8月13日(金)にホンダの高級ブランドであるアキュラの米国法人はNSXの最終限定モデルとなるタイプSと同時に、日米で販売され2006年に絶版となったインテグラが来年16年振りに復活することを発表した。
復活するインテグラについてはヘッドライト部分の写真と、「インテグラのDNAを受け継ぐ高いドライビングプレジャーを持つクルマになる」というコメントしかなく、ここでは四世代続いた歴代インテグラの振り返りを中心に、復活するインテグラの姿を考えてみた。
文/永田恵一、写真/HONDA
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■インテグラの歴史
●初代(1985年)
初代モデルはクイントというモデルが前身だったこともあり、クイントインテグラという車名だった。初代モデルもクイント同様に、当時はクリオ店、プリモ店、ベルノ店という3つの販売チャンネルがあった日本のホンダにおいて、スポーティなモデルを揃えるベルノ店扱いだった。
当時の3代目シビックをベースにシビックとアコードに位置し、アメリカでは初代レジェンドとともにアキュラ開業を飾るモデルとして登場した。
初代モデルは車格に加え、歴代続く「スポーティでスペシャリティ」というキャラクターを持っていたこともあり、ボディタイプは3ドアクーペ、5ドアセダン、4ドアセダンの順に拡充され、搭載されたエンジンも当初は1.6リッターDOHCのみだったことも特徴だった。
●2代目(1989年)
車名からクイントが取れインテグラとなった2代目モデルは、コンセプトや車格は初代モデルと同様だったが、ボディタイプが3ドアクーペと一世を風靡したカリーナEDの影響を受けた4ドアハードトップとなった。
くわえて、世界初の可変バルブタイミング&リフト機構となるVTECを持つ1.6リッターDOHCエンジン(NAでリッター100馬力となる160馬力!)を搭載した点が最大の特徴だった。
また、広告には映画バックトゥザフューチャーに主役として出演したマイケル・J・フォックス氏が起用され、「カッコインテグラ」、「調子インテグラ」といったフレーズが使われたことも話題となった。
自慢のVTECエンジンはインパクトこそ強かったものの、マイルドなキャラクターのインテグラより、のちに搭載されたシビックとCR-Xで真価を見せたところがあったのも否めなかった。
しかし、2代目モデルはバブルという時代背景もあり、マイナーチェンジで1.8リッターエンジン搭載車を追加するなどしながら、成功を収めた。
●3代目モデル(1993年)
3代目モデルも成り立ち、コンセプトともに2代目モデルと同様だったが、スポーツモデルのSi VTECのエンジンが180馬力の1.8リッターになった点が大きな特徴だった。
筆者はインテグラが絶版となった後のお金がなかった20代最後にSi VTECの3ドアクーペに乗っていたことがあるが、ノーマル状態では面白みに欠けるところはちょっとあったものの、ライトチューンをしてからは1.8リッターらしいトルクフルな点など、なかなか楽しめるクルマだった。
しかし、丸目四灯ヘッドライトだったフロントマスクのクセが強かったせいか、前期モデルは不調が続いた。
しかし、一部グレード以外丸目四灯ヘッドライトを改めた1995年のマイナーチェンジでタイプRが加わると、インテグラの運命は大きく変わった。
初代NSXに続く3代目インテグラのタイプRも初代NSXタイプRと同じコンセプト、スピリッツで開発されており、タイプRの手法も手作業部分も含む200馬力へのパワーアップとギア比の変更による動力性能の向上、LSDの強化によるトラクション向上、サスペンションの強化、軽量化。
さらに大型リアポイラーなどのエアロパーツの追加、モモのステアリング&レカロシートをはじめとしたスポーツマインドを感じるインテリアと、初代NSXタイプRと同様だった。
その甲斐あって3代目インテグラのタイプRは250万円程度という手が届く価格ながら、当時の280馬力級日本最速車軍団に近い速さと、FF車とは思えないシャープなハンドリングやレーシングカーのようなエンジンという楽しさを持つスポーツモデルに仕上がった。
結果、手作業部分もあるエンジンの生産が需要にとても追いつかないほどの人気車となった。
3代目インテグラのタイプRは1998年には初期の96スペックから98スペックに進化し、タイヤサイズの拡大などにより一発の速さはそれほど変わらなかったものの、持久力を向上しながら扱いやすくもなり、中古車市場では今も高値安定となっている。
●4代目モデル(2001年)
4代目モデルはクーペ需要の落ち込みもあり、一車格上のプレリュードと統合された形となる2リッターNAを搭載する3ドアクーペのみとなった。
4代目モデルには普通の2リッターNAもあったが、3代目モデルでタイプRがヒット車となったこともあり、ほとんどの人がイメージに残っているのはタイプRだけだろう。
4代目モデルのタイプRは大型化により約100kg車重が増したものの、2リッター化によるパワーアップやフロントにはブレンボキャリパーを使うなどのブレーキの強化などにより、3代目モデルのタイプRより確実に速さを増した。
しかし、4代目モデルのタイプRは価格もそれほど上がらなかったにも関わらず、タイプR化がはじめから想定され、3代目モデルのタイプRのチューニングカーのような魅力、楽しさは薄れた点が悪かったのか、クーペやスポーツモデルの需要激減が原因だったのか、売れ行きは低迷。
マイナーチェンジでグレード体系の見直しなどを行っても浮上せず、残念ながら2006年に絶版となった。
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