実際に新車選びをするとなると、う~ん、やっぱり予算は厳しい……。
たしかに現実的に売れているクルマはコンパクトカーが多いとはいうものの、上位にアルファードが上がっていたり、ハリアーやRAV4なんかも販売ベスト20に入ってくる。
つまり、諸費用込みで「総額」300万円から350万円あたりが現実的な新車選びのボーダーラインということになる。
諸費用はおおよそ車両本体価格の1割程度なので、車両本体価格270万~330万円程度がターゲット!
編集部がリストアップした下のリストをもとに、10名の自動車評論家諸氏がそれぞれのおススメモデルのベスト10を選出。その得票の多い順から最終的なベスト3までを決めてみたい!
※本稿は2021年4月のものです。総合評価については、各評論家のベスト10を「1位=10点」「2位=9点」……「9位=2点」「10位=1点」として集計し、総合点を集計しました。
文/鈴木直也、国沢光宏、片岡英明、渡辺陽一郎、松田秀士、清水草一、斎藤 聡、飯田裕子、小沢コージ、岡本幸一郎、ベストカー編集部
写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年5月10日号
【画像ギャラリー】評論家諸氏、そしてベストカーが選んだオススメモデルをギャラリーでチェック!!!
■識者10名が選ぶ「コミコミ350万円クラス」のおススメベスト10!!!
●鈴木直也はこの10台を選ぶ!
・1位 スバル レヴォーグ
・2位 トヨタ RAV4
・3位 ホンダ フィット
・4位 トヨタ GRヤリスRS
・5位 マツダ MX-30
・6位 プジョー 208GT
・7位 ジープ レネゲード
・8位 マツダ ロードスター
・9位 シトロエン ベルランゴ
・10位 ルノー キャプチャー
300万円前後のクルマは、やっぱりコスパが命。お買い得と思える車種を中心に10台を選んだ。
レヴォーグとRAV4は、クルマとしての完成度の高さに定評があるから迷いなくチョイスしたが、それ以降は魅力的な個性を評価したクルマが多い。
フィットはコンパクトFFとしての使い勝手のよさ、GRヤリスはイマドキ珍しくマジで走りを追求した硬派なキャラ、MX-30はデザインへのこだわり、といった点を評価している。
6位以降はほぼ輸入車となったが、ここもコスパのいい個性派ぞろいとなった。
なかでも、イチオシはレネゲードだが、フランス車の3台もなかなかの逸品。これまで輸入車といえばドイツ車だったけど、いまはフランス勢に魅力的なクルマが多いと思うなぁ。
●国沢光宏はこの10台を選ぶ!
・1位 トヨタ RAV4
・2位 トヨタ ハリアー
・3位 MINI MINI ONE
・4位 スバル XV
・5位 マツダ CX-5
・6位 トヨタ ヤリスクロス
・7位 シトロエン C3
・8位 プジョー 208
・9位 ルノー カングー
・10位 トヨタ GRヤリスRS
「1台でやるとすればどんなクルマを選ぶか? 予算350万円」と言われたら瞬時も迷うことなくRAV4を選ぶ。
RAV4の場合、エネルギーコストまで考えたらPHVの生涯コストが最も安いため、350万円を超えたブブンはローン組んだっていい。
RAV4、どんな使い方をしてもいいです。毎日の足として使うなら見切りよくて押し出し利いて人も荷物もたくさん乗せられる。車高を30mmくらい上げて悪路向きのタイヤを履かせたらドレスアップカーとしてカッコいい。
もちろんスキーの足として使うことだってできる。PHVを選べば、60kmくらいまでの移動であれば快適な電気自動車として使えます。RAV4よりハリアーのほうが自分のライフスタイルに合ってると思うなら、それもいい。
●片岡英明はこの10台を選ぶ!
・1位 スバル レヴォーグ
・2位 トヨタ RAV4
・3位 ルノー ルーテシア
・4位 トヨタ ヤリスクロス
・5位 ホンダ フィット
・6位 プジョー 208GT
・7位 三菱 エクリプスクロス
・8位 マツダ ロードスター
・9位 シトロエン C3エアクロスSUV
・10位 マツダ CX-8
4WDスポーツワゴンのレヴォーグは、走りの実力がヨーロッパ車並みに高いだけでなく、キャビンの快適性や安全性能も世界トップレベル。
最新の運転支援システムである「アイサイトX」を搭載したGTでも予算の範囲内だから買い得感はメッチャ高いと言えるだろう。登場から半年なので、これから長く付き合えるはずだ。
SUVでトータル性能が高いのはトヨタのRAV4。道を選ばずにダイナミックな走りを楽しめる。ガソリン車のアドベンチャーは驚くほど走破能力が高い。予算内で2WDならハイブリッド車に手が届くのも魅力だ。
コンパクトカーでは1台でマルチに使え、4気筒エンジンだから快適性も高いルノーのルーテシアがイチオシ。ノートと同じ新世代プラットフォームだから気持ちいい走りに加え、安全性能も高いレベル。
●渡辺陽一郎はこの10台を選ぶ!
