隠れたヒット車トヨタルーミーが大幅改良! 試乗してわかった売れる秘密とは

隠れたヒット車トヨタルーミーが大幅改良! 試乗してわかった売れる秘密とは

 2020年9月15日、2列シート5人乗りのプチバン、トヨタルーミーがビッグマイナーチェンジした。この改良に合わせて、姉妹車のタンクが廃止された。これでトヨタルーミー、ダイハツトール、スバルジャスティの3姉妹車となった。

 さて、このルーミー、2016年11月の発売と約4年が経過しているのにもかかわらず、2020年の1~9月の新車販売台数ランキングでは7位~8位をキープしている、隠れたヒット車だ。

 今回のビッグマイナーチェンジによってどこが変わって、どこが進化したのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が試乗チェック!

文/渡辺陽一郎
写真/西尾タクト
初出/ベストカー2020年11月10日号

【画像ギャラリー】どこが違う? 新旧ルーミー、トールの違いを写真でチェック!


タンクが廃止されルーミーに1本化

ビッグマイナーチェンジ前のルーミーカスタム
ビッグマイナーチェンジ前のルーミーカスタム
こちらがビッグマイナーチェンジ後のルーミーカスタム。フロントのグリルとバンパーの形状が異なり、改良後はより立体的なデザインになったのがわかる
こちらがビッグマイナーチェンジ後のルーミーカスタム。フロントのグリルとバンパーの形状が異なり、改良後はより立体的なデザインになったのがわかる
今回試乗した改良型ルーミーのグレードはターボ車のカスタムG-T(2WD)。車両価格は204万6000円
今回試乗した改良型ルーミーのグレードはターボ車のカスタムG-T(2WD)。車両価格は204万6000円

■マイナーチェンジの主なポイント
・衝突被害軽減ブレーキに二輪車と夜間歩行者の検知機能追加
・全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールを搭載
・フロントマスクデザインの変更
・シート形状&表皮の変更
・電動パーキングブレーキの採用
・USBソケットの追加など

 背の高いコンパクトカーのルーミーがマイナーチェンジした。今回のマイナーチェンジでは、姉妹車のタンクが廃止されている。

 そして、改良型はフロントマスクなどの外観も変更され、エアロパーツを備えたカスタムのグリルはボリューム感を増した。

 また以前のルーミーでは、標準ボディのグリルもカスタムと同じくスリットの太さを強調していたが、変更後はタンクやトールと同様のスポーティな顔立ちに変わった。今はダイハツ版のトールと同じ形状だ。

今回のビッグマイナーチェンジで姉妹車「タンク」は廃止になったが、ルーミーの標準車は、従来のタンクのフロントマスクに変更された
今回のビッグマイナーチェンジで姉妹車「タンク」は廃止になったが、ルーミーの標準車は、従来のタンクのフロントマスクに変更された

 車内に入ると、インパネ中央のデザインが改善されている。ブラックのパネルが備わり、メーカーオプションでディスプレイオーディオも用意する(9万7900円)。助手席の前側に備わるアッパーボックスは、ティッシュボックスが収まる大きさに拡大された。

オプションの9インチディスプレイオーディオを搭載したコクピット
オプションの9インチディスプレイオーディオを搭載したコクピット
今回のマイナーチェンジではシート形状&表皮の改善が行われ、前席はホールド性を高めている
今回のマイナーチェンジではシート形状&表皮の改善が行われ、前席はホールド性を高めている
後席は、座面の柔軟性が少し増した印象を受けた
後席は、座面の柔軟性が少し増した印象を受けた

 前席は座り心地が向上した。以前は座面が短く感じたが、改良後は奥行寸法を20mm伸ばした。サイドサポートの張り出しも適度で、体をしっかりと支える。

 後席は以前と同様、床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になる。それでも座面の柔軟性が少し増した印象を受けた。

 足元空間は以前と同じで相当に広く、後席にチャイルドシートを装着した時は、前寄りにスライドさせると荷室にベビーカーなどを積みやすい。

 後席を畳むと自転車を積める広い荷室になり、デッキボードを反転させると、汚れ防止のシートが装着されている。タイヤが汚れた自転車などを積んでも、簡単に拭き取れる。

2000回転あたりのノイズが少し改善された印象

2000回転付近のノイズがひどかったが改善された
2000回転付近のノイズがひどかったが改善された

 試乗車は最上級のカスタムG-T(204万6000円)。直列3気筒の1Lターボエンジンは、以前は2000回転付近のノイズがひどかったが、改良後は洗練された印象だ。

 エンジンの性格は以前と同様で、2000回転付近ではターボの過給効果が乏しい。したがって発進加速も鈍いが、回転数が上昇すると、1.4Lエンジンと同等の駆動力を発揮する。

 足回りとタイヤの設定は以前と同じだ。操縦性は、操舵に対する反応が少し鈍く、車線変更などではボディの揺り返しが大きい。

 装備では、電動パーキングブレーキと併せて、全車速追従型アダプティブクルーズコントロールが採用された。

 その効果を試してみると、加減速の反応は鈍いが、交通量の少ない高速道路を巡航する時など、ドライバーの疲労を軽減して安全運転にも結びつく。

 衝突被害軽減ブレーキも進化して、自転車などの2輪車と、夜間の歩行者検知を可能にした。

 最近は新型ヤリスやフィットの登場でコンパクトカーが注目される。それでも全長が3800mm以下で全高を1700mm以上に高めたスライドドアを備える車種は、ルーミーとその姉妹車、ライバル車のソリオのみだ。ルーミーはファミリーユーザーを中心に、貴重な選択肢になっている。

 さて、各部分において改良前からどれだけよくなったのか、旧型を100点として、ビッグマイナーチェンジ後は何点か、採点チェックしてみたい。


■内外装/改良前100点→改良後125点
 カスタムグレードのフロントマスクは、エアロミニバンに似た雰囲気で、従来よりも人気がアップしそうだ。
■前席/改良前100点→改良後130点
 前席は座面の長さを拡大して膝裏までサポートするようになった。腰の収まりもよくなって快適性が向上した。
■後席:改良前100点→改良後105点
 足を前方に投げ出す着座姿勢になる後席の形状は今でも欠点だが、座り心地は改良前よりも若干柔軟になった。
■走り:改良前100点→改良後110点
 ターボのエンジンノイズは低速域では少し改善された。走行安定性と乗り心地は依然としてよくない。

 衝突被害軽減ブレーキに二輪車と夜間歩行者の検知機能追加や全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールを搭載するなど、安全装備は充実させてきたが、走りの快適性をもっと向上させてほしい。

ルーミーカスタムの顔はオラオラ度が増して人気が出そうだ
ルーミーカスタムの顔はオラオラ度が増して人気が出そうだ
今回試乗したのはルーミーカスタムG-T
今回試乗したのはルーミーカスタムG-T

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