伝統の“クロカン”が歴史に幕。現在トレンドとなっているSUV(スポーツ多目的車)が普及する以前から存在し、RVブームを牽引した三菱のパジェロが、ついにその歴史に幕を閉じることが明らかとなった。
すでに国内向けのパジェロは販売終了となっているが、三菱自動車によると「海外向けモデルが生産終了することは事実」とのことで、これで国内外を含めてパジェロは生産・販売を終了することになる。
しかし、パジェロを冠したモデルが消滅するわけではない。実はタイなど日本国外では、より設計の新しい「パジェロスポーツ」が販売されており、こちらは「今後も販売・生産を継続する」(三菱自動車広報部談)とのこと。
パジェロの伝統を一手に背負うパジェロスポーツはどのような魅力・実力を備えているのか。試乗経験もある自動車ジャーナリストの片岡英明氏が解説。
文:片岡英明、写真:三菱、池之平昌信
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ブーム巻き起こしたパジェロは2021年上半期に生産終了
三菱がジープの生産を通して培ってきた4輪駆動技術を駆使して開発し、1982年に送り出したクロスカントリー4WDがパジェロである。
ハイ/ローのトランスファー(副変速機)を備えた本格的な4WDシステムを備え、卓越した悪路走破性能を誇るが、高速道路やワインディングロードの走りもそつなくこなす万能選手だった。
初代モデルはスタイリッシュなデザインも好評だったからSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)ブームを巻き起こしている。また、パリ・ダカールラリーにも参戦し、大暴れした。
60万台以上の販売を記録してヒット作となったパジェロは、1991年に2代目にバトンタッチし、こちらも大ヒットを飛ばしている。
続く3代目は1999年9月に登場。メカニズムに新機構を加え、ポテンシャルを大幅に高めている。これを正常進化させた4代目は2006年12月にベールを脱いだ。
メカニズムの信頼性は高く、快適性も大きく向上した。だが、リコール隠しや燃費改ざんなど、三菱の相次ぐ不祥事に足を引っ張られも販売は伸び悩んでいる。モデルチェンジしてもカンフル剤にならなかったので、販売は一気に落ち込んだ。
そして2018年12月をもって国内向けのショートボティは生産を終え、ついには国内向けパジェロすべてが姿を消すのである。
翌2019年4月24日にファイナルエディションを発表し、8月には国内販売を終了した。それだけではない。
一時は三菱をけん引したパジェロを、2021年の上半期に生産終了すると発表している。
また、生産工場として知られている岐阜県加茂郡坂祝町のパジェロ製造の工場の閉鎖も決定した。国内販売に続き、海外に輸出しているパジェロまでも生産終了を宣言したことは、三菱ファンでなくてもショックだろう。
しかし、これでパジェロの名がなくなったわけではない。
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