ついに名車復活。アルピーヌA110は、かつてアルピーヌ・ルノーとしてWRCチャンピオンを獲得したことでも名を馳せた、往年の名フランス車だ。
そのオリジナルの生産が終了してから約40年以上の時を経て、2017年に新型のルノー・アルピーヌA110が欧州で発売。
ついに蘇ったA110は、名実ともに「名車復活!」といえる出来映えなのか? 日本での発売を前に、一足早くフランスで乗った!!
文:嶋田智之/写真:編集部、Alpine
ベストカー2018年2月10日号
新型A110はオリジナルの「現代流解釈版」ではない!!
アルピーヌ副社長のベルナール・オリヴィエ氏から聞いた新型A110の開発アプローチは、とても面白かった。
歴史的名車にちなんだモデルのデビュー時によく耳にする「現代流に解釈し直して蘇らせた」ものではなく、「A110がずっと作られ続けていたとしたらどうなっただろう? と想像しながら開発した」というのだ。このふたつは同じようでまったく違う。
後者はA110という独自性を持ったスポーツカーが時代とともに必然的な進化を繰り返してくる過程をひとつひとつ想像しながら着地点を模索した、ということを意味するからだ。
ヴァージョン1から2へ飛んだのではなく、間の1.3や1.63のようなものもストーリーのなかにはあって、各部ごとにどれが「A110らしい」かということをしっかり吟味しながら作り上げた、ということだろう。
だからなのか新型A110のなかに、嬉しくなるほどクラシックA110のテイストのすばらしかった部分を垣間見ることができるのだ。
新型も「軽快にして俊敏」な美点は健在
クラシックA110の最大の特徴は、とにかく軽快にして俊敏であるということだった。
そして新型A110も、まずは声を大にしてここを賞賛したいクルマに仕上がっていた。ツイスティな道でラインをトレースする時のステアリングの正確さ、身のこなしの軽やかさと素早さは感動的とすらいえるレベルにある。
フロントタイヤが職務を放棄することはいっさいなく、プッシングアンダー(ステア)をドライバーに感じさせることもなく、ウデに覚えのある人なら荷重移動とリアタイヤの使い方で行き先を決めていくような走り方を堪能することもうまくできるだろう。
クラシックA110もそうした走りの個性を持つクルマだから古くからのファンにとっては涙モノだが、新しいA110は、それをさらに高次元で味わわせてくれるから、旧き佳きA110を知らない世代にも大きな感動をもたらすに違いない。
ハンドリングに関してはライバルより頭ひとつ飛び抜けた感すらある。
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