・1位 トヨタ RAV4
・2位 マツダ CX-5
・3位 日産 セレナ
・4位 ホンダ フィット
・5位 マツダ ロードスター
・6位 トヨタ カローラツーリング
・7位 スバル XV
・8位 日産 リーフ
・9位 トヨタ ヤリスクロス
・10位 日産 キックス
購入予算が350万円なら、さまざまなカテゴリーの売れ筋車種を買える。また予算がこの金額なら、それなりにクルマ好きのユーザーだろう。実用重視なら、予算は200万円以内に抑えるからだ。
そこで1位には、趣味性の強いSUVのRAV4を選んだ。外観に存在感があり、4WDなら悪路走破力も高い。
2位もSUVのCX-5だ。クリーンディーゼルターボは実用回転域の駆動力が高く、燃料代は安い。スポーティ感覚が好みならRAV4、長距離を快適に走るならCX-5と選び分けられる。
ミニバンならミドルサイズで車内が最も広いセレナ、コンパクトカーでは走りが上質なフィットe:HEV、生粋のスポーツ派にはロードスターもあり、楽しさと実用性を併せ持つ車種を選んだ。
●松田秀士はこの10台を選ぶ!
・1位 プジョー 208
・2位 マツダ MX-30
・3位 トヨタ RAV4
・4位 日産 リーフ
・5位 シトロエン C3エアクロスSUV
・6位 ホンダ インサイト
・7位 スバル フォレスター
・8位 トヨタ ヤリスクロス
・9位 ルノー メガーヌ
・10位 マツダ ロードスター
プジョー208は今年1~2月の欧州での販売が爆発的で1位。プロジェクションマッピングでも行っているかのような立体的メーターパネル。デザイン力。乗り心地。ACC+LKA標準装備。燃費のよさ。
若干渋滞時のブレーキングや5km/hレベルでの加速時にギクシャクがあるが、そんなこと気にならなくなるほどの高速快適性と楽しさがある。国産車にこの個性はない。
MX-30は個性的な観音開きドア。スキーをやる筆者はこのドアの使い勝手が気に入っている。両ドアを開けた状態で荷物の出し入れや乗り降りがしやすく、非常に利便性が高い。
ホンダインサイトはe:HEVによるスムーズかつ力強い加速感と燃費の両立。そして何よりもハンドリングがスポーティーなこと。
他にヤリスクロスはSUVとして、なかったサイズ感が嬉しい。
●清水草一はこの10台を選ぶ!
・1位 マツダ ロードスター
・2位 フィアット 500ツインエア
・3位 シトロエン C3
・4位 VW T-CROSS
・5位 プジョー 208GT
・6位 マツダ CX-5
・7位 ルノー ルーテシア
・8位 トヨタ カローラツーリング
・9位 スバル XV
・10位 トヨタ ハリアー
リストにヤリスハイブリッドが入ってたら2位に入れたかったけど、GRヤリスRSは中途半端なので選外。結果的に、ロードスターS以外は輸入車勢が上位を占めることになりました。
ロードスターSのすばらしさは世界遺産レベルで格違いだけど、こうやって並べてみると、輸入コンパクトカーがすごく充実してるのを感じる。真剣に欲しいと思うクルマがズラッと並んでるんだよ!
どれもこれもダウンサイジングターボを積んた、日常域の走りが痛快なクルマばっかりだ。500ツインエアは2気筒のフェラーリだし、どれもこれも小さいけど快楽性がすごく高い。
一方国産勢だと、そこに相当するのはヤリスハイブリッドくらい。他は「少~し愛して、長~く愛して」な日本的なクルマにつき、食いつきが弱くなりました。
●斎藤 聡はこの10台を選ぶ!
