2026年4月のダイヤ改正で8割以上のバス路線が姿を消した、富士急行線が通る山梨県の都留市。都留市駅隣にあるバスの拠点を発着する、残った路線は現状たったの2路線! その1つが富士急バスによる大月〜都留市線だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、富士急バス大月〜都留市線の写真があります)
■レアキャラだけが残りました
富士急バスの大月〜都留市線は、JR中央本線と富士山麓電気鉄道富士急行線の大月駅と、富士急行線の都留市との間を結ぶ一般路線。通常は幅2.3m、全長9mクラスの中型路線車が使われる。
この路線に固有の名称はないようで、「都留市駅~禾生駅~リニア見学センター~大月駅」のようにバスの経路で路線を表すことが多い。ここでは便宜的に大月〜都留市線と記してある。
前述の通りこの4月から都留市エリアを走るバスのほとんどが消滅。以前より都留市が進めていたデマンドタクシーが本格運行を始めたのが理由と言われている。
大月〜都留市線の本数は何と1日1往復。普段使いに特化した循環バスなど全てが都留市エリアから引退した中、極限まで本数の絞られた元々レアキャラ寄りの存在が、“全廃”に迫るダイヤ改正の大鉈をかわしたとは、なんとも奇妙な顛末を見ているような気がする。
対象から外れたのは大月〜都留市線が結ぶ区間にある。都留市のデマンドタクシーは原則、都留市市内で完結するようデザインされた乗り物で、同バスはお隣の大月市まで足を延ばす。
行き先にデマンドタクシーの管轄外になる場所が含まれている関係で、本数の少なさはともかくとして、ひとまず淘汰を逃れた形だ。
■ごくシンプルなバスの経路
さてこの大月〜都留市線。経路は至ってシンプルで、国道139号をメインルートに大月駅〜都留市間を結ぶ。全体の行程を大月→都留市方向で見た場合、大月駅前を後にすると国道139号に入り、道なりに進んでいく。
途中でいったんメインルートを外れ、富士急行線の線路から2kmほど離れた場所にある、山梨県立リニア見学センターの前に立ち寄り。
その後折り返して国道139号に戻り、都留市駅隣のバス拠点(バス停名は都留市駅)までほぼ真っ直ぐ。11.9kmの距離を27分で結び、運賃は530円だ。現金のほか交通系ICカードが使える。
ちなみに大月駅〜リニア見学センター間は、ほぼシャトルバス的な路線も運行している。このシャトルバスは見学センターの休館日に運休する一方、大月〜都留市線は休館日も入口の手前まで行く違いがある。
■今や珍しい競合系! だけれど
大月〜都留市線のメインルートになっている国道139号。実はこの国道は富士急行線の線路の隣を通っている。となれば大月〜都留市線は、最近はかなり数を減らしてきている、鉄道との競合系路線バスの一種ということに。
乗車して流れる車窓を窺ってみると、結構な割合で線路に寄り添いながら進んでいるのが見て取れる。
その点からも競合系と言えるのだが、ダイヤ的にはちょうど電車のない時間帯に出発/到着する設定。実際には競合しない、肩書きだけの競合系といったバス像が浮かび上がる。
また大月→都留市行きが富士急行線の特急列車と少し被るものの、特急列車は都留市駅に停まらないため、ほぼ干渉し合わない間柄といったところだ。
2026年5月現在のダイヤを基準にすると、都留市駅10:00→大月駅10:27/大月駅11:35→都留市駅12:02というルーティン。
見方によっては午前中に終バスが行ってしまうとも解釈でき、こちらもまた魔性のバス路線が持つ特殊能力の付与に一役買っていて、バス趣味では大きな見どころに変わる。
バスの走る時間帯はそれほど極端でもなく、何かあっても隣を電車が通っているためフェイルセーフは確保済みということで、極細ながらも取っ付きやすい印象。
約8割のバスが消えたエリアを1日1往復だけ走る、同地では極希少な存在となった路線バスのプロファイルを確かめに大月/都留市エリアを訪れてみるのも楽しいはずだ。
【画像ギャラリー】線路に寄り添う競合しない競合路線・富士急バス大月〜都留市線(8枚)画像ギャラリー















