キックス圧巻の乗り味で堂々発信! 価格戦略で日産の救世主になれるのか?

キックス圧巻の乗り味で堂々発信! 価格戦略で日産の救世主になれるのか?

 日産の国内市場攻勢がいよいよ本格化する。ラージミニバンの帝王「エルグランド」が出陣したが、より多くのユーザーに受け入れられるモデルといえば今回紹介する「キックス」だろう。早速市販モデルの試乗をしたのでその実力をお届けする。

文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:茂呂幸正

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キックスが売れないと厳しい日本市場

先代キックス(左)からより日本市場を意識して登場することとなった新型キックス(右)
先代キックス(左)からより日本市場を意識して登場することとなった新型キックス(右)

 日産が厳しい現状でキックスに期待しない自動車メディアはいないだろう。エルグランドの初期受注は順調だが、初期受注を超えてからの受注が肝心だし、いかんせん車のキャラクターからして高価格帯だ。セールスで大貢献する車種でもないだろう。

 そこで日産は第二の矢としてキックスを投じてきた。FFと4WDを擁する第3世代e-POWER専用モデルだが、これも先代の反省を生かした商品展開だ。

 実は先代キックスはブラジルで発売が開始され、タイで発売されたe-POWERモデルが2020年に日本にも展開された形となる。そもそもが国内市場を重視したモデルではなく、内装の完成度などを含めてやや「やっつけ感」は否めないモデルだった。

 さらに4WDモデルが2022年に遅れて登場するなど、ユーザーニーズを満たすことが後手に回ったこともあり、クルマの素性は悪くなかったが300万円オーバーのベース価格も相まって「知る人ぞ知る」モデルになってしまったのだ。

 その反省はしっかりと生かしてきた。最初から4WD、しかもe-4ORCEを用意し、価格もFF車のベースグレードは299万9700円と300万円を切ってくる執念も感じる。日本市場に真摯に向かい合ったモデルでもあるだろう。

「仮想敵」はヴェゼルと日産は明言する

ライバルとなるのは同価格帯となるヴェゼル。走りの爽快感や安心感で勝負をかける。もちろんカローラクロスにもひけをとることはない
ライバルとなるのは同価格帯となるヴェゼル。走りの爽快感や安心感で勝負をかける。もちろんカローラクロスにもひけをとることはない

 開発陣の話を聞くと新型キックスの「仮想敵」はホンダ ヴェゼルとカローラクロスだと明言する。近年の日産は「他社モデルA」などと具体的なモデル名を伏せることが多いのだが、今回はヴェゼルとカローラクロスの文字が説明資料に踊っていた。

 圧倒的な価格感のカローラクロスはさておき、特にヴェゼルについてはライバル心をメラメラと燃やしている様子が垣間見えた。価格でもヴェゼルのハイブリッドモデルのベースグレード「e:HEV X」が299万8600円と、キックスと1100円しか変わらない。

 ここまでギチギチに攻め込んでくる日産は久々に見たようにも思う。4WDもヴェゼルがXの321万8600円に対してキックスの「X e-4ORCE シンプルパッケージ」が334万9500円。少し贔屓目に見れば23万円差でe-4ORCEの圧倒的な安心感と爽快感が得られると思えばお得感はある。

内装の上質感や「斜め」のラインと「角度」を用いるデザインの妙もあってキックスの運転席はドライバーの気分を高めてくれる
内装の上質感や「斜め」のラインと「角度」を用いるデザインの妙もあってキックスの運転席はドライバーの気分を高めてくれる

 実際に試乗してみよう。まずはハイエンドグレードの「G」のFFモデルから。パワートレインからお皿になるが、キックスに搭載される第3世代e-POWERはセレナe-POWERに搭載される1.4LのHR14DDeエンジンを主軸にしたものだ。

 同じく第3世代e-POWERを搭載するエルグランドとはエンジンも異なるコンパクトカー向けのパワートレインだ。セレナのHR14DDeから出力は72kWと同じだが、トルクは123Nmから115Nmまで落としている。これはキックスのサイズであれば「必要にして充分」という判断だ。逆を言えば、NISMOなどのハイスペックモデルの登場も可能だ。

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