在留外国人や訪日旅行者数が過去最多を迎える中、2025年の外国人運転者による交通事故が過去10年で「最多」を記録した。そんな中、ハードルが非常に低かった「外国免許切替手続き」が厳格化。事故の減少が期待されるが、問題点も残されている。その辺の事情を解説したい。
外国人の交通事故は5年前から2500件増、ライダーの死亡事故も
6月12日、政府が2025年版「交通安全白書」を発表。これによると、2025年の交通事故死者数は2547人で、統計開始以来最少となった。その一方で見逃せないデータもある。外国人運転者による交通事故が過去10年で「最多」に達したというのだ。
在留外国人数や訪日外国人旅行者数は過去最高を更新し、日本の運転免許を保有する外国人の数も約125万人(2024年末現在)と過去最高に。これに伴い、外国人による交通事故が増加している。2020年は5441件だったが、徐々に増加し、2025年は過去10年で最多の7906件(約45%増)となった。
交通事故全体において、外国人運転者による事故の割合も増加中。長年1%台で推移していたが、2025年では倍増の約2.8%に達し、有効な日本免許や国際免許を持たない無免許や飲酒運転するケースも一定数存在する。2025年5月に埼玉県三郷市で外国籍のドライバーが小学生4人への飲酒ひき逃げ事件を起こし、2026年6月にまたも無免許運転をして逮捕されたのは記憶に新しい。
そして、観光地や主要都市周辺で不慣れな運転による重大事故も多数発生している。バイクに関連した例を挙げると、2025年3月に石川県金沢市で外国人観光客が運転するレンタカーが右折しようとした際、対向車線を直進してきたバイクと衝突。ライダーは重体となった。
また、在留外国人が多い埼玉県川口市で2024年9月、トルコ国籍の18歳少年が無免許で乗用車を運転し、95km/hで赤信号を無視。原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生した。
このように事故件数の増加に加え、一部の外国人運転者の交通ルール無視による重大事件が社会問題となっている。言うまでもないことだが、身体を外にさらして走るライダーは事故でのダメージを受けやすい立場。ルールを守らないクルマは危険この上なく、憂慮すべき事態だ。

外国人運転者による交通事故件数の推移(令和8年交通白書より抜粋)。コロナ禍の入国制限を経て、訪日が再開された2022年(令和4年)から大きく増加し、2025年(令和8年)は過去10年で最大に。10年前と比べても1000件以上増えている。
緩かった「外免切替」が厳格化、学科の合格率は92→42%に激減!
事故の多発は、外国人運転者に対する外国免許切替手続き(外免切替)の緩さに一因がある。知識確認(学科試験)は「イラスト付きの○×問題が10問出され、7問以上正解すれば合格」と非常にハードルが低かった。技能確認(技能試験)もあるが、これもまた運転免許試験で受ける通常の一発試験より基準が緩い。
海外では免許取得が日本より簡単な国が多く、日本独自の交通ルールもある。にもかかわらず、ほぼ素通しで日本での運転を許可していたことになる。
―――だが、ようやく2025年10月から外免切替の審査が厳格化された。
「イラストなしの文章問題が50問」となり、90%以上の正解で合格へと大幅に厳しくなった。内容も、日本の細かな交通ルール(右直の優先順位や標識など)の正確な理解が求められる。
また、実技の審査項目も厳格化。従来の基本的な運転操作の確認に加え、「横断歩道での歩行者優先」「一時停止」「巻き込み確認」「右左折時の進路変更手続き」「踏切」「坂道発進」といった項目も追加された。
さらに観光客など短期滞在者が外免切替できなくなったのも大きな変更点だ。これまではホテルの住所等を利用して安易に外免切替が可能だったが、現在は住民票の提出が必須に。居住実態のない外国人観光客等は外免切替自体ができなくなり、日本のルールをしっかり学ばずに受験する層が制度的に排除されることになった。
警察庁が発表した厳格化直後(2025年10月~12月)のデータによると、合格率は次のように大幅に低下した。
◎知識確認(学科試験):92.5%(2024年)→42.8%
◎技能確認(実技試験):30.4%(2024年)→13.1%
およそ半減以下にまで急落したのだ。地域や試験場によってはさらに厳しく、技能試験の合格率がわずか1%台にまで落ち込んだケースも報道されている。逆に考えると、2025年10月以前は現在の基準に達していない運転者が2倍以上も合格していたことになるのだ。

