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【独占インタビュー】バイクの高速料金は「普通車の半額」へ──自民党二輪車PT・大岡敏孝座長が語る”4つの提言”の中身

配信元:WEBIKE
【独占インタビュー】バイクの高速料金は「普通車の半額」へ──自民党二輪車PT・大岡敏孝座長が語る”4つの提言”の中身

 バイクの高速料金を普通自動車の半額にする方針が、自民党二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)が2026年7月にまとめた提言に盛り込まれた。他にも都市部の駐車問題に対して「二輪を除く」の標識を活用する施策や、日本独自の「400cc免許区分」は排気量から出力基準への移行を検討開始などライダーが長年声を上げ続けてきたテーマに切り込んでいる。

 そのPTを率いるのが衆議院議員の大岡敏孝座長。休日には愛車GSX-R1000Rでサーキットで膝を擦って走り、夫婦でツーリングを楽しむ正真正銘のライダーでもある。提言に込めた狙いをじっくりと聞いた。

 
文/市本行平
 

【提言1】高速料金は「普通車の0.5」、党の提言として決まった意味

 今回の提言でライダーの注目を最も集めるのが高速道路料金体系の見直しだろう。二輪車は30年以上に渡り軽自動車区分に置かれ、車輪数や乗車定員が倍となる軽自動車と同じ料金を払い続けてきた。提言はこの区分を分離し、軽量で省スペースな二輪車を普通車の0.5倍=半額にするようPTとして結論づけた。大岡座長が強調するのは、これが「党の方針」になったという事実だ。

 「軽と二輪を分けてください、そしてバイクを普通車の0.5にしてください、という方針をPTで決めて党の提言として政調会が承認してくれました。これで自民党の方針になったわけです。ですので粘り強く、しかしスピード感を持ってやっていきます」

 一方で、実施にはまだ時間がかかるという。高速道路を走るのはバイクだけではないからだ。

 「高速道路はバイクからトラックまで走っています。最近は連結トラックのような大型化も進んでいますし、電子的に車両を連結して先頭だけが運転するという新しい技術も開発されています。そこまで見据えて全体のバランスを取りながら進めないといけない。方向性は決めましたが、一定の時間がかかります」

 高速道路料金は1989年から現行の5車種区分で運用されている。国交省はこれを13区分に細分化すべく2025年1月に「高速道路料金の車種区分について」という提案を発表。二輪車から全長25m以下のダブル連結トラック、さらには電子連結トラックまで見据えた料金区分にするために、国土幹線道路部会が関係団体へヒアリングをしている最中だ。

 また、移行期間の措置として現在実施されている「二輪車ETC定率割引」については、最低走行距離や土日限定といった利用条件の緩和も提言に盛り込まれている。前任者から引き継いだこの課題を、大岡座長は餅つきに例える。

 「前任の逢沢一郎先生らが上手にお餅をこねてくださって、私が今それをついている段階です。なんとか、食べられるところまで持っていきたい」

 振り返ると、1995年の免許制度改正で翌年から大型自動二輪免許が教習所で取得可能になり、2005年には二輪車の高速道路二人乗りも解禁された。高速料金の二輪車区分はこれらに続く最重要課題に位置づけられるもので、実施されるとライダーの利用環境は大幅に改善されることになるはずだ。



PT会合の様子。大岡座長体制下、5月14日、6月25日、7月1日、7月16日にかけて実施され、「日本人がより安全・快適に二輪車を楽しめる環境をつくるための提言」としてまとめられた。



現在の高速道路料金は1989年(平成元年)に5車種区分に分けられたもの。それ以前の二輪車は普通車と同じ高速料金を支払っていた。

二輪車料金区分実現の恩恵は「データ」にあり

 高速料金の話は単に安くなるだけではない。二輪料金区分が設定されるとETCを活用して走行データを取得できるのだ。現在は軽自動車と二輪車が同じ枠に入っているため、二輪車がいつ・どこを・どれだけ走っているのかが、見えない。

