RAV4 PHV&ホンダeが受注停止に追い込まれた本当の理由

RAV4 PHV&ホンダeが受注停止に追い込まれた本当の理由

 2020年6月に販売を開始したトヨタRAV4 PHVは、デビュー1カ月足らずでオーダーが殺到したことを理由にオーダーストップ状態が続いている。

 そして2020年8月に日本で正式発表されたホンダ初の量産EVのホンダeもあっという間にオーダーストップ。いったいどうなっているのか?

 現代のクルマ販売は事前予約を積極的に受け付けたり、発表と発売の時期をずらすことで、デビュー後の初期受注が爆発的になるケースが多くなっている。

 メーカーは月販目標台数の5倍、10倍の初期受注が入ったと人気ぶりを大々的にアピールするのが常だが、RAV4 PHV、ホンダeはオーダーストップになってしまった。

 この理由について国沢光宏氏が考察する。

文:国沢光宏/写真:TOYOTA、HONDA、SUZUKI

【画像ギャラリー】新しさとレトロな感じが同居したホンダeのデザインにメロメロ!!


補助金が絡むクルマの販売事情

RAV4 PHVは月販目標は300台と少ないが、469万~539万円の価格が性能の割りに安いということで受注が殺到して、速攻でオーダーストップ
RAV4 PHVは月販目標は300台と少ないが、469万~539万円の価格が性能の割りに安いということで受注が殺到して、速攻でオーダーストップ

 RAV4 PHVが発売直後にオーダーストップとなったのに続き、ホンダeもオーダーを一時停止した。納期が2021年度になるかもしれず、2020年度の補助金対象に間に合うかどうか解らなくなったためだと思われる。

 実際「CEV補助金」と呼ばれる電気自動車やPHVなど環境対応自動車に対する補助金は年度縛り。2021年度がどうなるか不明。

 2020年度内に納車できなければ補助金は使えないということになる。そればかりか、2020年度予算を使い切ってしまった場合、年度内に納車されたとしても補助金ゼロ。

 はたまた2021年度も補助金制度継続となったとしたって、減額の可能性出てきます。そんなことから毎年の如く年度末が近づくと電気自動車やPHVの売れ行きは落ち込む傾向。

 というのが表向きの理由になってます。

ホンダeの価格は標準が451万円、上級のアドバンスが495万円という価格設定で登場。年間1000台が販売目標となっている
ホンダeの価格は標準が451万円、上級のアドバンスが495万円という価格設定で登場。年間1000台が販売目標となっている

リチウムイオンバッテリーの供給問題

 しかし。RAV4 PHVとホンダeについていえば、少しばかり違う事情もあるようなのだ。それはパナソニックのリチウムイオンの生産状況らしい。

 RAV4 PHVの開発を決めた段階でパナソニックは、「電池生産は任せてください!」と大見得を切ったという。「売れるモンなら売ってみろ」的だったそうな。

車体センターにあるのが新開発のリチウムイオンバッテリー。オーダーが殺到して、バッテリーの供給が追いついていないのは間違いないところ
車体センターにあるのが新開発のリチウムイオンバッテリー。オーダーが殺到して、バッテリーの供給が追いついていないのは間違いないところ

 パナソニックとしてはテスラ向け電池を大量に作っているため、トヨタがRAV4 PHVを売ってもたいした台数にならないと考えたのだろう。

 けれどRAV4 PHV向けの生産を開始するや、思惑どおりにならなかった。要求されたクオリティに届かない電池が多く、目標生産数をはるかに下回り、RAV4 PHV生産のボトルネックになってしまう。

 しかもトヨタは意外なことに自社で販売するRAV4 PHVより、スズキ向けのOEM車である『アクロスPHV』の生産を優先させている。

 スズキ向け供給計画台数の月産300台を律儀に守っているのだった。結果的に電池の目標生産数を下回ったぶんは、すべてRAV4 PHVの生産台数減になってしまっている。バックオーダー中止の理由です。

RAV4 PHVはスズキにOEM供給され、スズキはアクロスという車名で販売。ただし販売するのは欧州のみとなっている
RAV4 PHVはスズキにOEM供給され、スズキはアクロスという車名で販売。ただし販売するのは欧州のみとなっている

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