信号待ちや渋滞などでクルマが一時停止した際に、自動でエンジンを一時停止し、ブレーキ解除などの発進操作に応じて再始動させるアイドリングストップシステム。燃費向上やCO2削減の切り札として2000年代から一気に広まった装備です。
エンジンを停止させるという点で、アイドリングストップは「ドライバーが自分でエンジンを切る」のと同じことのように感じますが、両者は仕組みも安全性も大きく異なります。自動制御と手動停止の違いを解説するとともに、バッテリー交換費用まで含めた「本当のコスパ」や、自動アイドリングストップのメリットとデメリットを検証します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_tarou230/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】「アイドリングストップ中はエアバッグが開かない」って本当? JAFの注意書きに隠された“手動停止”の意味(9枚)画像ギャラリー同じ「エンジン停止」でも手動と自動ではまったく違う
エンジンが低い回転数で動き続ける「アイドリング」。クルマが停止していても、エンジン内部では燃焼が続くため、わずかながら燃料を消費しています。
JAFによると、一般的な2.0Lクラスのガソリン車では、10分間のアイドリングで約130ccの燃料を使うとのこと。燃費に悪影響を及ぼすだけでなく、排出ガスや騒音も発生するため、駐車場などでは不要なアイドリングを控えるよう求められています。
このエンジン内部で燃焼が続くアイドリングをストップさせるのが「アイドリングストップ」なのですが、車載機能による自動アイドリングストップと、ドライバーが任意にエンジンを停止させる手動停止とでは、クルマで行われている制御は大きく異なります。
手動停止では安全装置や運転支援機能が働かないことも
一般的なガソリン車の自動アイドリングストップでは、エンジンが停止しても車両システムは起動したままです。ハイブリッド車も、「READY」が点灯していれば走行可能な状態にあり、エアバッグやABSなどの安全装置をはじめ、運転に必要な機能は作動可能なまま保たれています。
一方、ドライバーがエンジンスイッチやパワースイッチを操作する「手動によるエンジン停止」は、クルマが完全にオフの状態になるため、エアバッグをはじめとする安全装置が作動できなくなります。
また、自動アイドリングストップ車は、バッテリーの充電状態やエンジンの暖機状況、エアコンの使用状況などをもとに、エンジンを停止できるかどうかを判定しており、条件が整っていなければ停止しません。停止した場合も、その後に状況が変われば自動的に再始動します。ハイブリッド車も、駆動用バッテリーの充電状態や暖機、空調の要求などに応じて、エンジンの始動と停止を自動制御しています。
ただ、ドライバーが「手動によるエンジン停止」によって車両システムをOFFにすると、こうした監視や自動再始動は行われません。パワーシステムが停止すると、車種によってはブレーキの倍力装置やパワーステアリングが作動しなくなり、ブレーキペダルやステアリング操作に通常より大きな力が必要になる場合があります。
自動アイドリングストップが非搭載のクルマで、長い信号待ちなどでエンジンを切るという人はいるかもしれませんが、燃料を節約する目的で、信号待ちや渋滞中に手動でエンジンを切るのは避けるべきです。
JAFがウェブサイトに掲載している「停止時のエコ運転術」では、「エアバッグなどの安全装置が機能しないので、先頭車両付近ではアイドリングストップをしないでください」「坂道ではアイドリングストップをしないでください」など、アイドリングストップでの注意点が記載されていますが、これは車載機能による自動停止ではなく、ドライバーがキーやスイッチを操作して車両システムをOFFにする際の注意点。
このページではアイドリングストップが「手動によるエンジン停止」を指すことが十分に説明されておらず、車載機能による自動アイドリングストップでも安全装置が働かなくなるように受け取れることは、誤解されかねない書き方だと感じます。











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