 「バイクが平日に乗られているのか週末なのか、朝なのか夜なのか、1回乗ると平均でどのくらい走るのか──今は全部分からないんです。軽と同じ枠に入ってしまっているからデータとしての価値がなかった。これが別枠になればバイクの特性がはっきり見えてきます。トラックみたいにいきなり500km走る人はほとんどいないでしょうし、こまめに降りたりするかも知れません。その特性が見えれば、二輪に合わせた政策も安全対策も打てるようになる。やっとバイクが独立してスタート地点に立てるんです」

 バイクの利用が多い区間は、サービスエリアの駐輪スペースを増やすといった施策も動き出すだろう。また、大岡座長はツーリングの経済効果にも期待を寄せる。

 「どの季節にどこをライダーが走っているかが見えてくれば観光振興にもつながる。多くのライダーが動いているというエビデンスが蓄積できれば観光庁も動き出してくれるかもしれない。高速料金の区分ができた後は、そのデータを活用したさらなる政策に踏み込みたいと思います」

 二輪車の高速料金が普通車の半額に設定されると、現在の軽自動車料金の約4割引(37.5%)になる計算。これによりツーリングライダーが増え、さらに観光振興という好循環で大きな経済効果を発揮することが期待できるだろう。



2017年より実施されている高速道路の二輪車ツーリングプラン、2022年より実施されている二輪車定率割引によって部分的なデータは取れるようになってきている。

 
 
 

【提言2】駐車場問題は「二輪を除く」標識で即効性のある対応を

 都市部では二輪車用の駐輪場が足りないのに取り締まりだけが行われ、「安心して停められない」状況が続いている。食品の配達などで使われるバイクでは、実際の停車時間が5分や10分でも荷物を運んで戻る頃には駐禁を切られていることがあるという。ここでの提言は、駐車禁止区間に「二輪を除く」標識を活用することだ。

 「駐車禁止の標識に『二輪を除く』と付けられるフォーマットが実はあるんです。街によっては上手に使ってくれているところもあります。これをもっと積極的に使って欲しいというのが提言の2つ目。新しい制度や駐輪場を作るより、すでにある標識を有効活用するほうが、圧倒的に早いんです」

 各都道府県警察が採用する駐車監視員に対しても、駐輪場の実態を踏まえた適切な運用を指導するよう求めている。先進的に取り組んでいる地域を参考に全国へ広げていく考えだ。



駐車禁止区間でも「二輪を除く」補助標識を添えることで二輪車を除外する運用が可能となり、警察庁の調べでは約2万kmの除外区間がある。これを地域の事情に応じた駐車環境の整備推進に活用していく方針だ。

 
 

【提言3】自賠責保険代理店打ち切り問題──金融庁に実態調査を要請

 そして、一般にはあまり知られていないが業界内で深刻化しているのが、二輪車販売店に対する自賠責保険の代理店契約打ち切り問題だ。発端は四輪業界で起きたビッグモーターによる車両保険の不正請求問題にさかのぼる。

 政府は顧客本位の業務運営の徹底や代理店規制の強化を目的に保険業法を改正し6月1日に施行。保険金不正請求の再発を防止するため、保険代理店や保険会社に対する体制整備義務が強化されることになった。

 「本来は違う話なのですが、『代理店業務の適正化』という名目で小さな代理店は契約を続けられませんと保険会社から言われた――そんな訴えが、二輪車販売店から上がってきています」

 自賠責保険はすべての車両が加入する強制保険であり社会制度そのもの。特に車検制度の対象外となる250cc以下の二輪車では、販売店が保険更新時に点検・整備を呼びかけることで安全な車両の運行にも寄与してきた側面もある。

 「自賠責は、事故に遭った一般国民のために義務付けられている社会制度です。その仕組みそのものに穴が開いてはいけない。だから、金融庁と国交省には実態を調査するよう要請し、損保業界にも改善を求めました。二輪の保険は、広く販売店がきちんと自賠責を扱える仕組みを維持する――これが党として決めた大きな方針です」

 自賠責保険代理店契約の打ち切りについては、全国オートバイ協同組合連合会より具体的な4件の事例発表があり、PT議員も現場の状況に驚いたという。契約打ち切りの背景は保険会社側の管理コストの問題と考えられるが、交通社会の秩序のために維持されなければならない。



