山梨県の都留市といえば、2026年4月のダイヤ改正でほとんどの路線バスが姿を消したエリアで、現状たったの2路線だけが運行を続けている。その一つが富士急バスによる都留市〜月夜野線だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、富士急バス都留市〜月夜野線の写真があります)
■富士急バスの都留市〜月夜野線
富士急バスの都留市〜月夜野線は、富士急行線が通る都留市駅もしくは都留市立病院と、都留市のお隣にある道志村を通り、村内の東端・神奈川県との県境に面した月夜野との間、およそ33.2〜37.3km(便によって経路が少し違う)を結ぶ一般路線バスだ。
2026年4月のダイヤ改正前には、都留市駅起点で8.6km地点の菅野上、12.8km地点の道坂隧道バス停で折り返す系統もあったが、そちらはダイ改時に全便が廃止されて、現在は都留市(駅/病院)〜月夜野間の通し便のみが運行している。
特定の路線名はないようで、時刻表などには「月夜野〜(長又)〜道志〜道坂隧道〜菅野上〜都留市駅」のように、経由地と区間で路線を表す模様。ここでは便宜的に都留市〜月夜野線と呼んでいる。
8割以上の路線バスが消滅した都留市にて、この都留市〜月夜野線が残ったのは、バス廃止の理由になっている都留市のデマンド交通の対応エリア外まで向かう経路が組まれているため、都留市内止まりの便に関しては運転を取りやめ、全区間便だけ存続した形だ。
■峠を攻めるヤマのローカル路線バス
都留市→月夜野方向でバスの経路を見ていくと、病院始発の便の場合は都留市駅の隣にあるバスの待機所から車が出て行き、いったん病院前へ向かって営業運転を開始、再度駅前に戻ってきて客扱いを行う。
駅前→市街地を出ると、都留市〜道志村とを繋ぐ唯一の通り道と言える山梨県道24号に入り、その後しばらく道なりに進んでいく。
この山梨県道24号には、道坂峠と呼ばれる標高1,000mクラスの峠道が控えており、急勾配とヘアピンカーブの続く道のりを、長さ9mクラスの中型路線車がターボを唸らせ登っていく、ダイナミックなバスの走りが楽しめる。
峠を降りた頃には既に道志村。山梨県の山中湖〜神奈川県の相模原方面とを繋ぐ、通称「道志みち」の国道413号にメインルートをバトンタッチ。
“横長”な形が特徴といえる道志村の中を横断するように進み、最終的に神奈川県との県境近くにある月夜野バス停に到着する。
全区間利用時の所要時間は1時間15〜20分ほどで、運賃は中乗り・前降り後払い方式の1,600円(病院発1,630円)。現金のほか交通系ICカードが使える。
■繋がらないし戻れない!?
都留市〜月夜野線の2026年5月現在のダイヤ準拠で始発の時刻を確認すると、全便平日のみの運転で土日祝は運休。
都留市発が13:45(病院始発)と17:37(駅始発)の2本。月夜野発に関しては朝6:20発の都留市駅経由・病院前行きの1本のみと、やや変則的な設定に思える。
バス像的には都会の喧騒を忘れさせてくれるローカルエリア同士を繋ぎ、本格的な峠越えまでこなしてしまう、理想的なヤマの路線バスといった印象で、なかなかの魅力がある。
ところがこのバス、いざ乗ろうと思うと歯応え最強。まず月夜野→都留市方向は、朝6時台に月夜野へ降り立っていること自体が、地元在住でない限り現実離れも甚だしいため、バスを楽しむ目的で乗るなら都留市→月夜野方面しかないと考えて良いハズ。
都留市→月夜野方向で進むとして、終点の月夜野バス停には、都留市〜月夜野線のほか、山中湖方面へ行く富士急バス「道志線」、相模原方面へ抜ける神奈中バス「三56系統」が乗り入れている。
月夜野が他に2路線くらい集まるバスの拠点なら乗り継ぎで……と行きたいところであるが、都留市〜月夜野線の場合、13時発/17時発どちらの便を使っても、他のバス路線には翌日まで1本も繋がらないダイヤが組まれているので超要注意。
同じバスで来た道を戻ろうとしても翌朝まで来ないため、言うなれば都留市でこのバスに乗るだけで、“詰み”の状態をいとも簡単に作れてしまうわけだ。
先へ進む/来た道を戻る、どちらに転ぼうとしても道志村での1泊が必須。観光目的で都留市〜月夜野線を試してみる際は、あらかじめ道志村で営業している宿泊施設を押さえておくのを、オススメを通り越すほどオススメしたい。
また、都留市〜月夜野線、道志線、三56系統ともに土日祝は運休するため、くれぐれも都留市〜月夜野線に乗った翌日が土日祝に当たらないよう日程確認もお忘れなく(大変なことになるぞぉ〜)。
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