毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はホンダ バモス(1999-2018)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:HONDA
■生産終了まで19年間フルモデルチェンジなし! バモスがもたらした革新性
「アンダーフロアミッドシップ」いうレイアウトがもたらした抜群のスペースユーティリティにより、1999年から2019年までの長きにわたりユーザーを魅了。
しかし後継モデルの登場と、軽自動車の新たな乗員保護基準に対応できないことから、惜しまれつつ生産終了となった軽ワンボックスの名作。それがホンダ バモスです。
1970年から1973年まで「オープンカータイプの軽トラック」というちょっと謎な初代バモスが販売されましたが、1999年6月に発売となったこちら2代目は、初代とは車名が同じだけで直接のつながりはありません。
2代目ホンダ バモスは、1998年10月の軽自動車規格改定に合わせてフルモデルチェンジされた軽商用車「アクティ」の乗用車バージョン。
そしてアクティ同様にバモスも、エンジン配置は「アンダーフロアミッドシップ」でした。
競合他社の当時の軽ワンボックスがフロントシート下にエンジンを配置していたのに対し、バモスは後輪の少し前、荷室の真下あたりに660ccの直3自然吸気またはターボエンジンを配置しました。
これによりバモスのフロアは前後席ともに低くフラットになり、そしてエンジン自体もコンパクト設計であったため、ラゲッジ床面も低く抑えることができました。
そのためスペースユーティリティはまさに抜群。リアシートを畳めば26インチの自転車2台を余裕で収容でき、前後席をフルフラット状態にすれば、普通に身体を伸ばして車中泊することも可能でした。
バモスのこのアンダーフロアミッドシップ構造は、ドライビングの面でも好影響を与えました。
まず騒音の大きな発生源であるエンジンが遠い場所にあるため、運転席まわりは比較的静粛性に優れています。さらに重量物が車両中心付近の低い位置に集中しているせいで、安定感とキビキビ感とが両立しているなかなかのフットワークを堪能することもできたのです。
2001年9月のマイナーチェンジでは、専用ローダウンサスペンションと13インチアルミホイールなどをセットにした「Sパッケージ」を設定し、2003年4月にはハイルーフ仕様の「バモスホビオ」を追加。
その後もマイナーチェンジと一部改良を重ねながら長らく販売が続いた2代目ホンダ バモスでしたが、2018年5月には生産終了に。そして翌2019年の1月には販売のほうも完全に終了となりました。
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