「素うどんグルマ」である。なんだそりゃ、とお思いの方も多かろうと思う。ごもっとも。以下説明します。
エビ天ぷらやかき揚げなどの「具」が、なにものっていないのが素うどん。だから、余計(?)な装備をつけていない“素”なグレードのクルマが「素うどんグルマ」。これに対して、いろんな具(装備)を乗せてお値段も張った車を「具のせグレード」と称しています。
これっていったいどちらが割安なんでしょう? もしかすると素うどんグレードの方がお得なんじゃない? ということで自動車ジャーナリスト渡辺陽一郎さんにご登場願い、コンパクトカー12車種における「素うどんグレードvs.具のせグレード」の検証ランキングをつくってもらいました。
それが名付けて「素うどんグルマ選手権」。やや強引なネーミングの企画ではありますが、皆さまのお役に立てればと思い、お送りいたします。なお、検証の結果、やっぱり「具のせ」のほうがいい! という結論に至ったクルマもじつは結構多かった。そちらはその度合いによって「ランキングD・E」に分類させていただいてます。
文:渡辺陽一郎、ベストカー編集部
写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年7月26日号
■1位はマーチ!
マーチS(115万1280円/CVT)
一般的に「具のせグレード」は、量産効果によって実用装備を割安に装着する。これに対して「素うどんグレード」は、価格が少し安くても、それ以上に多くの装備を削ってしまうことが多い。買い得とはいえず、「素うどんグレード」はあまり売れない。「具のせグレード」の販売比率が高まる。
ところがマーチは、「素うどんグレード」のSを割安にした。「具のせグレード」のX・Vセレクションに比べると、インテリジェントキー、アイドリングストップといった13万8000円相当の装備を省いているが、価格は22万4640円も安い。8万円以上も割安だ。
マーチは従来型を含めて、価格の安さに特徴がある。特に今は、ライバル車のフィットが広い後席と荷室を備え、ヴィッツを含めてハイブリッド車も増えた。マーチにはこれらの特徴がないから、Sの価格を115万円少々に抑え、低価格をセールスポイントにしている。
■素うどんグレード:S(115万1280円/CVT)
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具のせグレード:X・Vセレクション(137万5920円/CVT)
■価格差:22万4640円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:13万8000円
■価格差−装備換算額=8万6640円
●素うどんグレードの買い得度:Aランク
■ヴィッツの1.0Fは思い切り安く設定
ヴィッツ 1.0F・Mパッケージ(118万1520円/CVT)
ヴィッツの具のせグレードは、基本的には直列4気筒の1.3Lエンジン車だ。1L車は排気量が300cc少なく、気筒数も3気筒となる割に、価格があまり安くない。
しかしF・Mパッケージは例外だ。1LのFに比べると3万5000円相当の装備を削るだけで、価格は14万3640円も安い。法人やレンタカーの需要を狙って、思い切り安価にした。具のせグレードの1.3Fと比べても約2万円は割安だ。
ただし、価格を安く抑えるために装備は簡素化され、ドアミラーは手動式で、スマートエントリーなどはオプションでも装着できない。
それでも緊急自動ブレーキを作動できるトヨタセーフティセンス、サイド&カーテンエアバッグなどの安全装備はオプション設定した。安全面の手抜きはない。
■素うどんグレード:1.0F・Mパッケージ(118万1520円/CVT)
■
具のせグレード:1.3F(148万1760円/CVT)
■価格差:30万240円
■具のせグレードに加わる装備の価格換算額:28万円
■価格差−装備換算額=2万240円
●素うどんグレードの買い得度:Bランク
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