2023年のビッグモーター問題を経て保険業法が改正された。代理店に対する体制整備義務が強化されたことで自賠責保険の取り扱いにまで余波があり、PTが緊急対応することになった。

【提言4】ガラパゴス400cc免許改正が初めて正式な政策に

 そして、最も時間がかかる課題として提言の最後に置かれたのが免許制度だ。日本は排気量で免許区分を分けてきたが、大岡座長はこれを出力ベースへ改めるべきだと訴える。

 「まず、排気量のない電動車が出てきている。それに、技術の進歩で400ccでもかなりパワーのあるバイクが出てきています。本来、オートバイは車両の性能と免許で求められる技量がそろっていないといけません。だったらヨーロッパのように出力で中型か大型かを判断する方が合理的なのです」

 具体的にはヨーロッパ諸国の35kW(47.6PS)超を大型にした区分に揃えることを想定する。これが実現すれば効果は大きいという。

 「メーカーが日本専用の製品を作らなくてよくなり、海外で販売しているバイクをそのまま日本でも製品化しやすくなります。四輪と違って二輪は右ハンドルと左ハンドルの違いがないのでグローバルモデルが追加コストなく日本市場に入ってきます。ユーザーからすればラインナップが増える魅力があります」

 安全面のメリットもある。パワーに応じた免許制度になればライダーの技量が担保される上、海外との免許の切り替えにまつわる不合理も解消される。

 「私のバイク業界との関わりの中でも免許制度改正の話は新しいものです。これまで問題視はされていましたが、正式な政策になったのは初めてです」

 大岡座長は新たな取り組みとして免許制度改正を推進する構えだ。国内に“ガラパゴス”と言われる制度はよくあり、二輪車の400ccという排気量区分も典型例。これは、道路交通法における普通自動二輪免許の条件から来ているが、欧州諸国ではA2免許の最高出力35kW(47.6PS)以下が条件だ。

 例えばホンダのNC750X欧州仕様にはA2スペック35kW(47.6PS)と標準スペック43.1kW(約58PS)が存在し、A2免許でもナナハンに乗る事ができる。出力制御は電子的に行われており、A(大型)免許を取得後は、元のフルパワーに戻すことができるという。

 折しもホンダがCB400スーパーフォアを復活させることが明らかになったが、400ccクラスの国内ラインナップは決して多くない状況だ。普通二輪免許で乗れる選択肢が増えることでエントリー層の増加に繋がる可能性もあり、制度改正が期待される。



2025年より原付免許で4kW以下の新基準原付(125cc以下)に乗れることになった。排ガス規制が基準調和している欧州と免許制度を揃えることでメーカーの商品開発がより合理的に進むと思われる。

日本にはバイクがある。日本の暮らしにはバイクがある

 今回PTが4つに絞り込んだテーマは、いずれも長年ライダーや業界が訴え続けてきたものだ。それが与党の提言として上げられ、政策方針になった意味は大きい。大岡座長率いる二輪車PTの提言が、これからどう政策に反映されていくのか。

 提言は「日本にはバイクがある。日本の暮らしにはバイクがある」と結んでいる。Webikeプラスでは引き続き追いかけていきたい。



愛車のGSX-R1000Rと一緒の大岡敏孝議員(写真右)。一緒に映るのは横澤高徳議員でともに元スズキ社員という関係。横澤議員は全日本モトクロス選手権国際A級で活躍した経歴を持つ。



千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイを走行する大岡議員。1分13秒台のラップタイムを刻み「国会議員最速のはず」と語る。大学に入学した19歳の頃からバイクに乗り続けている。



夫婦でツーリングした日本のアマルフィこと雑賀崎(和歌山県)での一枚。左のSV650が奥様で右のMT-07が大岡議員の愛車。他にもアドレス50やKTM950スーパーモトを所有する。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/574084/

【独占インタビュー】バイクの高速料金は「普通車の半額」へ──自民党二輪車PT・大岡敏孝座長が語る”4つの提言”の中身【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/574084/574095/

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