既成概念に捉われない驚きのスペックを誇りながら、セールス面では失敗に終わった名車は枚挙に暇がない。そんな名車たちは、なぜ話題性だけで終わってしまったのか? ここでは消えた名車にレクイエムを捧げるとともに、その功績を称えたい。
文:FK/写真:スバル、ホンダ、マツダ、CarsWp.com
【画像ギャラリー】ユーノスコスモ、SVX…デキは最高、でも消えた!?(11枚)画像ギャラリーコスモが築き上げた29年間の歴史にも終止符を打ったユーノスコスモ
ロータリーエンジン第1号車として自動車史に名を刻むコスモスポーツの名を受け継いだ2代目コスモAPの登場から約15年後となる1990年にユーノスコスモはデビューした。
コスモとしては通算4代目となるユーノスコスモ、その最たる特徴は史上最高のロータリー車を目指すべく採用した3ローター仕様の20B型エンジンであることに異論を唱える人はいないだろう。
シーケンシャルツインターボとの組み合わせで280psの最高出力と41.0kg・mの最大トルクを実現した20B型ロータリーエンジン。
その圧倒的な動力性能に加え、ロータリーエンジンならではの回転の滑らかさはV型12気筒エンジンにも匹敵すると高い評価を獲得した。
が、しかし……。ロータリーエンジンの泣きどころである燃費性能とはトレードオフの関係があったのは言うに及ばない。10・15モードで6.4km/Lという燃費性能は“金食い虫”と揶揄されることも少なくはなかった。
そんな3ローターエンジンばかりが注目されがちなユーノスコスモではあるが、実は上質で豊かな気分に浸ることができるラグジュアリーな空間を目指したインテリアも大きな見どころだったことは付け加えておきたい。
例えば、オーストリア製の最高級品を使用した本革シートやフランス産の楡材をミラノで仕立てた天然杢のウッドパネルなどは、本物志向を目指したマツダのこだわりを感じずにはいられないディテールだ。
また、世界初となるGPS搭載カーナビゲーションシステムに加え、エアコンやオーディオがステアリングパッドで操作できるパームネットスイッチなども採用。
まさに“先例のない高級パーソナルクーペ”として一時代を築いたユーノスコスモではあったが、1996年に販売が終了。同時に29年間に及んだコスモの歴史もこの時に幕を閉じた。
サイズの概念は打破したものの軽自動車の牙城は崩せなかったトヨタ・iQ
国民的な人気を誇ったフィギュアスケーターの浅田真央さんが乗っていたことも知る人ぞ知るところのiQ。
従来のサイズの概念を打破することを目指すべく、“超小型ボディに卓越した性能を凝縮し高い質感を備えたマイクロプレミアムカーとして、2008年11月に発売された。
マイクロプレミアムカーと名乗るだけあって、全長2985×全幅1680×全高1500mmの超コンパクトサイズながら4人乗車を実現したiQ。
力強く重厚なフロントマスクに、大径タイヤの四隅配置を強調したホイールアーチと滑らかなボディラインを調和させたエクステリアは安定感と躍動感を見事に両立していた。
いっぽう、インテリアは海中を優雅に舞うマンタをモチーフとしたセンタークラスターやドアトリムによって質感の高い室内空間を演出。
加えて、運転席・助手席シートバックのホールド感と乗り心地を確保しながらも薄型化を実現しつつ後部座席の足元スペースも拡大するなど、快適な居住性も配慮されていた。
エンジンは、当時の1000ccモデル中トップレベルの10・15モード走行燃費23.0km/Lを実現した直列3気筒DOHC12バルブエンジンを搭載。Super CVT-iとの組み合わせによってホットな走りを楽しむこともできた。
また、SRSリアウィンドウカーテンシールドエアバッグを含む9個のエアバッグ、衝突安全ボディGOA、ステアリング協調車両安定性制御システムを標準装備するなど高い安全性能も兼備。
そんな充実装備も魅力のひとつだったiQの発表1カ月後の受注台数は約8000台と好調な立ち上がりを示したが、税金や維持費の面で有利な軽自動車の牙城を崩すことができず、その後のセールスは低迷。
新しい価値観とライフスタイルを提案した革新的な1台は、2016年4月に販売終了を迎えた。
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