーSUVだが、型式は12代目のV36型ではなくJ50型となっている。
エンジンは3.7リッターV6が搭載され、最高出力も330psと申し分なかった。
スカイライン クロスオーバーは新時代のアッパークラスクロスオーバーSUVとして期待され、車体の出来も十分に高かったものの、リーマンショックによる不況や東日本大震災などの影響もあって販売は伸びず、日本国内では2016年をもって販売が終了した。
北米をはじめとする海外では、その後もインフィニティブランドでの販売が続けられていて、一定以上の評価を獲得しているため、日本で売れなかったのは少々気の毒にも感じられる。
●いすゞ ビークロス
残念な結果に終わったクロスオーバーSUVをもう1台。
いすゞが1997年に発売したビークロスもまたクロスオーバーSUVの先駆けとなったモデルだが、大胆なボディデザインを採用するなど、他の何者にも似ていない個性を発揮していた。
いすゞは1993年に乗用車の生産からほぼ撤退していて、ビークロスはその立ち位置からして特異な存在だったのは間違いない。
シャシーはいすゞ製SUVの2代目ビッグホーンショートから流用し、さらには各メーカー製パーツを転用することによってコストを抑制することに成功していた。
外観こそ奇抜であったものの、この当時には珍しいスペシャリティカーのクロスオーバーSUVだったビークロスにはヒット車になれるだけの可能性があった。
だが、やはり登場する時代が早すぎたのか、市場に受け入れられることはなく、発売からわずか2年で日本国内での販売は打ち切られた。
本格的なクロスオーバーSUV人気の到来は近年のことであり、スカイライン クロスオーバーとビークロスは生まれてくる時代を間違えたと言わざるを得ない。
ダウンサイジング路線の旗手
●スズキ ツイン
市街地特化型のクルマ(シティコミューター)には一定の需要があるといわれていて、実際にそうした用途のモデルも販売されている。
ここで紹介するスズキの超コンパクト軽自動車・ツイン(2003年)もそうしたシティコミューターの1台だ。
ツインを見て最初に驚かされるのがその短さだ。
2シーターの全長は2735mmで、国産軽自動車としては最短であること加えて市販型軽自動車では初となるハイブリッド車も設定されていた。
これほどコンパクトな車体にハイブリッドシステムを組み込み、10・15モードで34.0km/Lという超低燃費も話題になった。
車体価格も49万円(ガソリン・MT仕様)と抑えられていて、誰もが手軽に日常使いできることを期待された。
しかし、ハイブリッドモデルの価格は129万円~と、車格や使用目的を考えるとやや高価であり、それも要因のひとつとなって販売を伸ばせなかった。
ツインの販売は2005年に終了となり、新たなジャンルの開拓は残念な結果に終わった。


















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