ホンダが放った注目BEV、スーパーワン。かつて強烈な個性でクルマ好きを熱狂させたシティターボIIを思い浮かべずにはいられないが、では、あの「やんちゃ」な走りを知っているプロドライバーはどう感じたのか!? 往年のブルドッグを知る目線から、スーパーワンを語る!
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部、無限
【画像ギャラリー】実際にブルドックとどれだけ似てる!? スーパーワンとシティターボIIを写真でじっくり比べてみて!(16枚)画像ギャラリー見た目はまるで現代版ブルドッグ!?
ホンダのBEV「スーパーワン」の特徴的なスタイリングを初めて見たとき、1980年代に登場したホンダ・シティターボII(通称「ブルドッグ」)を思い出した人は少なくないだろう。 前後の大きく張り出したオーバーフェンダー。コンパクトなボディに対してワイドなトレッドを与えたシルエットは、まさにブルドッグを彷彿とさせる。
自身、かつてブルドッグのワンメイクレースに参戦した経験がある。そのためスーパーワンの姿を見た瞬間、当時の記憶がよみがえったのだ。ただし、そこで思い浮かべたのはスタイリングだけではない。ブルドッグはハンドリングにも強烈な個性を持った、いわば「じゃじゃ馬」だった。
当時のシティは全長約3.4m、全幅約1.6m、全高約1.5mという非常にコンパクトなボディ。そのシティをベースにトレッドを拡大し、さらにターボチャージャーを装着して、最大出力110馬力、最大トルク約160Nmという強烈な動力性能を与えていた。小さなボディに大きなパワーを詰め込んだ結果、ハンドリングはかなり刺激的だった。
直線でアクセルを踏み込めば強烈なトルクステアが発生し、コーナーではアンダーステアからオーバーステアへと急激に挙動が変化する。アクセルを戻せばタックインが起こり、ワンメイクレース仕様ではスリックタイヤによってさらにグリップ変化が激しくなっていた。
レースでは接触やクラッシュも多発。自身も大きなクラッシュに巻き込まれ、空中で3回転するような経験までしている。それほどまでに、当時のブルドッグは「じゃじゃ馬」だったのである。だからこそ、今回スーパーワンを見たときには、正直なところ「現代版ブルドッグなのだろうか」と少し身構えたのだ。
N-ONE e:がベースでも別モノ!
ところが、実際に乗ってみると、その予想は完全に裏切られた。見た目にはブルドッグの面影がある。しかし、走りには当時の面影が全くない。むしろ、驚くほど上質でマイルドなのだ。スーパーワンは軽EVであるN-ONE e:をベースに開発されている。
基本的なボディデザインもN-ONE e:を踏襲しているが、前後フェンダーを張り出させ、トレッドを拡大することで、ワイドでスポーティなスタンスを作り出している。N-ONE e:のトレッドが約1305mmなのに対し、スーパーワンでは約1345mmまで拡大され、全幅は1575mmとしている。
この手法は、かつてのシティとシティターボIIの関係を思わせるものだ。しかし、ハードウェアを見ると、スーパーワンの中身は現代そのものだ。駆動方式はフロントモーターによるFF。搭載される19.5kWhのバッテリーとモーターはN-ONE e:と基本的に共通で、最大トルクも162Nmと同じだ。
面白いのは、ハードウェアを大幅に変更するのではなく、制御によってパフォーマンスを引き上げている点にある。N-ONE e:では軽自動車規格に合わせ、最高出力は47kWに制御されている。
一方、普通車として登録されるスーパーワンではブーストモードを使うことで最高出力を70kWまで引き上げることができる。つまり、基本的なパワートレインを共有しながら、コンピューターの制御を変更することで、より高い出力を引き出しているわけだ。これはBEVならではの特徴とも言える。
エンジン車の場合、排気量やターボ、燃料系、冷却系など出力を引き上げるためにはさまざまなハードウェアの変更が必要になる。しかしモーターを使うBEVでは、電池やモーターなどのハードウェアが許容する範囲で、制御によって出力特性を変更できる。




















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