2017年12月25日にマイナーチェンジしたトヨタのフラッグシップミニバン「アルファード/ヴェルファイア」。
新年早々から本格的な販売をスタートさせており、各ディーラー絶好調といえるような売れ行きを見せている。
売れ筋グレードは400万円を超すプレミアムミニバンが売れまくっているのは大変めでたいニュースだが、販売現場の意見を聞くと、今回のマイチェン以降その「売れ方」に大きな変化が起こっているという。
以下、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が首都圏を中心にトヨタディーラーを回って掴んだ現場の状況をお伝えします。
文:遠藤徹 写真:茂呂幸正、TOYOTA
■人気が逆転! 納期に大きな差が出ている
新型の変更内容をザッとおさらいしておくと、内外装のデザイン変更、クオリティアップ、使い勝手向上、3.5Lに新開発直噴エンジン搭載と新開発のダイレクトシフト8ATの組み合わせ、最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」設定、進化した安心パッケージの「第2世代トヨタセーフティセンスP」の標準装備など盛りだくさんの改良内容となっている。
アルファード/ヴェルファイアの両シリーズとも上々の人気ぶりで、生産が追いつかないほどなのだが、これまで見られなかった両モデル間の格差が生じていることが伺える。
端的に言って、アルファードが売れまくっているのだ。
首都圏のトヨペット店(アルファード扱い)とネッツ店(ヴェルファイア扱い)で成約後の納期を調べてみると、アルファードはNAガソリン2.5&3.5Lの売れ筋グレードが3カ月待ち、ハイブリッドで3.5カ月、エグゼクティブラウンジが半年と大幅な待ち状態になっている。
これに対してヴェルファイアはNAガソリンが2カ月、ハイブリッドが2.5カ月、エグゼクティブ4カ月と、アルファードに比べて1〜2カ月も早くなっている。
マイナーチェンジでこれだけ納期が伸びるのは異例の事態であり、ヴェルファイアも人気の高さは上々なのだが、アルファードはフルモデルチェンジ並みの引き合いの多さといえる。
■アルファードがヴェルファイア風に!
メカニズムやクオリティ、使い勝手など商品的な中身はまったく同じなのにこの格差はどうして起こっているのか。
それはアルファードとヴェルファイアの、これまでのイメージの違いにある。
これまでヴェルファイアのほうがアルファードより売れていて、月販目標台数もアルファード3600台に対してヴェルファイア4500台と設定されている。
しかし今回のマイナーチェンジで、この状況が入れ替わった。
違いは内外装のデザイン、とりわけフロントマスクにある。
アルファードは標準、エアロタイプともバンパーまで切れ込んだ大型グリルで見栄えのよさを売りにしてきた。エアロの方が多少個性的な顔立ちを強調しているが標準タイプもエアロと同等な「まとまり感」のある風貌を形成している。
しかし今回のマイナーチェンジでフロントグリルの押し出しを強め、「より派手な顔つき」になった。
いっぽうヴェルファイアはこれまで、エアロがどぎついギンギラギンの顔つきで標準は幅広のメッキグリルデザイン処理してきた。それが今回のマイチェンで、ややスマートで機械的な方向の顔つきにチェンジ。
このお互いの方向性の「入れ替わり」が、初期受注の違いに出ているようだ。
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