かつて、かのF1ドライバーはエースを差し置いて優勝した後に「ナンバー2にしては上出来だろ?」と言い放った。何事においても「1番手」には注目が集まり、それに次ぐ「2番手」は、日の目を見ないこともしばしば。車においても同じで、トップの車は多く取り上げられる反面、2番手の車はなかなか取り上げられない。そんな2番手の車にも、優れたモノは数多く存在する。本記事では、販売台数における2番手車の実力と売りを、1位の車と比較しながら紹介したい。
文:国沢光宏、清水草一/写真:編集部
ベストカー2018年4月26日号
86からタントまで2番手も実力派揃い
本記事では、2017年12月〜2018年2月の3カ月の月販台数平均値で、各カテゴリーの1位と2位を算出。2位のモデルも1位のモデルに負けず劣らず、“実力車”が多い!
◆ ◆ ◆
■スポーツモデル
・1位/マツダ ロードスター(514台)
・2位/トヨタ 86(359台)
86が2位という最大の理由は、デビューから6年経っているということに尽きると思う。とはいえロードスターに天下のトヨタが負けてる、ということに驚かされますね。
ロードスターは決して安くないし、動力性能や実用性だって86優勢。もう少し売れてもいいような気がするの、私だけじゃないだろう。
6年経ってもデザインは古くないし、ハンドル握ったら楽しい。最近の「高価なモデルを売って利益をあげよう」という戦略で失敗してるのかもしれません。
逆にお買い得感のある特別仕様車などを出してみたら、受けるんじゃなかろうか。
【国沢光宏】
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86は2012年に、ロードスターは2015年に現行型が登場。86は当初、エアコンレスながら199万円のグレードを設定していたが、現在の最安グレードは262万3320円。ロードスターは249万4800円からだが、2+2であることやエンジン排気量を考慮すれば、価格競争力も「1位」に決して劣らない。
■軽スーパーハイトワゴン
・1位 ホンダ N-BOX(1万9329台)
・2位 ダイハツ タント(1万1259台)
確かにN-BOXは凄い。ボディ剛性の高さや乗り心地の上質感は普通車キラーだし、安全装備もフルスペックだ。
が、タントこそが「スーパーハイトワゴン」カテゴリーの元祖。初めて初代を見た時、「車内で保育園でも開業するのか!?」と呆れたが、ここまで主流になるとは。
このところ日本市場販売台数1位をN-BOXが独走中なのはタントあっての賜だ!
現状、N-BOXとタントを比べると、ボディの作りや乗り味の質感にかなりの差がある。が、タントには左側のセンターピラーがないという魅力がある。
次期型のタントは、デザインを先代N-BOXのような機能美系にすれば、再逆転も可能と見る。
【清水草一】
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初代タントの発売は2003年。初代N-BOX(2011年登場)より8年も前に「スーパーハイトワゴン」という新しいジャンルを生み出した。2番手とはいうものの、平均1万台以上を今も売り続ける優秀なパイオニアだ。
■SUV(コンパクト〜ミドル)
・1位 トヨタ C-HR(6510台)
・2位 ホンダ ヴェゼル(4237台)
コンパクト〜ミドルクラスの国産SUVの上位2台だが、C-HRとヴェゼルは、車格的には違うクラスに属する。C-HRはCセグメント(VW ゴルフ級)でヴェゼルはBセグメント(VW ポロ級)。したがって、ヴェゼルもBセグメントじゃ1位。
そのうえで、なぜC-HRが売れているのかと販売現場に聞いてみたら「プリウス買いに来たんだけどカッコ悪いからC-HRにしとこう、というユーザーがけっこう多いんです」。上積みぶんがあるワケ。
いっぽうヴェゼルにゃそういった積み上げ要因なし! そのうえで強大な販売力を持つトヨタがライバルだということを考えれば大健闘。立派な2位だと思う。
【国沢光宏】
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C-HRの全長4360mm×全幅1795mmというサイズに対し、ヴェゼルは同4330×1770mmと若干コンパクト。グローバルではホンダ車で3位の販売台数を誇る実力の持ち主でもある。
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