テスラのBEV大型トラクタ「セミ」がついに量産開始!! 「18輪のテスラ」が商用車市場を開拓

テスラのBEV大型トラクタ「セミ」がついに量産開始!! 「18輪のテスラ」が商用車市場を開拓

 2017年に発表されたテスラの大型BEVトラクタ「セミ」は、量産化に至らぬまま9年近くが経過していたが、このたび同社の公式Xが量産1号車のラインオフを発表し、ついに量産が始まった。

 競合他社は既に大型BEVを投入しており、商用車においてテスラは追う立場にあるが、戦略的な価格やスペック、乗用車と同様のフリート向け充電プログラムなどを武器に、本気で大型商用車市場を開拓するようだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Tesla

テスラがBEV大型トラック「セミ」を量産化

テスラのBEV大型トラクタ「セミ」がついに量産開始!! 「18輪のテスラ」が商用車市場を開拓
テスラ・セミの量産1号車がラインオフした

 米国のテスラは2026年4月30日、X(旧ツイッター)に「First Semi off high-volume line」(初めての量産型セミがラインオフ)と投稿した。発表から実に9年もの歳月が経過したが、バッテリーEV(BEV)大型トラクタの「セミ」がようやく量産化に至ったようだ。

 テスラがセミを発表したのは2017年で、当初の納車予定は2019年だった。米国ではタイヤの数から「18ウィーラー」とも呼ばれる長距離輸送用の大型トラクタで、当時としては実現不可能に思えるスペックのセミは、トラック業界にセンセーションを巻き起こした。

 しかし、量産車の投入は何度も延期され、予約した顧客向けに(ほぼ)手作業で製造したと思われる少量生産バージョンを納車するという対応が採られていた。これまでに確認されている車両は多く見積もっても100台に満たず、ペプシコの保有車両の他はテスラ自身が所有する「試作車」のようなものだった。

 結果的に同社で最も開発サイクルの長い車両となっていたセミが、ついに量産にこぎつけた。

テスラのBEV大型トラクタ「セミ」がついに量産開始!! 「18輪のテスラ」が商用車市場を開拓
ついに量産化を果たしたテスラ・セミ

 量産バージョンのセミはネバダ州のギガファクトリーに隣接する専用施設で生産する。この施設の生産量は順次増やして行く計画で、年間で最大5万台の製造能力を持つという。

 なお、量産車の仕様は発表当初から若干変更されており、テスラ・セミ・スタンダードレンジは航続距離325マイル(523km、発表時は300マイルだった)、同ロングレンジは500マイル(800km)となる。いずれも3基の電動モーターをリアアクスルに組み込んだ6×4トラクタで、出力は800kW(1072hp)。

 価格はロングレンジでも30万ドル(約4700万円)を下回る価格帯に投入されるようだ。欧米メーカー製の大型BEVトラックより大幅に安く、中国メーカーにも対抗できる価格帯だ。開発の遅れにより競合他社はすでにBEVトラックを市場に投入しているが、こうした価格とスペックは競争力を持つといえるだろう。

イラン戦争も追い風!? 順調な走り出し

テスラのBEV大型トラクタ「セミ」がついに量産開始!! 「18輪のテスラ」が商用車市場を開拓
フリート向けの充電オプションとして「セミ・チャージング・フォー・ビジネス」も発表した

 充電は1.2MWの「メガチャージャー」に対応するように設計されている。これは乗用車用の「スーパーチャージャー(V4)」を更に大容量化したもので、30分の充電で航続距離は(ロングレンジで)60%回復するという。単純に考えると1000kWクラスのバッテリーを搭載する計算となる。

 また、テスラはフリートユーザー向けに「セミ・チャージング・フォー・ビジネス」という新しい充電プログラムを発表している。乗用車向けのプログラムと同様のもので、運送事業者などが独自にセミ用の充電インフラを設置することを可能にする。メガチャージャーの設備としては、ポスト(充電器)2基が1.2MWの電力キャビネットを共有する設計だ。

 さらに、同プログラム向けに出力の低い(125kW)「ベースチャージャー」も発表しており、こちらの充電料金は乗用車より低い戦略的な価格を設定するそうで、商用車市場の開拓にかける本気度が伺える。

 これに関連してカリフォルニア州で「トラック・アズ・ア・サービス(TaaS)」を提供するワットEVがテスラ・セミを370台発注したと報じられており、テスラ・セミの公式Xもこれを認めている。大型BEVトラックの調達としては同州で過去最大となり、最初の50台は年内に納車、残りについても2027年末までに納車されるという。

 北米市場(米国とカナダ)の大型BEVトラック登録台数は約3000台だが、セミの量産化により短期間で倍増する可能性がある。

 なお、開発責任者のダン・プリーストリー氏はACTエキスポのセッションで、投資回収期間は「5年未満」が半数以上だと明らかにした。これはイラン戦争前の統計で、今ではディーゼル価格が高騰し投資回収期間は更に短くなっている。同氏はディーゼル価格の変動に対処できることがテスラ・セミの真の価値だと話した。

 量産に至るまではかなりの難産だったテスラ・セミだが、走り出しは順調なようだ。

【画像ギャラリー】テスラ・セミの量産バージョンを画像でチェック!(10枚)画像ギャラリー

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