ちなみに二輪免許(普通、大型)の技能試験も厳格化。合格率は二輪四輪を含めた数字で、二輪だけのデータは発表されていない。ただし四輪と違い、二輪は即一発試験中止になる項目があり、通常の一発試験も四輪より合格率が低い。これは外免切替も同様だろう。※写真はイメージ

日本の基本的な交通ルールや道路標識を説明した、警察庁のパンフレット。「左側通行」や「右左折時に対向車線に入らない」「一時停止標識は、国際連合道路標識では赤色八角形であるが、日本では赤色逆三角形であること」「赤信号(青色の矢印信号が出ている場合を除く。)では右左折はできない」など、日本のルールが各国の言葉で説明されている。
変更前の合格者は日本の免許を維持・更新し続けることが可能
基準が厳しくなったのは歓迎だが、本来日本人が運転免許を取得する際は高額な教習費を払い、長時間教習を受けている。外免切替した人が、同様の基準に達しているか疑問が残る。
加えて、変更前の低いハードルで免許を手に入れた運転者が今後も運転し続けることも問題だ。
外免切替をした場合も、更新手続きは日本の運転免許と同様に3~5年ごと。更新手続きでは、法規知識や運転技能を再確認する試験は存在せず、視力検査などの適性検査と、区分に応じた講習(ビデオ受講など)が義務付けられるのみだ。
つまり、日本の交通ルールを十全に理解せず、運転技術に劣る可能性がある運転者が、今回の厳格化によるチェックを一切受けることなく、簡単な更新手続きだけで日本の免許を維持・更新できてしまうのだ。
警察庁では、外国人運転者に対する交通安全教育を推進していくと発表しているが、法改正の効果を相殺しかねない。免許更新の際に安全性を担保するためのチェック機構を導入すべきだろう。
ちなみに今回の厳格化は、教習所の変化ももたらしている。免許センターで一発試験を受けても合格が難しくなったことで、各地の指定自動車教習所へ試験対策を依頼する外国人が急増。香川県や千葉県の教習所などでは、外国人受講者の受け入れ数が1.5倍近くに増え、外免切替の運転試験対策の専用講習を導入した教習所も。教習所にとっては新しいビジネスチャンスが生まれている効果がある。
2028年度末までに123万人が来日? 日本の交通ルールをしっかり守ってほしい
政府は深刻な人手不足に対応するため「外国人労働者」の受け入れを大幅に拡大する方針を明確に打ち出している。2028年度末までに計123万人の外国人労働者を受け入れる上限枠を閣議決定しており、これは過去最大の規模だ。
今後も外免切替をする外国人が増加するのは確実。厳格化によって不十分な知識や技術でも合格できるリスクが減ったのは評価したいが、その基準で本当に大丈夫なのか、厳格化前に外免切替をした運転者へのチェック機構が必要ではないか、といった疑問は残る。
もちろん外国人運転者の全員が問題なのではなく、悪質な運転をしているのは一部の運転者だ。今後はさらに優良な外国人運転者が増え、過去最高を記録した外国人運転者の事故が1件でも減ってほしい。同時に、これから外免切替する人には、日本のルールをしっかり学び、事故や違反をしない運転者になってほしいものだ。
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/567769/
外国人の交通事故が過去10年で最多を更新! ユルすぎた「外免切替」は厳格化されたが…問題点はまだ残る?【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/567769/567856/





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