ヒットカテゴリーの中でも特に各メーカーが力を入れており、日進月歩のミニバン。ラインアップが豊富だから当然競争も激化し、価格帯も広いし車種も多いしグレードも多彩なのでなかなか「これがいい!」と決めづらいカテゴリーでもあります。
そうはいっても庶民に出せる金額といったら200万〜400万円が限界……という人が一般的。そこで本企画では200万〜400万円で特にお薦めのミニバン6台を、細かくクルマをチェックする「買い得感の鬼」、自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏に選んでいただきました!
【本稿に登場する「お買い得ミニバン」6車】
◎セレナハイウェイスター Vセレクション
◎ステップワゴンスパーダハイブリッド
◎アルファード 2.5S
◎エスティマアエラス
◎オデッセイハイブリッド
◎デリカD:5ディーゼル
文:渡辺陽一郎
ベストカー2018年2月26日号「安く買う、上手に買う 2018年はクルマを買う!」より
■まずはざっくりカテゴリーの整理から
ミニバンを 250万~400万円の価格帯でとらえると、「3つのタイプ」が考えられる。
まずは標準ボディが5ナンバーサイズの「背の高いミドルサイズミニバン」。
このクラスでは、セレナ、ヴォクシー/ノア、ステップワゴンなどのエアロパーツを備えた売れ筋グレードは280万~300万円に設定される。
2つ目はヴォクシー/ノア、ステップワゴンに用意される「ハイブリッド仕様」。エアロパーツを装着した売れ筋グレードが320万~340万円に設定される。
なおミドルサイズミニバンでは、好調に売れる車種がヴォクシー/ノア/エスクァイア、セレナ、ステップワゴンに集約される。そのためにライバル競争が激化して、ノーマルエンジン、ハイブリッドともに売れ筋の買い得グレードが狭い価格帯に集中した。
それでも時系列で見ると、あとから登場した車種がお買い得になっている。ライバル車を丹念に研究して装備や価格を決めるからだ。
3つ目のタイプは、3ナンバーサイズのボディに排気量が2.4L以上のエンジンを搭載する「Lサイズミニバン」になる。
これらの車種では、快適装備の充実した最上級グレードは価格が700万円を超えたりするが、直列4気筒2.4~2.5Lエンジン搭載車であれば、エアロパーツを備えた充実装備のグレードが330万~380万円で用意される。
競争の激しいミドルサイズに比べると、好調に売れるヴェルファイア/アルファードが価格を高めて価格帯を広げたが(競争関係が乏しいから安くする必要がない)、それでも400万円以下で機能や装備の割に買い得なグレードを選べる。
いっぽうライバルのエルグランドは、1年以内に改良を受ける予定だ。これははずして考えたい。
■人気車続々! お買い得グレードとともに紹介します
まずミドルサイズのノーマルエンジン車で注目されるのはセレナハイウェイスターVセレクションだ。
ミドルサイズでは居住空間が最も広く、3列目シートの座面サイズと足元空間は、ヴォクシーやステップワゴンを上まわる。シートアレンジも多彩で、3列目を畳めば自転車のような大きな荷物も積める。緊急自動ブレーキの応用技術で運転支援の機能も充実して、高速道路では先行車と車間距離を保ちながら追従走行できる。さらに操舵の支援も行う。
同じミドルサイズではステップワゴンスパーダハイブリッドも注目される。売れ筋のGホンダセンシングの価格は335万160円だ。最上級のG・EXホンダセンシングでも355万9680円だから400万円以内に収まる。
ステップワゴンのハイブリッドは、オデッセイと同じメカニズムで2ℓエンジンは主に発電機の作動に使う。駆動はモーターが行うから加速が滑らかで、動力性能はノーマルガソリンエンジンに当てはめると3ℓ相当だから力強い。ミドルサイズミニバンでは最もパワフルだ。しかもJC08モード燃費は25km/Lで、ヴォクシーなどのハイブリッドよりも優れる。
低床設計だから低重心で走行安定性がよく、乗り心地も満足できる。3列目を床下に格納すると広い荷室になり、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も高機能だ。
価格にも注目したい。オデッセイではハイブリッドとノーマルエンジンの価格差を装備の違いを補正して58万円としたが、ステップワゴンは1.5Lターボとの比較で47万円に抑えた。動力性能が高く燃費も優れ価格は割安。ライバル競争に配慮した結果だ。
Lサイズミニバンで最も人気の高いアルファードも、2.5Lのノーマルエンジン搭載車なら400万円以内で買い得グレードを選べる。快適装備を充実させ、外装ではエアロパーツや18インチアルミホイールを備えた2.5Sが373万5720円(7人乗り)だ。内装は豪華で、足まわりが適度に柔軟に伸縮するから乗り心地も快適。4気筒エンジンでもノイズを抑えた。
そして車内はミニバンでは最も広く、インパネの周辺を豪華に仕上げた。クラウンのミニバン仕様といった雰囲気を感じる。2017年12月に改良を施し、緊急自動ブレーキは歩行者と車両に加えて自転車の検知も可能にした。
同じトヨタのLサイズミニバンでエスティマも候補に入る。フロントパフォーマンスダンパーなどを装着した買い得なアエラスプレミアムは340万1018円。卵型の外観と上質な内装が特徴だ。
そしてオデッセイではハイブリッドに注目したい。ベーシックなタイプは375万円で用意され、売れ筋のハイブリッドアブソルートホンダセンシングは393万6400円(7人乗り)で400万円以下に収まる。低重心のLサイズボディは走行安定性が優れ、加速も滑らかだ。しかもJC08モード燃費は24.4~26km/Lと優れる。3列目の座り心地も快適で、広さで選ぶならヴェルファイア/アルファード、快適性を重視するならオデッセイを推奨したい。このように魅力的なミニバンがそろう。
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