警察庁が発表した2026年上半期の統計によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は前年同期比で約14%増加し、2年連続で増加しました。事故類型では、75歳未満と比べて車両単独事故の割合が高く、2025年通年の分析では、操作不適による死亡事故の割合も高いことが示されています。
免許更新時に行われる「運転技能検査」についても、追跡調査から、現在の検査内容では事故を起こす危険性が高い人を十分に判別できていない可能性が示されました。これを受け、警察庁の有識者検討会は、検査項目や採点基準の改善案を示しています。「免許返納か継続か」という二択にとどまらない、高齢ドライバー対策のいまを考えます。
【画像ギャラリー】高齢ドライバーの死亡事故がまた増えた!! 75歳以上は「単独事故」が1.8倍…返納だけでは解決しない理由(10枚)画像ギャラリー文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_kazoka303030/写真:Adobe Stock、写真AC、警察庁
75歳以上による死亡事故が2年連続で増加
警察庁が2026年7月に公表した「令和8年上半期における交通事故の発生状況」によると、2026年1月から6月までに、75歳以上のドライバーが第1当事者となった死亡事故は202件発生。2025年同期の177件から25件、率にして約14.1%増え、2年連続の増加となっています。
免許保有者10万人当たりで比べても、75歳以上のドライバーが第1当事者となった死亡事故は2.4件で、75歳未満の1.1件に対して約2.2倍となっています(第1当事者とは、事故に関わった人のうち、過失がもっとも重い人。過失が同程度の場合は、けがの程度が軽い人を指します。集計対象には四輪車だけでなく、自動二輪車と一般原付も含まれます)。
10年前の2016(H28)年上半期は、75歳以上のドライバーによる死亡事故が218件、免許保有者10万人当たりでは4.6件でしたので、死亡事故件数は長期的には減少しているものの、2021(R3)年の156件を底に下げ止まっており、以降は増減を繰り返しながら増加傾向にあります。高齢者講習や認知機能検査といった制度が導入され、クルマの安全性能も向上してきましたが、近年の推移からは、これまでの対策だけでは抑えきれない兆しが表れているといえます。
75歳以上では「車両単独」が死亡事故の4割超
75歳以上のドライバーによる死亡事故には、事故に至る経緯にも特徴があります。2026年上半期に発生した202件を事故類型別に分けると、人対車両が38件、車両相互が77件、車両単独が85件、列車事故が2件。車両単独事故が全体の42.1%を占めています。
75歳未満のドライバーによる死亡事故(839件)では、車両単独事故は201件で割合は24.0%ですので、75歳以上は、75歳未満の約1.8倍に達しています。
車両単独事故は、道路脇の電柱やガードレール、建物などへの衝突、道路外への逸脱、転落、横転など。今回の上半期資料では、85件それぞれがどのような状況で起きたのか、何が直接の原因だったのかまではわかりませんが、警察庁がまとめた別の資料では、高齢ドライバーに操作上のミスが多い傾向が示されています。
警察庁交通局がまとめた「令和7年における交通事故の発生状況について」によると、75歳以上のクルマのドライバーが第1当事者となった死亡事故の人的要因は、「操作不適」が33.1%でもっとも多く、75歳未満の10.7%に対して約3.1倍でした。
「操作不適」とは、ハンドルの操作不適、ブレーキとアクセルの踏み間違い、ブレーキの踏みが弱い又は踏み遅れ、急ブレーキをかけたなど。さらに警察庁が2026年9月に公表した「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会の報告書等について」では、2025年中に発生したアクセルとブレーキの踏み間違いによる死亡事故46件のうち、75歳以上のドライバーが31件と、全体の約7割を占めていたことが示されています。













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