日本では、都市間を結ぶ公共交通機関の一つとして、高速バスの人気は高い。飛行機や鉄道と比較して、所要時間の面では多くの区間で劣勢となるが、運賃は他と比較して安いこともあり、若者を中心として人気が高い。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■状況次第で強い競争力を持てる高速バス
鉄道や飛行機では絶対に不可能な、数百キロという長距離を1500〜2000円台から利用できるのは、時間はあってもお金に余裕がない若者にはありがたい存在だ。
その高速バス、ルートを自由に設定できるバスの強みとして、飛行機や鉄道ではアクセスできない都市間や、地方の市町村との間を直行で結ぶルートでは独壇場となる。
一方、需要の多い都市間については、選択可能な移動手段の一つとして、他の交通機関と競合して運行される。その選択理由としては、所要時間を犠牲にして価格で勝負、というのが多い。
ただ、飛行機にはさすがに太刀打ちできなくても、鉄道であれば区間によっては所要時間でも勝負できるところがある。
近年は高速道路網が発達したこともあり、高速・近代化されていない鉄道では、所要時間でもバスに敵わないところもある。
■ヨーロッパにも同じ流れが
これは日本だけではなく、例えばヨーロッパでも同じだ。主要都市間でも、まだまだ鉄道が高速化に手付かずの区間では、高速道路の開通によってバスに主導権を完全に握られ、手も足も出ないところもある。
ただ、そこで手をこまねいているだけではもったいない。ドイツ鉄道は2020年まで、鉄道では劣勢となる区間に、路線バスを運行していた。
2009年にバス事業へ参入し、ベルリンやミュンヘン、デュッセルドルフといった都市を起点として複数の路線が運行されていた。
これらはドイツ国内より、どちらかと言えば国際ルートの方が多く、マンハイム〜プラハやミュンヘン〜チューリッヒ、ベルリン〜コペンハーゲンといった区間であった。
マンハイム〜プラハ間は、ミュンヘン経由とニュルンベルク経由という、別の区間を通る路線がそれぞれ設けられていた。
例として挙げたこれらの区間は、確かに鉄道路線が不利。プラハからドイツ方面は、単線非電化のローカル線で、カーブの連続で速度向上は困難だったわけだ。
ミュンヘン〜チューリッヒも当時は非電化で、カーブも多く速度向上は難しかった。ベルリン〜コペンハーゲンに至っては、北海が両国間を隔てているため、鉄道は大きく迂回する必要があるが、バスならフェリーを利用して海峡を渡ることができた。
■鉄道とお揃い・白と赤帯の高速車を使用
車両は様々な車種が使われていたが、セトラ製の2階建て車両が主流だった。「インターシティ・バス」という愛称を持ち、その名の通りあくまでドイツ鉄道の都市間特急インターシティと同じ扱い。
そのため外見は列車と同じ、白い車体に赤い帯というデザインだった。もちろん、鉄道と同じ扱いだったので、割引カード(バーンカード)が適用され、鉄道と同じ早割などの割引運賃も設定されていた。
また、ジャーマンレイルパスやユーレイルパスなど、鉄道パス割引も適用された。チケットはオンラインのほか、ドイツ鉄道の窓口や券売機でも購入可能だった。
唯一の違いとして、列車は予約なしで利用できるのに対し、定員が決まっているバスは全席指定で、予約が必須であったことだ。



