フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、新路線を担当する路線教習を終えて、いよいよ芝ルートのデビュー日を迎える。デビュー戦はオールEV車、しかも2種類のEV車を乗り継ぐという新しすぎる感覚だったのでレポートする。しかし、実際には運転士仲間の厚いサポートがあっての乗務だった。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■1時間以上前に出社!
芝ルートへのデビュー日は前もって知っていたのだが、路線とバス停を覚えるのに労力を割きすぎて、そもそものバスの起動方法を結構忘れてしまっているのに気が付いた。そのため1時間以上前に出社して、担当車両を確認して金庫を持ってバスに向かった。
まだバスのカギはもらえないので、ドアを開けて金庫をセットして近くにいた先輩社員に声をかけて朝の忙しい中で出庫時刻までに余裕がある運転士を見つけた。とにかく起動方法を教えて欲しいと懇願してバスに向かった。
忘れたと言っても、メインスイッチを入れてキーをさして起動ボタンを押せばEV車の電源は入る。それは分かっているのだが、ディーゼル車のような融通が利かないのできっちりとした「手順」を再確認しておきたかったのだ。
■わちゃわちゃ集まってきた!
そうして「正しい手順」を再確認して、初の単独路線なので運転士個人が持つ情報、これは特にその人が注意している場所や乗客の動向、バス停の特徴等を聞きながら準備をしていると、EVバスの周りにわちゃわちゃと人が集まってきた。
記者は通常は芝浦港南ルート専業のような仕業をしているのに、EV車の運転席に座っているのを見てベテラン運転士たちが集まってきたそれぞれにアドバイスを投げかけてくれたのだ。こういうところがフジエクスプレスのありがたいところで、居心地の良いところだと思っている。
朝の出庫ラッシュの時間帯に自分が運転するバスに向かう途中でわざわざ足を止めて、記者の仕業表のダイヤ番号を見て、それぞれのアドバイスをくれたのは本当に感謝しかない。
その後も先輩運転士のサポートは続くのだった。相当焦った顔をしていたのだろうと後で思ったが、慣れるまでは引きつっているのかもしれない。
■航続距離の短いEVポンチョ
記者が出庫で乗車するバスは日野ポンチョのEVバスで、広く販売されることはなかったが、ディーゼルポンチョをベースに作られたコミュニティバス仕様の車両だ。EVポンチョは設計の仕様上、航続距離は約30kmなので1往復の距離がさほどなく平たん路ばかりの芝ルートのみにEV車が入る。
航続距離が短いので、車両で出庫して1往復して回送で車庫に戻り充電する。1時間強で充電が終わるので、その間は営業所で休憩時間となり、充電が終わったバスでまた出庫して2往復目をこなす。
2往復が終わると営業所に戻り充電作業をして放置。その車両は別の乗務員が充電完了後に車両出庫する。記者は始発地まで徒歩回送で向かい、航続距離の長いEV車を別の運転士から引き継いで1往復、休憩してさらに1往復して車両入庫で仕業終了というダイヤだ。



