2017年10月27日未明、スバル(群馬製作所)にも無資格の人間が完成検査に携わっていたことが同社の社内調査により判明した。
群馬製作所は国内で販売されているほぼすべてのスバル販売車種を担当しており(OEM車を除く)、それはトヨタに供給している「86」も含む。
この問題でスバルは同日(つまり本日)17時10分頃、報道各社へ公式リリースを発信。以下のその内容をそのままお伝えしたい。
文:SUBARU、ベストカーWeb編集部
■ベストカーWeb編集部によるスバル公式リリースの要点まとめ
○スバル工場での完成検査は、「国交省へ提出している上位規定(完成検査要領)」とは別の「業務規定」があった
○スバル工場内ではあくまで「業務規定」に沿って完成検査が実施されていたが、それは「上位規定(完成検査要領)」とはズレがあった
○スバルの業務規定によれば、これまで完成検査に携わる者は、
A.「担当検査工程に必要な教育と訓練を受け、完成検査業務に必要な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者(係長)に認定され、担当検査工程に従事するよう、監督者(班長)に指名された者」→2017年10月1日時点でスバル全体で4名
B.「上記【A】に加え、個々人の保有資格(2級自動車整備士等)に応じて設定された期間を監督者の監視下で完成検査業務に従事したのち、社内の筆記試験に合格した者(これを「完成検査員」と称し、上記のような「監督者の監視」から外される)」→2017年10月1日時点でスバル全体で245名
上記「A」、「B」からなっていた
○このうち「A」4名は「上位規定(完成検査要領)」によれば「完成検査員」ではなく、この4名が完成検査に携わっていたことから、今回の問題発覚となった
○今後は規定を整理し、こうしたことが起こらないよう体制を見直す
○リコールを実施するかどうかは検討中
○(吉永社長会見によると)人手不足ではなく、現場に経験を積ませるためにそういう(「業務規定」のような)制度を採用していた、深く反省している、とのこと
■編集部による考察
まず前提として「ルールはルール」であり、それを独自解釈して独自運用する行為は非常に危険な状況だった。
特に「完成検査」というのは自動車の信頼性を支える根本的な部分であり、この規定が解釈次第で(メーカーごとに)バラバラに運用されていた状況は憂慮すべき事態だといえる。
透明性を高めた上で、規定そのものの改善を強く求めたい。また、再発防止に向けた根本的な監督体制の見直しが必要だろう。
その上で、本件に関していえば、スバル全体で4名の無資格者が(それも必要な知識と技能を100%身につけたと判断された者が、監督者の監視のもとで)検査業務に携わっていたということを、ことさら問題視するのもどうなのか……とは思う(もちろん今後の調査や改善項目次第ではあるが)。
なによりスバルの場合は「社内調査の結果」であり自己申告であるという点も、考慮して判断したい。
「規制を強める」あるいは「厳罰化する」というよりは、「規定を(各メーカーおよびユーザーが納得し実施できるラインで)具体化する」という方向で、完成検査制度の規定を見直す機会にすべきではないだろうか。
(以下公式リリースを引用)
■当社製自動車の完成検査に関わる社内調査結果について
この度、国土交通省 平成29年9月29日付文書「日産自動車の完成検査の不正事案を受けた確認の実施について」に基づき社内調査を行った結果、当社において、完成検査業務を実施するにあたり、不適切な事案があることを確認しました。
これらの調査結果をもとに、下記要旨に基づき、更に精査し10月30日に国土交通省(以下、国交省)に、ご報告申し上げる予定です。このたびは、お客様をはじめ多くの関係者の皆様にご不安とご心配をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。
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