MT車というとGR86やフェアレディZ、マツダロードスターのようなスポーツカーを思い浮かべがちだが、日常で楽しむならパワーを使い切れる「フツーのMT車」も面白い。買い物から通勤まで普通に使えて、シフトを操れば走る楽しさもしっかり味わえる。絶滅寸前だからこそ乗っておきたいMT車5台を紹介しよう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:スズキ、トヨタ、ホンダ、ベストカーWeb編集部
速くなくても楽しい! 日常で使い切れるワゴンRのMT車
「MT車に乗りたい。でもスポーツカーはいらない」。そんな人にぜひ注目してほしいのがワゴンRである。
1993年に初代が登場したワゴンRは、軽ワゴンという新たなジャンルを切り開いたスズキの大ヒットモデル。現行型は2017年に登場した6代目で、2025年12月の一部改良ではエクステリアデザインを一新するとともに、安全装備や快適装備も充実した。
そして嬉しいことに、今も5速MTが残されている。
5速MTを選べるのは660cc自然吸気エンジンを搭載するZLで、2WDと4WDの両方に設定。価格は2WDが145万7500円、4WDが158万700円である。
ワゴンRのMTが面白いのは、まさに「普通の軽自動車」であることだ。買い物にも使えるし、後席に人を乗せることもできる。荷物だってしっかり積める。それでいて運転席にはクラッチペダルがあり、自分でギヤを選んで走れる。
絶対的な速さを求めるクルマではない。しかし、だからこそアクセルを踏み、エンジンを回して、シフトアップしていく一連の操作を一般道でも楽しめる。
高性能車ではアクセルを少し踏んだだけで速度が出てしまうが、ワゴンRならクルマの性能を使い切って走る感覚がある。日常生活のなかでMTを楽しめる、今や非常に貴重な存在なのだ。
スイフトスポーツじゃないHYBRID MXのMT車
スズキのMT車と聞けば、2025年2月に生産を終了したスイフトスポーツを思い浮かべる人も多いだろう。
しかし現行スイフトにも、しっかりMT車が残されている。それがHYBRID MXの2WDに設定される5速MTだ。
搭載される1.2L直列3気筒Z12E型エンジンは最高出力82ps、最大トルク11.0kgm。さらにISG(モーター機能付発電機)によるマイルドハイブリッドを組み合わせる。
スペックだけ見れば、もちろんスイフトスポーツのような刺激的な数字ではない。しかし、この「ちょうどよさ」がいい。
スイフトはもともと軽量コンパクトなボディと素直なハンドリングが魅力のクルマだ。そこに自分でギヤを選択する5速MTが組み合わされることで、街中の交差点を曲がるだけでもクルマとの一体感が生まれる。
しかもHYBRID MXの5速MTはWLTCモード燃費25.4km/L。MTを操る楽しさと優れた燃費性能を両立しているのも現代のMT車らしいところだ。
価格は192万2800円。200万円を切る価格で、新車のハイブリッド+MTが買えるのである。
速さを競うのではなく、エンジンのおいしい回転域を自分で探しながら走る。そんなMT本来の面白さを味わえる一台である。
ヤリスの1.5L車のMTは想像以上に軽快に走ってくれる!
トヨタのコンパクトカー、ヤリスにも6速MTが用意されている。
ヤリスには強烈なキャラクターを持つGRヤリスが存在するが、今回注目したいのはそちらではない。1.5L自然吸気エンジンを搭載する、ごく普通のヤリスのMTである。
1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジンに6MTを組み合わせ、駆動方式は2WD。最高出力120ps、最大トルク14.8kgmと飛び抜けて高性能ではないものの、MT車の車重は約1トン。軽量なボディとの組み合わせによって、数字から想像する以上に軽快に走ってくれる。
しかもGA-Bプラットフォームによる低重心で高剛性なボディを持つため、ステアリングを切った時の動きも軽快。そこへ6速MTが加わることで、「普通のコンパクトカーなのに運転が楽しい」という昔ながらの魅力が蘇る。
2026年の改良では特別仕様車Z“URBANO”にも6速MT車が設定され、MTを選ぶ楽しみはまだ残されている。
大パワーを持て余すのではなく、120psをしっかり使って走る。これこそフツーのMT車ならではの醍醐味ではないだろうか。
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