クルマの広告に使われるキャッチコピーには、名作と呼ばれるものも多い。しかし、過去には現代の感覚で考えると「?」マークのつくコピーもあった。そんな、今ではアウトかもしれない危ないキャッチコピーを振り返ってみよう。
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、日産、ホンダ、CarWp.com
【画像ギャラリー】今なら炎上必至!? でも、昔はセーフだった!?(15枚)画像ギャラリージェンダー表現に引っかかる?
●「私たち、主婦で、ママで、女です。」―トヨタ パッソセッテ
2008年に発売されたトヨタ製ミニバンのパッソセッテに使われたキャッチコピーがこちら。
ターゲットが主婦層であることが明確にわかるという意味では優れたキャッチコピーといえなくないが、さすがにこれはストレートすぎて、「男らしさ」や「女らしい」などというジェンダー表現に疑問が持たれはじめた時代に出てきたとは思えないものだった。
やはり、独身女性や肝心の主婦層にもこのキャッチコピーに眉をひそめる人は多く、クルマ自体の微妙な出来もあってパッソセッテはすぐに販売終了になってしまった。
●「美しい妻と一緒です。」―日産 レパードJ.フェリー
一読しただけでは、クルマのために作られたというのが理解しにくいこのキャッチコピー、その意味は仕事や日常使いよりも休日に妻と一緒に乗るのがふさわしいクルマということらしい。
実際に1992年発売のレパードJ.フェリーは、それまでの日産 レパードシリーズとは趣を異にした高級セダンであり、曲面を多用したボディラインも従来の国産車にはない独特なものだった。
レパードJ.フェリーのターゲットは経済的に豊かな30代夫婦だったが、キャッチコピーの「美しい妻」に引っかかりを感じた人も多く、それが影響したのかは不明だが、販売成績は不振に終わった。
ジェンダー論が盛んで、ルッキズムに批判の多い現代ではまず採用されないキャッチコピーだろう。
●「お、パイザー」―ダイハツ パイザー
ダイハツが1996年に発売したコンパクトトールワゴンがパイザーで、このパイザーという車名はモンゴル帝国で使われた通行許可証の「Paizah」が由来。
そしてそのテレビCMには、かつて水着グラビアで一世を風靡したアグネス・ラムが起用され、そのCM中に出てきたセリフが「お、パイザー」だった。
もちろん、これはパイザーに驚嘆している言葉なのだが、音の響きとCMタレントから考えて、別の意味を含ませていたことを想像するのは容易だ。
これも今ならアウトの表現といえる。
意趣返しをキャッチコピーに!
●「ポリシーは、あるか。」―ホンダ ストリーム
ホンダが2000年に発売した初代ストリームは、7人乗りのミニバンながら思い切ったローダウンデザインを採用し、使い勝手の良さと走行性能を両立したモデルとして人気を集めた。
そのストリームに続き、トヨタが2003年にリリースした初代ウィッシュは、全長、全幅、全高がストリームとほぼ同じということで話題になった。
トヨタがストリームをパクったのか真偽は不明ながら、ウィッシュの登場によってストリームの販売数が打撃を受けたのは事実。
そしてホンダは、2003年にストリームのマイナーチェンジを敢行し、スポーツモデル・ストリームアブソルートのテレビCMで「ポリシーは、あるか。」のキャッチコピーをお見舞いした。
当然ながらこれは公式にトヨタを揶揄したコピーではないが、かなり挑発的な文言だったのは間違いない。
●「今、スカイラインを追うものは誰か。」―日産 スカイライン
1980年に日産が5代目スカイラインのターボモデルを発売した時にテレビCMで使ったキャッチコピーが「今、スカイラインを追うものは誰か。」
一見、これはスカイラインターボの高性能をアピールするコピーに思えるが、実はこのコピーにはもうひとつの意味があったという。
スカイラインターボ登場の1年前、トヨタは2代目セリカのマイナーチェンジモデルの宣伝コピーに「名ばかりのGT達は、道を開ける。」「ツインカムを語らずに、真のGTは語れない。」を使っていて、これは直接の名指しではないものの、暗にライバルだったスカイラインを「名ばかりのGT」とディスっていたという。
これに対抗して作られたキャッチコピーが「今、スカイラインを追うものは誰か。」で、あくまでセリカはスカイラインを追いかける立場なのだといわんばかり。
キャッチコピーを含んだスカイライン・セリカ戦争はこの後も続き、それが両モデルの進化にもつながった。
とはいえ、冷静になって考えると少々大人げないとも……。
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