ポーランド伝統の自動車ブランド「スター」が復活! MANの軍用トラック部門に

ポーランド伝統の自動車ブランド「スター」が復活! MANの軍用トラック部門に

 ポーランドの自動車メーカー/ブランド「スター」をご存知の方は多くはないかもしれないが、1940年代からトラックを製造する老舗メーカーだ。ドイツのMANに吸収されブランドとしては一度消滅したのだが、このたび再始動が発表された。

 新しいスターは、ポーランドで製造される軍用の非戦闘車両のブランドとなる。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus・Rheinmetall AG・RMMV GmbH

MANが防衛産業に本格参入

ポーランド伝統の自動車ブランド「スター」が復活! MANの軍用トラック部門に
ポーランドの「STAR」がMANの軍用車ブランドとして復活する

 ドイツの大手商用車メーカーでフォルクスワーゲンの商用車部門・トレイトングループに属するMANトラック&バスと、同社とラインメタルの軍用車合弁企業・ラインメタル・マン・ミリタリー・ビークル(RMMV)、およびポーランドの防衛企業のWBグループが戦略的パートナーシップを締結し、共同で欧州市場における防衛能力の強化を図っている。

 その一環としてポーランドの伝統的な自動車ブランド「STAR(スター)」を復活させるという。

 これはポーランドで開催されたMSPO国際防衛産業展示会に合わせて2026年9月8日に発表されたもので、欧州で高まっている軍用車の需要に対応するため、各社の技術と専門知識を組み合わせる。

 3社は防衛ソリューションを共同で開発・統合・生産することにしており、実績のある車両プラットフォームに最先端の軍事ミッションシステムを統合し、欧州全域の顧客向けに製品を提供する。

 各国が防衛支出を増やしていることなどから、このところ防衛産業の成長が続いている。「中欧」とも呼ばれるポーランドは欧州の東西をつなぐ要衝にあり、GDPに占める防衛予算の比率はNATOで最大。同じくドイツのダイムラーも軍用パワートレーンをポーランドで現地生産すると発表しており、欧州防衛の要となっている。

 MANは合弁のRMMVを通じて間接的に防衛部門を強化してきたが、STARブランドを復活させより直接的・本格的に防衛産業に関与する。

 3社の経験とエンジニアリング技術、ノウハウ、市場地位を活用することで新たな事業機会を共同で評価することが可能になるとしているほか、ポーランドのクラクフ工場に大規模な投資を行ない、MANの民生用トラックについても生産能力を強化する予定だ。

ポーランドの「STAR」ブランドが復活

ポーランド伝統の自動車ブランド「スター」が復活! MANの軍用トラック部門に
新生STARはMANのTGSおよびTGMがベースとなる

 展示会ではMANのTGS 6×6がベースとなる軍用ロジスティクス車両がSTARブランドで展示された。非戦闘用の車両となるため、軍のほか赤十字や緊急・消防隊などにも提供される予定だという。

 MANのCEOを務めるアレクサンダー・フラスカンプ氏は次のように話している。

「軍用ロジスティクス需要の高まりと、変化する地政学的環境に対応するため、強力なパートナーシップと信頼性の高いソリューションが求められています。メイド・イン・ポーランドというアプローチと、STARブランドの復活を通じてミッション指向型の輸送ソリューションを開発していきます」。

 STARはポーランドのFCSスター社のブランドで、同国で最も歴史のある自動車ブランドの一つだ。国営トラック工場として1948年に設立された同社は、民生用だけでなく、数十年に渡って軍事物流も支えてきた。社名及びブランドの由来は、本社のあったスタラホヴィツェ(Starachowicki)の最初の4文字で、1990年代に民営化された。

 トラック部門と乗用車部門に分社化された後、トラック部門はMANに買収され、軍用車とMANブランドのバス製造がメインに……。MANは2009年に同社の社名から「STAR」を削除し、ブランドとしては一度消滅した。

 STARが製造した車両として最も有名なのは、ローマ教皇専用車(イタリア語でパーパモービレ)だろう。20世紀の中盤から教皇の一般拝謁に際して自動車が使われるようになり、様々なメーカーが車両を提供している。メルセデス・ベンツやリンカーンなど高級ブランドが多いのだが、ヨハネ・パウロ2世の初めての教皇専用車はSTAR 660トラックがベースだった。1979年のポーランド訪問の際に使用したもので、このブランドが世界的に認知されるきっかけとなった。

 MANによる買収後、キャブやエンジンはMAN製となりメーカーとしての存在感は低下するが、STARブランドの車両は今も約1万台が稼働しているという。

ポーランド伝統の自動車ブランド「スター」が復活! MANの軍用トラック部門に
MANのクラクフ工場で製造するようだ

 再始動したSTARトラックは、MANの現行型トラックであるTGM(中型)およびTGS(大型)シリーズをベースとしてポーランドのクラクフ工場で製造することになる。

 ポーランドにはMANの工場が多く立地しており、トラックを製造するクラクフ工場のほか、スタラホヴィツェにバスの製造拠点がある。小型車のTGEをポズナンで製造しており、ポズナン近郊のサディには改装センターもある。

 最近、MANはポーランド政府と覚書を交わしており、新たに12億ユーロを投資しクラクフ工場の面積を2倍以上に拡張するという。軍用車のみならず、MANの最新型バッテリーEVトラックなど民生用トラックの製造でも同工場は重要な役割を担うことになりそうだ。

【画像ギャラリー】復活する「STAR」軍用トラックとラインメタル/RMMVの車両(9枚)画像ギャラリー

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