2020年3月にホンダ「N-ONE」が生産終了となった。すでに公式HPにも次期型が2020年秋に登場することがアナウンスされているが、販売面ではNシリーズのなかでは苦戦をしていた。
顔つきなどはハスラーなどと近いファニーフェイスで、女性受けもよさそうだったが、なぜ苦戦を強いられることになったのか? その理由を自動車評論家の渡辺陽一郎氏が解説。
また、新型が登場するにあたり、同じ轍を踏まないようにするにはどうすべきか、新型への期待についても触れていく。
文/渡辺陽一郎
写真/HONDA、編集部
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■圧倒的人気を誇る長男「N-BOX」 苦戦の次男「N-ONE」
2019年度(2019年4月から2020年3月)に、国内で新車として売られたホンダ車の内、軽自動車の比率は52%に達した。国内全体の軽自動車比率は37%だから、今のホンダは軽自動車比率の高いメーカーになっている。2010年におけるホンダの軽自動車比率は25%だったから、約10年間で比率は2倍に増えた。
ホンダの軽自動車比率が高まった切っかけは、2011年末に発売された先代「N-BOX」の大ヒットであった。好調に売れて、N-BOXの次には、2012年に「Nシリーズ」として「N-ONE」を加えている。2013年には「N-WGN」も発売され、売れ行きを伸ばした。

このN-BOX/N-ONE/N-WGNのなかで、N-ONEは売れ行きが伸び悩んだ。先代N-BOXは発売の翌年に1カ月平均で1万7596台、先代N-WGNも1万2226台を届け出したが、N-ONEは8965台であった。


新型車とされた発売の翌年でも、1カ月平均の届け出台数が1万台を下まわる。そして2015年の1カ月平均は1902台、2017年は1088台、2019年は1289台だ。2019年は少し増えたが、N-BOXやN-WGNに比べると大幅に少ない。
この届け出台数は、メーカーにとって悩ましい。アクティトラックは同程度の販売実績で、2021年6月に生産を終えるが、商用車だからプラットフォームは独自の設計だ。1カ月平均の届け出台数が1500台程度では完全に成り立たない。
しかしN-ONEは、N-BOXやN-WGNと基本部分を共通化している。コストを抑えやすく、控え目な台数でも成立させやすい。そこでN-ONEは、2020年3月に一度生産を終えて、2020年秋に2代目へフルモデルチェンジすることになった。次期N-ONEでは、エンジンやプラットフォームを現行型のN-BOXやN-WGNと同じタイプに刷新させる。
■販売現場が語る 注目の次期N-ONEの動向
ホンダカーズ(ホンダの販売店)に今後の動向を尋ねると、以下のような返答だった。
「従来型のN-ONEはすでに生産を終えて、今は販売も中断されている。従来型の発売から7年以上を経過したので、新型への乗り替えを希望するお客様も増えた。なるべく早くフルモデルチェンジして欲しいが、今のところメーカーから何の話も聞いていない」
「通常はフルモデルチェンジなら、3カ月前には何らかの情報が入る。それが現時点(2020年6月下旬時点)ではわからないので、次期N-ONEの正式発売は2020年10月以降になると思う。ただし8月頃に外観の一部を披露するなど、発売に先駆けたティザーキャンペーンを行う可能性はある」
次期N-ONEを好調に売るには、現行型の欠点を克服して、顧客を引き付ける新たな魅力も備えねばならない。そこでまずは従来型の特徴と、売れ行きが伸び悩んだ理由を考えたい。

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