内閣府が発表している「令和元年交通安全白書」のなかで、夕暮れ時(薄暮時)の交通死亡事故の件数が増加するのは、11~12月の日没時間が急激に早くなる時期だそうだ。特に薄暮時は、自動車×歩行者の事故率が、昼間(薄暮時を除く)と比べて、4倍にも跳ね上がるという。
そんな薄暮時だが、意外にクルマに乗っていると暗さに気づきにくく、ヘッドライト(前照灯)の点灯が遅くなりがちだ。また、急激に暗くなることで、目の調節機能的にも歩行者などを認識しにくい状態にもなる。
オートライトが義務化されたとはいえ、いまだにヘッドライトを点灯していない人もいる。また道路交通法違反にもかかわらず、ヘッドライトではなくデイライトやフォクランプを点けているからいいだろう……という考えの人も見かけることがある。
この時期だからこそ知ってほしい、薄暮時の危険性を挙げつつ、事故防止のポイントを解説していきたい。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(vbaleha@Adobe Stock)
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■冬至を頂点に危険を増す薄暮時の道路交通
日本のドライバーは高齢化が進んでおり、それとともに視力の衰えも進んでいて、運転中にそれを実感されているドライバーは増えていることだろう。老化とIT環境による目の酷使は、現代人には避けられないものだ。
筆者も運転免許の条件に眼鏡使用はないが、夕暮れ時になると遠くの矢印信号がダブって見えるなど、疲れ目と視力低下による視界の認識能力の低下を実感することがある。
特に冬季は日照時間が少なく、暗い中での運転をする機会も自然と増えることになる。この時期に気を付けたいのは夜間よりも日没時周辺の、いわゆる薄暮時の運転だ。急速に周囲の明るさが変化し、また街灯や店舗の明かりなどによって照らされている部分も出てきて、視界の中で明暗の差が大きな状況が起こってしまうため、一日のなかで最も運転が難しい時間帯なのである。
薄暗くなっているこの状態では、ドライバーは2種類に分けることができる。早めにヘッドライトを点灯して視界を確保すると同時に、周囲に自分の存在をアピールするドライバーと、ヘッドライトを点けずに運転しているドライバーだ。
「自分は見えるから、まだライトは点けなくても大丈夫」と判断している、もしくは何も考えずに運転しているだけのドライバーは、自分が周囲から見ていかに危険な存在であるか認識していない。そうしたドライバーがいることを実感させられるのも、こうした時間帯の道路交通なのである。
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