「乗れば最高、メカニズムも一流。なのに、なぜか販売ランキングの上位に名前がない……。」自動車の歴史を振り返ると、こうした“隠れた名車”に私たちは何度も遭遇してきました。なぜ、玄人が絶賛する「いいクルマ」が、必ずしも市場でヒットするとは限らないのか。単なるスペックや走りの良さだけでは語れない、自動車ビジネスの残酷な現実と、ユーザーが本当に求めている「価値」の正体に迫ります。
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】先代からめっちゃ洗練された!! 新しく発売されるe:HEV RSも見れるぞ!(16枚)画像ギャラリーなぜ過小評価されてしまうのか
自動車評価という世界に長く身を置いていると、幾度となく向き合わされるテーマである。自動車専門誌やWEBメディアでは絶賛され、技術的にも高い完成度を持ちながら、なぜか販売台数には結びつかない。逆に、評論家筋からは厳しい評価を受けながらも、市場では爆発的なヒットを記録するクルマも存在する。
今回、ベストカー編集部が現行のホンダシビックを例に挙げたのは極めて象徴的な指摘だと思う。現行シビックは、間違いなく出来のいい素晴らしいクルマである。ボディ剛性、サスペンションのセッティング、パワートレーンの完成度、操舵フィール、静粛性、高速安定性。そのどれを取っても非常に高い次元でまとめ上げられている。
かつての大衆車枠を超え、欧州Cセグメントに真正面から対峙できる水準に到達していると言っていい。特に現行型は非常に端正なプロポーションを獲得した。低重心感を強調したボディ、水平基調のインテリア、そしてドライバー中心に据えたコックピット設計。クルマとしての基本性能を磨き上げる、本来ホンダが得意としてきた方向性へ回帰している。
しかし、それにもかかわらず日本市場では爆発的ヒットには至っていない。なぜなのか。ここでまず考えなければならないのは、クルマの出来が良いこととクルマが売れるということは必ずしもイコールではないという現実である。 自動車評論では、サスペンション性能、パッケージング、動力性能、快適性、燃費、デザイン、コストパフォーマンスなど多面的な視点からクルマを評価する。しかし、市場でクルマが売れる理由は、それだけで決まるわけではない。その販売価格とクルマの完成度に対し、ユーザーがそれを支払う価値があると感じるかどうか。さらにローン金利、残価設定、リース条件、保険料、維持費。現在の日本では、車両本体価格だけでなく、月々いくらで乗れるかという視点が購買を大きく左右している。
現行シビックは、クルマとしての出来を考えれば決して高価ではない。だが、日本市場において「シビック」というネームバリューに対し、300万円台後半からという価格帯が心理的ハードルになっている部分は否定できないだろう。 シビックほどのグローバルネームになると、むしろ北米での販売メインで車格が決められてしまうというバックグラウンドも無視できない。
存在自体が移り変わった
かつてシビックは頑張れば若者でも買えるスポーティカーという存在だった。しかし、現在は完全に上級Cセグメントへ移行した。その変化をユーザー側が受け入れ切れていない部分もあるのだろう。
一方、市場はそこまでクルマ好きではない層が圧倒的多数を占めている。つまり、評論家が高く評価するポイントと、一般ユーザーが重視するポイントにはズレが存在する。例えば、ステアリング剛性が高いとか、リアサスペンションの接地感が優秀だとか、そうした部分に価値を感じるユーザーは決して多数派ではない。
それよりも、見た瞬間に欲しいと思えるかが遥かに重要なのだ。クルマは購入前に本質を把握することが難しい商品だ。住宅なら内覧ができる。家電なら店頭で操作できる。しかしクルマは、実際に長期間所有しなければ本当の良し悪しはわからない。だからこそ多くの人はまず見た目で判断する。そういう意味でデザインが持つ力は絶大である。現行シビックは非常に整ったデザインを持っているが、それが日本市場において強烈な個性として映ったかと言えば必ずしもそうではない。
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コメント
コメントの使い方ハッチバック自体が売れていないという点も必要
シビックは最近では月2000台近く売れている。この手のジャンルの車なら十分ではないか?