走るほどにCO2を減らすなんて信じられる? マツダが挑む「カーボンネガティブ」の全貌

走るほどにCO2を減らすなんて信じられる? マツダが挑む「カーボンネガティブ」の全貌

 マツダが「スーパー耐久シリーズ(S耐)」を舞台に、壮大な技術実証を行っている。排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル(CN)」に留まらず、大気中の二酸化炭素(CO2)を積極的に削減していく「カーボンネガティブ」という高い壁に挑もうとしている 。一体どのような仕組みで実現しようとしているのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:マツダ

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なぜカーボンニュートラルではなく、カーボンネガティブが必要なのか?

走れば走るほどCO2を削減できる夢の実現に向けスーパー耐久に参戦するMAZDA3
走れば走るほどCO2を削減できる夢の実現に向けスーパー耐久に参戦するMAZDA3

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のデータ等によると、2010〜2019年の世界における化石燃料由来のCO₂排出量は、年間平均33.3〜37.0 Gt(ギガトン=333億〜370億トン)に達している。これに対し、陸上植物や海洋による固定(吸収)能力だけではすべてを処理しきれず、結果として毎年約191億トンものCO2が大気中に残留し続けているのが現状だ。

 この大きな課題に一石を投じるため、マツダはスーパー耐久第3戦「富士24時間レース」に特別な装置を搭載した「MAZDA3」で参戦した。このマシンは、藻類などから作るカーボンニュートラル燃料を使用するだけでなく、ディーゼルエンジンから排出される排ガスから直接CO₂を回収するシステムを備えている。

 大気中から直接CO2を回収する技術「DAC(Direct Air Capture)」は、大気中のCO2濃度が約0.04%と極めて薄いため、回収に膨大なエネルギーを必要とするのがネックだった。 一方、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれるCO2濃度は約12%と、大気中に比べて約300倍も高濃度である。

 この高濃度の排ガスからピンポイントでCO2を回収すれば、必要なエネルギーを劇的に削減できる。マツダは技術革新により、DACのわずか4分の1のエネルギーでの回収を目指している。

夢の技術を支える「ゼオライト」と資源物資への循環

ゼオライトと呼ばれる吸着剤を使いエンジンから排出されるCO2を吸着させ、タンク内に貯める
ゼオライトと呼ばれる吸着剤を使いエンジンから排出されるCO2を吸着させ、タンク内に貯める

 CO2の吸着剤として選ばれたのは、特性が広く解明されており、高温でも構造安定性が極めて高い物理吸着剤「ゼオライト」だ。これを組み込んだ熱交換器ベースの「CO2吸着器」を排気システムに搭載し、温度変化(温度スイング)によって、まるでバッテリーの充放電のようにCO2の吸脱着をコントロールする。

 こうして車内に貯蔵されたCO2は、ただ集めるだけでなく、資源へと循環させる。ゼオライトから脱離させたCO2をタンク内で水酸化カルシウムに吸収させ、「炭酸カルシウム」として回収。将来的には、再生プラスチックやセメント、付加価値の高いカーボン素材などへ再生することを目指している。

リアトランク部分に回収タンクが搭載される回収タンク。この内部でCO2を水酸化カルシウムと化学反応させ炭酸カルシウムとして取り出す
リアトランク部分に回収タンクが搭載される回収タンク。この内部でCO2を水酸化カルシウムと化学反応させ炭酸カルシウムとして取り出す

 マツダの試算によると、カーボンニュートラル燃料の導入で70〜90%、さらにこのCO2キャプチャー技術によって20〜40%のCO2を削減できるという。双方を組み合わせることで、理論上100%を超える削減、すなわち「カーボンネガティブ」が可能になる計算だ。

 走れば走るほど地球がきれいになる! そんな夢の技術を、マツダは過酷なモータースポーツの現場を通じて磨き上げようとしている。 今後の活動に注目だ!

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