欧州市場ではボディサイズによって「セグメント」という呼び方で区分けをしている。中でも、最も需要が多いのが、全長4100mm以下のコンパクトカーが所属するBセグメントだ。そして、この熾烈な争いが繰り広げられている欧州Bセグメントで一位を獲得しているのが、ルノーのコンパクトハッチバック「クリオ(日本名ルーテシア)だ。
欧州では2019年にモデルチェンジが行われ5代目が販売されているが、ここ日本では、まだ4代目が販売されている。本記事では、欧州ナンバーワンのフレンチハッチバック「ルノークリオ」の魅力に迫ってみようと思う。
文:吉川賢一/写真:RENAULT、VW、FORD、PEUGEOT、DACIA、ベストカー編集部
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グラマラスで高クオリティ
Bセグメントは、日本でいうところのヤリスやフィット、ノートといったコンパクトカーに近いサイズのカテゴリーだ。ただし日本の5ナンバーサイズのような厳密なボディサイズの基準はなく、おおよそのサイズ感で分けられており、全長3800 mmから4200 mm、全幅は1695mmから1750mm程度のサイズであれば、「Bセグメント」と呼ぶ。
2019年5月に販売開始した、5代目となる新型クリオのボディサイズは4050×1798×1440(全長×全幅×全高[mm])、ホイールベースは2583mm。先代に対し、全長は45mm短縮、全幅は48mm広がり、全高は5mm下がった。また、ホイールベースは17mm短縮されている。全長は短いながらも、VWゴルフ並にワイドボディとなり、フェンダー周りのボリューム感が増し、非常にグラマラスになった。
また、エクステリアの雰囲気は一見、4代目と変わりないようにも見えるが、メガーヌのようなヘッドライトのシグネチャーや、窓の淵についたメッキモールなど、細部のクオリティが向上している。インテリアは、ダッシュボードに縦型の大型モニターを備えていたり、サイドサポートがしっかりと効いたボリューム感のあるフロントシートなど、非常に高クオリティだ。
パワートレインは、直列3気筒ガソリン、直列3気筒ガソリンターボ、直列4気筒ガソリンターボ、直列4気筒ディーゼルターボと、欧州車らしくバラエティに富んでいる。そして、ここにさらに注目のフルハイブリッドシステムが追加となる。
新世代のハイブリッドシステム「E-TECH」も
2020年6月より、新開発のハイブリッドシステム「E-TECH」を搭載するクリオE-TECHの受注が開始となった。このE-TECHは、ルノーのエンジニアリングによって開発され、ルノー日産三菱アライアンスで、構造部品を共用する。新型クリオのE-TECHシステムは、1.6リットル直列4気筒エンジンに2つの電気モーター、マルチモードギアボックス、蓄電容量1.2kWhの230Vリチウムイオンバッテリーを組み合わせる。エンジンとモーターを合わせたシステム最大出力は140psだ。
E-TECHシステムでは、クラス最高レベルのレスポンス、優れた燃費、減速時の素早いバッテリー充電など、最大限の効率を追求しているという。
ルノーによると、都市部の走行では、その8割をEVモードで走行が可能。市街地走行では同クラスのガソリン車と比較して、最大4割の燃費向上、EVモードで最高速75km/hでの走行が可能だ。WLTPモードでは23.2km/L、CO2排出量は96g/kmを達成するという。
CMF-Bを使うジュークやマイクラ、そして三菱の新型RVRには、間違いなく搭載されるだろう。ただし、立派なギアボックスを持っており、エンジン動力による走行も可能な様子を見ると、日産のe-POWERのように常にモーター駆動のシステムとは異なる。
スピードレンジが高い欧州で販売する日産車・三菱車への搭載にとどまる可能性が高いが、ワンペダルドライブも可能ということから、このシステムが次世代e-POWERとして導入される可能性もある。となると、WLTCモード燃費23.2km/Lという控えめな数値は、ライバルに対してはやや心許ないが。
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