FFモデルは走りは上質だが気になる19インチ
乗り出すとすぐにその静粛性に気づく。ヴェゼルがやや賑やかなことを考えればこれは圧倒的なアドバンテージだ。加減速も非常に洗練されており、e-POWERを継続してきた日産の知見の賜物だろう。市街地でのごく低速域での振る舞いも非常にスムーズ。
高速道路に合流して加速をしていくと65km/hあたりまではエンジンもかからず、グッと踏み込むと微かに隔壁の向こうから微かにエンジンの鼓動を感じる。夢から醒めてしまう「シンデレラ現象」と筆者は読んでいたが、かつてのe-POWERはEVライクな走りをしていても突如として「ムゥァァァーーン」というエギゾーストで興醒めするシーンがあった。
それが圧倒的に低減しているのはとても嬉しい。しかし新開発のショックアブソーバーの実力はちょっと微妙だ。試乗したのが19インチモデル(225/45R19)ということもあるのだが、段差を超えた箇所で揺さぶりが戻らない。ショックの伸び側の減衰が唐突に立ち上がるような印象があり「ユラユラ」とした横揺れが残る。
コーナリング時などは安定感があるのだが、上質な乗り味を狙ったことは理解できるが運転が好きな人だと揺さぶりが気になるかもしれない。とはいえ、車室空間も快適だし、ヴェゼルと比較すればこの完成度なら勝負はキックスにある。
真骨頂はe-4ORCE+17インチのグレードだ
そしていよいよe-4ORCEを搭載したモデルに乗る。試乗車は「X+」で17インチタイヤ(225/60R17)だ。Xグレードはベースグレードの「シンプルパッケージ」、そして「X」、「X+」とすべてが17インチになり、Gグレードは19インチだけと覚えていただければ間違いない。
e-4ORCE自体が段差などで前後輪のトルク配分をしていることもあり、段差での身のこなしは明らかにe-4ORCEが優位。普通に走っても4WDモデルを積極的に選択したくなるような仕掛けがe-4ORCEには溢れている。
そして乗り心地については17インチを積極的に選ぶ価値があるように思う。エルグランドが60扁平のタイヤを使ってきたように豊富なエアボリュームはとても効いてくる。普通に走っていてもトントンと段差を超え、そこにe-4ORCEのトルク制御で車体全体の揺さぶりは激減する。
このクラスのSUVにしては完成度はピカイチ。圧倒的なおすすめはやはり17インチのe-4ORCEだ。日産としてはキックスを多く売り、国内販売を支える1台に育て上げる必要はあるが、乗らないとわからない魅力はもったいない。やはりディーラーまで足を運んでもらう工夫はもっと欲しいところだ。
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