初代モデルの画期的さゆえに、次の2代目のハードルは必然的に高くなる。これはどのメーカーも同じだが、とりわけホンダには「他社と違うコンセプト」で人気を築くモデルが多く、2代目はN-ONEのようにコンサバとなる傾向がある。
ホンダが抱える「2代目のジンクスと宿命」とは? 過去の例から紐解いていきたい。
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2020年9月11日に2代目となる新型N-ONEの外観が公表されたが、初代(従来型)にかなり似ている。エンジン、プラットフォーム、安全装備などは、N-BOXやN-WGNと同じタイプに刷新されたからフルモデルチェンジだが、外観の変化はマイナーチェンジと同等だ。
ホンダの販売店に、N-ONEの外観について尋ねると、以下のような返答だった。
「いわゆるキープコンセプトのフルモデルチェンジです。外観がほとんど変わらないので、お客様から、これでフルモデルチェンジなの? と尋ねられることがあります」
「現時点で購入を考えているのは、主に先代型のお客様です。馴染みのある気に入った外観で、内装の質、安全装備、運転支援機能などは大幅に向上するため、歓迎されています」
「また、RSには新たに6速MTが用意されました。実用的な車内の広い軽自動車で、ターボに6速MTを組み合わせるのはN-ONEだけです。RSはいろいろなお客様から注目されています」
文:渡辺陽一郎/写真:HONDA
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■過去のホンダにも多かった画期的な初代継承型の2代目モデル
ホンダには、N-ONE以外にも外観の変わり映えが乏しいフルモデルチェンジを行った車種が見られる。直近ではN-BOXだ。2011年に登場した初代モデルと、2012年に発売された2代目の現行型は良く似ている。
全高が1700mmを超えるボディは、新旧モデルともにフロントウインドウの角度を立てて、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も変わらない。従って変化の度合いが小さい。特に標準ボディは、ヘッドランプの形状も似ていて見分けにくい。
フィットは2001年登場の初代と、2007年の2代目がよく似ている。2013年に発売された3代目の先代型は外観が大きく変わり、フロントマスクを鋭角的な形状にして、サイドウインドウの下端も後ろに向けて持ち上げた。躍動感を強めている。
しかし、3代目は売れ行きが伸び悩み、4代目の現行型では、再びフロントマスクを一般的な形状に変更した。ボディの側面も、水平基調に近づけて、3代目で悪化した側方視界を改善している。結果的に4代目は初代と2代目の路線に戻った。
■オデッセイ&ステップワゴンも2代目は初代を踏襲
ミニバンではオデッセイが興味深い。1994年に登場した初代モデルと、1999年の2代目が似ている。
2003年に登場した3代目では、外観を大幅に変えて、全高は立体駐車場を使いやすい1550mmに抑えた。2代目に比べると全高が80mm下がり、外観はミニバンというよりも3列シートのワゴンだ。2008年登場の4代目も、3代目のマイナーチェンジかと思うほど良く似ていた。
そして2013年に発売された5代目の現行型は、車名はオデッセイを踏襲したが、ミニバンの構造としてはエリシオンの後継だ。
主力グレードの全高は1685mmだから、ミニバンでは低い部類だが、4代目に比べると140mm高い。床面を3列目まで平らに仕上げて、後席側のドアは横開きからスライドドア式に変更されている。
つまり、かつてのストリームのようなロールーフミニバンから、ステップワゴンなどと同様のハイルーフモデルに発展した。
このほかステップワゴンも、1996年登場の初代と2001年の2代目が似ている。2005年の3代目は、プラットフォームを刷新して床を低く抑え、ルーフも下げて低重心化した。これが裏目に出て売れ行きを下げたので、2009年に登場した4代目の先代型では、天井を再び持ち上げた。
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