コロナウイルスで世界でもっとも多くの死者を出しているアメリカ。日に日に死者数が増加し、世界有数の都市であるニューヨークでも多くの患者と医療従事者が戦いを続ける。
そんなアメリカで北米ポルシェがオークションを開催。すでに新型911である992型が発表されたが、先代にあたる991型の最終ラインオフ車をチャリティーオークションにかけた。
世界中のエンスージアストが注目をしたこのオークションがついに終幕。驚くべき落札額とポルシェの支援を振り返ろう。
【画像ギャラリー】2シーターの911はバックシャン!! スピードスターは歴史的モデルだ
文:ベストカーWeb編集部/写真:Porsche
■落札額5400万円+ポルシェの心意気で総額1億円?
2020年4月15日~22日まで続いたポルシェ・カーズ・ノース・アメリカ(北米ポルシェ)のコロナウイルス対策を目的としたチャリティーオークション。
そのオークションにかけられたのはポルシェ911だが、旧型となる991型の最終ラインオフ車だ。旧型か……、と侮るなかれ。991型はポルシェ911のなかで一番成功したモデルであり、合計で23万3540台が生産された超人気モデルとなる。
そんなもっとも愛された911の最終ラインオフ車というだけでも貴重すぎるのだが、991型のファイナルモデルは「スピードスター」。
オープンボディに911の最強グレード「GT3」が搭載した自然吸気4Lの水平対向6気筒エンジンを搭載。なんと510psを発揮する。ターボを使えばこの程度のパワーを出すことは難しくない時代だが、あえてNAで絞り出すあたりがポルシェらしい。しかも6MTのみの設定。
もちろんボディメイクも専用設計。単なるカブリオレとも異なり完全2シーターのスパイダーらしいボディはスタイリッシュかつ、個性あふれる。
そんなスピードスター、実は1948台限定。スピードスターが発表された2018年が、ポルシェのスポーツカー生誕70周年だったことが1948台の理由だ。そしてすでに完売しておりデリバリーが始まっている。
スピードスターはすでにラインでの生産は終了している。現在最後のスピードスターはオーナーの特別カスタムオーダーに応える「ポルシェ・エクスクルーシブ」の工場で架装をされている。
今回の個体はまさにいまポルシェ・エクスクルーシブにファクトリーにある、最後の最後、1948台目があてがわれる。
オークションの結果は32の落札があり落札額は50万ドル、日本円で約5380万円(4月24日現在)。市販のスピードスターが3500万円程度だったことを考えると1500万円差。歴史的な1台であり、今後の価値上昇は計り知れない。
さらに今回ポルシェの心意気で落札額に50万ドルをポルシェが足し、合計100万ドル(約1億760万円)をアメリカのコロナウイルス対策基金へ寄付することに決まった。
■落札者には人生一度きりの特典もついてくる
今回落札したオーナーには歴史的なポルシェスピードスターだけではなく、実はいくつも特典が付く。まずはポルシェデザインのクロノグラフがひとつめの特典。
この時計、ぱっと見もかっこいいのだが、じつは裏面のシースルーバックもホイールのデザインとなっている(画像ギャラリー参照)。デザインはスピードスターを基調としており、クルマとの相性もピッタリ。
さらにまさに「プライスレス」な体験も得ることができる。それがポルシェが最新モデルの開発、デザインなどを行うポルシェの本部(ドイツ・ヴァイザッハ)のツアーだ。
テストコースの見学のみならず、副社長であるフランク・ステファン・バリザー博士などがマンツーマンでガイドをしてくれるという。熱心なポルシェオーナーにとってはそれだけで1500万円の価値がありそうだ。
自動車メーカーのもつ技術や生産能力による物質的なコロナウイルス関連の支援が大きく取りざたされるが、ポルシェのようなプレミアムブランドであればできるこのような支援も見逃せない。
どんな形であれ自動車メーカーの支援の輪は広がっていきそうだ。
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