・1位 マツダ ロードスター
・2位 トヨタ RAV4
・3位 スバル レヴォーグ
・4位 マツダ MX-30
・5位 スバル フォレスター
・6位 ホンダ フィット
・7位 プジョー 208GT
・8位 ルノー ルーテシア
・9位 VW ポロ
・10位 アバルト 595
「この機能、この性能でこの価格なら割安感がある」クルマをピックアップしてみました。例えばロードスターの本格的オープン2シーターが260万円はバーゲン価格です。
4WDではオーソドックスだけれど、作り込みのよさで安定の性能を発揮するフォレスターとレヴォーグも外せない。なかでもレヴォーグは、新型のアイサイトXの進化もスゴイ。レベル3に限りなく近い性能を持ったレベル2運転支援システムで、これを手に入れるためだけでもレヴォーグを選ぶ理由がある。
面白さでいうと、あらゆるセンサーを駆使して制御を行うマツダMX-30のAWD制御の緻密さや、フィットe:HEVの多彩な駆動配分システムも魅力的。
輸入車3台は、この価格でこの性能が手に入るという割安感。それと大好物のいまや希少なホットハッチのアバルト。
●飯田裕子はこの10台を選ぶ!
・1位 トヨタ ヤリスクロス
・2位 ホンダ フィット
・3位 日産 リーフ
・4位 マツダ CX-30
・5位 スバル レヴォーグ
・6位 MINI MINIクーパー
・7位 アバルト 595
・8位 ルノー カングー
・9位 VW T-CROSS
・10位 マツダ ロードスター
実用サイズは個々の生活スタイルによるものの、運転のしやすさを大前提に「クルマの有意義さ=お家時間からの解放を満たすクルマ移動」に“映え(見て)”と乗り味と居心地の“エモさ(癒やし方向も含む)”のバランスを求めて考えました。
するとノミネートされたクルマのなんと8割が推し。そのうち350万円以下でも他グレードなら、と思えるモデルも8割。難しかったのはグレードの縛りです。
そこで前述の選考基準に加え、価格に対し安心/楽ちんで安全/運転支援技術が充実しているモデルを優先。
ただ国産は価格やボディサイズに対し装備や仕様が充実したモデルが多い一方、輸入車はそれらが劣るもデザイン性や走行フィールに個性や魅力を持つモデルが豊富。
結果、国内外問わず、所有する喜びを楽しさに寄せたモデルも7位以下に選んでいます。
●小沢コージはこの10台を選ぶ!
・1位 マツダ ロードスター
・2位 ホンダ S660
・3位 トヨタ GRヤリスRS
・4位 トヨタ ハイエース
・5位 マツダ CX-8 FF
・6位 トヨタ ハリアーFF
・7位 スバル レヴォーグ
・8位 MINI MINIクーパー
・9位 ジープ レネゲード
・10位 ルノー カングー
現状余剰感ある金がほぼない私にとって350万円は高い。マジで今のギリギリで、それだけに出し甲斐あるクルマに乗りたい。いわゆる「替えのきかないクルマ」であり「本当に自分が欲しい個性的なクルマ」。
となると死ぬまでに老後ゆっくり乗ってみたいと思ってるロードスターが筆頭で、次に品切れになったし、今後価格が落ちない走る1人乗りバイクみたいなホンダS660、おそらく豊田章男社長がいなかったら生まれ得ないGRヤリスと続く。
それ以降は非常に現実的。ハイエースはキャンピングカー代わりで値落ちが極端に少なく、CX-8は家族が乗れるSUVとしてベストでハリアーは同クラスの輸入車より200万円は安い超コスパ車。レヴォーグも半自動運転車として限りなく安い。
8位以下は直感です。
●岡本幸一郎はこの10台を選ぶ!
・1位 スバル フォレスター
・2位 MINI MINIクーパー
・3位 ルノー キャプチャー
・4位 マツダ CX-5
・5位 トヨタ RAV4
・6位 プジョー 2008
・7位 スバル XV
・8位 マツダ マツダ6ワゴン
・9位 VW T-CROSS
・10位 シトロエン C3エアクロスSUV
人から「このクルマどう?」って聞かれた時に、どれぐらい太鼓判を押せるかという視点がまず大事。
そして、「350万円」という金額を強く意識して、たとえばAという車種は350万円で手が届くグレードはショボイので、それならBという車種の上のグレードにしたほうが賢明とか、逆にせっかく350万円かけてよいなら、もっと別のクルマを選んだほうがよくね?といった視点に、「いまなら」という視点を併せて考えてみた。
なので、たとえばCX-5は昨年末に改良されてすごくよくなったし、350万円ならまずまずのグレードが狙えるので、新しめのCX-30やMX-30よりも個人的にはオススメしたい。
逆にハリアーを入れなかったのは、350万円で買えるグレードは物足りない気がするし、いま現在は納期に時間がかかるのでオススメできないからだ。
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