まさかの大逆転劇!! スズキが国内販売2位になれた秘密とは? ホンダ超えを実現した5つの要因を解説

まさかの大逆転劇!! スズキが国内販売2位になれた秘密とは? ホンダ超えを実現した5つの要因を解説

 スズキは2024年度の軽を含む乗用車+商用車の新車販売台数で2位を獲得。そして、2025年度は登録車+軽自動車の乗用車の販売ランキングでもトヨタに次いで2位。これはスズキ初の快挙だ。スズキの強さを井元康一郎氏が考察する。

※本稿は2026年4月のものです
文:井元康一郎/写真:スズキ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年5月26日号

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スズキがトヨタに次ぐ2位である5つの要因

2025年度メーカー別販売台数。スズキはトヨタに続く第2位につけている
2025年度メーカー別販売台数。スズキはトヨタに続く第2位につけている

 2025年度の乗用車国内販売ランキング(軽自動車含む)でスズキがホンダを抜き、トヨタ自動車に次ぐ2位に浮上した。スズキが年度で2位を取るのは初の快挙である。

 逆転劇の背景には、ホンダが半導体不足で生産に支障を来し、57万9729台にとどまったという事情もある。が、スズキの60万9183台という販売スコアはホンダを圧倒するもの。決してフロックではないのだ。

 スズキは派手なジャンプアップはしていないものの、コロナ禍以降販売台数をじりじりと積み増してきた。すでに暦年(1~12月)では幾度かホンダを抜いて2位を取っており、今回の2位は満を持してとみることもできる。

 ホンダがヒット商品を出し、スズキが下手を打つということがなければ、スズキ=2位というポジションは定着しそうな勢いだ。

 なぜスズキはこれだけの強さを発揮できたのか。要因を考察してみよう。

(1)ホンダの凋落

 2010年代半ば、ホンダは軽自動車を含めると国内で年間100万台ほど売っていた。が、グローバル競争に拘泥しているうちに国内向けの商品ラインナップが手薄となり、2025年度はついにピークから約4割減となってしまった。

 実はホンダは世界市場でも厳しい状況に追い込まれており、グローバル販売でもスズキが日本メーカー2位に浮上しそうな勢いだ。

(2)鈴木俊宏社長の経営哲学の浸透

巨星の後を継いだ時は不安視されたが、俊宏社長体制は今や盤石
巨星の後を継いだ時は不安視されたが、俊宏社長体制は今や盤石

 故・鈴木修氏の後を継いで2015年に社長に就任した鈴木俊宏氏。11年という長期政権の歩みで顕著に見て取れるのは「顧客中心主義の徹底」。

 自動車メーカーの経営者は往々にしてナンバーワンという称号を欲するものだが、鈴木社長はそれに対する執着が薄く、相手は競合メーカーではなく顧客という姿勢に徹している。

 その哲学は2018年頃から市販モデルに顕著に現われはじめ、近年ではそれが加速している。それが安定成長をもたらしているといえる。

売れ続ける理由は商品力だけじゃない

価格以上の価値を感じられる商品づくりや、トヨタとの協業をはじめとする他社との連携が競争力を高め、スズキ躍進の大きな要因となっている
価格以上の価値を感じられる商品づくりや、トヨタとの協業をはじめとする他社との連携が競争力を高め、スズキ躍進の大きな要因となっている

(3)脱・軽自動車の進展

 国内市場でのスズキの本丸はあくまで軽自動車だ。が、人口減が進む日本で国内専用モデルの軽自動車に依存していては未来がない。ということで、スズキは先代の鈴木修社長時代から登録車の拡大を目指してきた。

 ここにきてそれが実を結びつつある。「ジムニーシエラ」「ジムニーノマド」の人気沸騰によるところが大きいが、2020年に登場した「ソリオ」の現行モデルがじわじわと販売を伸ばしている点も見逃せない。

 2025年度は軽自動車の減少分を登録車が補い、全体として前年度比プラスを確保したのだった。

(4)買い得感の高い価格設定

 お値打ちはスズキの真骨頂だが、その中身は次第に変わってきている。鈴木社長はコスト圧縮のため顧客ニーズの低い装備を見直すという考えを打ち出しているが、単に装備のはぎ取りだと人気が落ちてしまう。

 最近のスズキ車を見ると、たとえばEVの「eビターラ」の前照灯が高機能なアクティブハイビームであったりと、価格帯を見ながら顧客の喜ぶ装備はむしろ積極的に付ける傾向がみられる。値段のわりにいいというクルマ作りが上手くなったのも強さの秘訣だ。

(5)他社との連携が上手い

 小規模メーカーのスズキにとって他社との連携は生き残りに必須。そのカギを握るギブアンドテイクの構築が巧みで、それがスズキの持続可能性を強固にしている。

 最たるものはトヨタグループの電動化技術の導入で、技術供与を受けたぶんトヨタ向けOEMモデルをきっちり作り込み、相手を満足させる。部品メーカーには量で応える。それがよい商品作りの強化につながっている。

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