「こまめ」って何kmごと?? エンジンオイル交換時期の新常識

「こまめ」って何kmごと?? エンジンオイル交換時期の新常識

 クルマのエンジンオイル、皆さんはどのようなタイミングで交換しているだろうか。JAFによると、エンジンオイルの交換タイミングは、通常は15000kmまたは一年ごと、軽自動車やターボなどの過給機付きエンジンでは5000kmもしくは半年、ディーゼルエンジン車は10000km、もしくは1年を推奨、としている。

 しかしながら「交換時期は3000~5000km毎、もしくは3ヶ月~半年程度」としているカーチェーン店もあるなど、かなりばらつきがある。

 消耗品でもあるエンジンオイルは、黒く汚れたり、規定量を下回る前の早い段階で、交換・補充することに越したことはないが、ユーザーとしては、できれば交換サイクルは長くあってほしいところ。低燃費車やハイブリッド車が多くなっているいま、最新のエンジンオイル交換事情についてご紹介しよう。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:AdobeStock_uwimages
写真:写真AC、TOYOTA

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耐久性向上などにより、交換サイクルが長くなった

 現在、国内で市販されている国産車のほとんどが、エンジンオイルの交換タイミングを15000kmもしくは1年ほどとしている。しかし、現在40代以上の読者諸兄の皆さんならばご存じであろうが、90年代ごろまでは、「エンジンオイルは5000kmごとに交換するように」といわれていて、1年ごとの定期点検時期を待たずして、ディーラーやカーチェーン店で当たり前のようにオイル交換をしていた(筆者も迷わずそうしていた)。

90年代ごろまでは、「エンジンオイルは5000kmごとに交換するように」といわれていたが、いまは交換サイクルが伸びている(PHOTO:写真AC_HiC)
90年代ごろまでは、「エンジンオイルは5000kmごとに交換するように」といわれていたが、いまは交換サイクルが伸びている(PHOTO:写真AC_HiC)

 それがだいたい2000年頃から、オイルの交換サイクルの指定が長くなってきた。その理由のひとつは、エンジン本体やエンジンオイルの耐久性が向上したことで、オイルの消耗・劣化スピードが抑えられたことだ。ハイブリッド車の急増も、その一要因となっているだろう。他にも、環境保護の観点で「廃油を減らさなければならない」という考えが、急激に広がったことも大きかったと考えられる。

交換タイミングを越えても、直ちに影響を及ぼすことはない

 今回、本稿を執筆するにあたり、何名かのエンジン開発エンジニアと話をした。その結果、メーカー指定の交換タイミングはあくまで推奨値であり、その基準を越えたからと言って、振動や音、燃費などの性能に、直ちに影響がでるわけではない、というのが共通の見解であった。

 また、現在主流の指針「オイル交換は10000kmもしくは1年ごと」という根拠については、同じ10000km走行でもクルマ(軽自動車、コンパクト、ミニバン、セダンなど)の違いや、使用される地域の気温・湿度といった環境条件、使用状況などが異なるため、悪い条件が重なった場合でもカバーできるよう、安全率を大きめにとって決めている、という。

オイル交換の推奨値は、どんなクルマでもどんな使い方でも対応するため、悪い条件が重なった場合でもカバーできるよう、安全率を大きめにとって設定されている(PHOTO:写真AC_エンリケ)
オイル交換の推奨値は、どんなクルマでもどんな使い方でも対応するため、悪い条件が重なった場合でもカバーできるよう、安全率を大きめにとって設定されている(PHOTO:写真AC_エンリケ)

 つまり「10000kmもしくは一年ごと」に必要なのは、早めに交換が必要なクルマを、かなり最悪な状況で使用した場合であり、一般的な使い方であれば、その交換タイミングを超えたところで直ちに影響を及ぼすものではない、ということだ。オイル交換によって、燃費に関してはわずかに良くなるが、それほど大きく変わるものではなく、走りがよくなる、というのも技術的には根拠がないという。

 本当にエンジンに支障をきたすのは、たとえば、エンジン内部の摩耗などによって、エンジンオイルがなくなってしまっているのに、それに気づかずに走行を続ける、というような場合。これを続ければ、もちろん、オーバーヒートや焼き付きを起こしてエンジンが停止してしまう。「そんな事態はまず起こらない」と思われるかもしれないが、こういう状況に陥る人は一定数いるという。

 では、どれくらいでエンジンオイル交換するのが適切なのか、ということについては、「ドライバーの運転スタイルや地域、気温によって条件はバラバラとなるため、やはり、10000kmもしくは1年ごとが妥当」、と回答を濁されてしまった。

 ただし、「新車の3000km点検でのエンジンオイル交換」は、今でも妥当だという。ピストンリングやシリンダーの加工精度や表面処理の技術が向上し、摩擦による鉄粉が出にくくなってはいるが、摺動部から細かな摩擦粉が出たり、組立時に小さな金属粉が入る可能性がゼロではない。そのため早いタイミングで、トラブルの種になりかねない不純物を排除するのは有効とのことだ。

新車で購入した場合は、3000km点検でエンジンオイル交換をするべき。摺動部から細かな摩擦粉が出たり、組立時に小さな金属粉が入る可能性がゼロではないからだ
新車で購入した場合は、3000km点検でエンジンオイル交換をするべき。摺動部から細かな摩擦粉が出たり、組立時に小さな金属粉が入る可能性がゼロではないからだ

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