ユーザーやメディアの評価が高い車種にも短所はある。しかし、評価の高い車種は、メディア等で長所が取り上げられるケースが多く、短所が話題になりにくい。
そこで、本記事では特に評価が高い5台の短所を紹介。長所はもちろん、短所も含めて車選びの参考にしてほしい。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
日産 ノート「e-POWERは重さがネック」
ノートは好調に売れるコンパクトカーだが、高人気の背景には、日産の国内市場を軽視する姿勢と商品開発の冷遇がある。
人気車だったティーダは廃止され、セダンのラティオもなくなった。キューブとマーチは設計が古く、緊急自動ブレーキも装着されない。
現時点で普通に改良を受けているのはノートだけで、そうなるとノートの販売実績は、商品力を超えた過剰なものともいえるだろう。それだけに短所も抱える。
まず人気の高いノートe-POWERだが、ノーマルエンジン搭載車に比べて車重が170kg上まわり、シャシーとタイヤの負担が大きくなった。走行安定性に不満があり、カーブを曲がる時にはボディの重さを意識させる。
エコ/パワーモードではアクセルペダルだけで速度を自由に調節できるが、右足だけがデリケートな操作を行うから疲れやすい。
ノーマルエンジン車を運転する時は注意が必要だ。e-POWERと違って、アクセルペダルを戻しただけでは強力な減速力が得られない。
ノート e-POWER「S」はJC08モード燃費が37.2km/Lと優れるが(ほかのグレードは34km/L)、緊急自動ブレーキなどが装着されない。要は集客を目的としたほとんど売る気のないグレードだ。
荷室に関しては、後席の畳み方が背もたれを単純に前側へ倒す方式だから、広げた荷室の床に段差が生じる。
トヨタ プリウスは「視界と後席がネック」
人気の高い定番のハイブリッド専用車だが、当然ながら短所もある。まずは後方視界が悪いことだ。
サイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、斜め後ろが見にくい。真後ろのリヤゲートは、ウインドウを二分割して視界を確保したが、見やすいとはいえない。
居住性では後席が不満だ。座面の柔軟性が足りず、頭上の空間も乏しい。前述のようにサイドウインドーの下端が高いので、後席に座ると閉鎖感が強く伴う。ドアの開口部が狭いので、乗降時には頭を下げねばならない。
荷室は床面積を十分に確保したが、リヤゲートを寝かせたので高さは不足している。
乗り心地は現行型になって向上したが、もう少し柔軟にする余地がある。操舵感の鈍さも改善されて自然に曲がるが、下りカーブなどでブレーキングを強いられると後輪の接地性が不足しやすい。
このあたりは同じプラットフォームを使うC-HRの方が洗練されている。
グレード選びではベーシックな「E」に注意したい。JC08モード燃費が40.8km/Lに達する半面(ほかのグレードは37.2km/L)、リヤワイパーなどが装着されず、遮音材も部分的に省いた。装備が乏しい割に価格はあまり安くない。
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