速さを競うBEVじゃない、でも操る楽しさはしっかり!!
ただし、このクルマを「速いクルマ」と考えてはいけない。最高出力70kW、約95馬力相当で最大トルクは162Nm。1090kgという車重には十分に軽快だが、サーキットで絶対的な速さを競うような方向ではない。街中やワインディングでアクセルを踏み込んだときのトルク感や仮想的な変速、サウンドなどを楽しむクルマだ。
サーキットへ持ち込めば、それなりに楽しめるポテンシャルはあるだろう。筑波サーキットのコース1000のようなミニサーキットなら、軽快なハンドリングを楽しむこともできるはずだ。
ただし、19.5kWhというバッテリー容量を考えれば、スポーツ走行を続けて電力を消費するような使い方は現実的ではない。電気自動車にとって航続距離は依然として重要な性能だからだ。スーパーワンのWLTCモード航続距離は275km。
試乗時、メーターでは96%充電時にNORMALで203km、ECONでは216kmなどと表示されていた。ブーストモードを積極的に使えば、それだけ電力消費が増えるのは当然だ。だからこそ、このブースト機能は必要なときに使う飛び道具と考えた方がいいだろう。高速道路での合流や追い越し、ワインディングの上り坂など、もう少し力が欲しいという場面で使う。
普段はNORMALなどで走り、必要なときだけブーストボタンを押す。そのくらいの付き合い方がスーパーワンには合っていると思う。
条件次第ではN-ONE e:より安い!? 補助金で起きる逆転現象
そして、このクルマについてもうひとつ話題になったのが購入時の補助金だ。東京都の制度など条件によっては非常に大きな補助を受けられるケースがある。一戸建て住宅に住んでいることや、充電設備、V2Hなど一定の条件を満たす必要があるが、場合によっては車両価格に匹敵するほどの補助金となる。実際、それによってかなり少ない自己負担でスーパーワンを購入したという例もあるようだ。
ここで少し皮肉なのは、ベースとなったN-ONE e:には同じ条件で同額の補助が出るわけではないことだ。そのため、条件を満たす人にとっては「普通車のスーパーワンのほうが安く手に入る」という逆転現象が起きることになる。もちろん、これは補助制度の条件を満たした人に限られる話ではある。
しかし、購入を検討する側からすれば、非常に大きなインパクトがあることは間違いない。 話をスーパーワンそのものに戻そう。オーバーフェンダーによってワイドになっているとはいえ、全幅は1575mm。都市部での取り回しも非常にしやすい。乗員は軽自動車と同じ4人で荷室容量など基本的な実用性はN-ONE e:と大きく変わらない。
つまり、日常の足として必要なコンパクトEVの使いやすさを持ちながら、そこにオーバーフェンダーによる個性的なスタイリングとブーストモードやサウンド、仮想変速といった「遊び」を加えている。
ブルドッグのやんちゃさを再現! スーパーワンの本質はココ!!
さらに遊び心を加えるなら、例えばブーストモードのサウンドを現在のV8風サウンドだけでなく、アイルトン・セナの時代を知る人なら思い出すホンダV12のF1サウンド、V10時代のF1サウンド、あるいは1.5LターボF1時代のサウンド、さらにはシティターボIIブルドッグのエンジンサウンドなどから選べるようにしたら面白い。
もちろん実用性には何の関係もない。しかし、こういう意味のないことを本気でやる遊び心こそホンダのスポーツモデルには必要なのではないだろうか。
ブルドッグは危うさも含めて魅力的なクルマだった。アクセルを踏めばトルクステアで暴れ、コーナーではアンダーからオーバーへ急激に挙動が変化する。乗り手の技量を試すようなところがあり、それが当時のスポーツカーとしての魅力でもあった。
だがスーパーワンは、暴れない。破綻しない。静かで、上質で、扱いやすい。それでも、ブルドッグを思わせるオーバーフェンダーを身にまとい、ボタンひとつで70kWのパワーを引き出し、室内には仮想のエンジンサウンドが響く。ブルドッグが持っていたやんちゃな雰囲気を現代の技術で安全かつ上質に蘇らせたのがスーパーワンなのだと思う。
【画像ギャラリー】実際にブルドックとどれだけ似てる!? スーパーワンとシティターボIIを写真でじっくり比べてみて!(16枚)画像ギャラリー


















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