「トヨタが主導して、ダイハツ、さらにスズキが協業して、リッターカークラスのスポーツモデルを開発する」。
ミドシップスポーツを?? 三社協業で???
思わず「本当か?」とツッコミたくなる情報が飛び込んできたのは、先日お伝えした「LFAII」取材の最中。
ヤフコメで「妄想製造機」とか言われてしまうベストカーですら「ほんとか?」「なぜ、今?」と訝しんでしまうような情報だが、しかしこれ、市販化されたらとんでもない1台になるのでは?
取材を進めると、その背景には「クルマ好き」の裾野を広げるための壮大な計画があることがわかった!!!
※本稿は2021年11月のものです
本文・予想CG/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年12月26日号
■トヨタダイハツスズキでコンパクトミドシップ開発! その背景にあるものとは?
この情報、何が怪しいって既存のFFプラットフォームを流用するのではなく、プラットフォームを新開発するミドシップ2シーターだというのだから、さすがのスクープ班もにわかには信用できなかった。
しかしさらに情報を探っていくと、このプロジェクト、「つい最近、開発に向けた企画がスタートしたばかり」なのだという。
トヨタが企画全体を取りまとめ、ダイハツ、スズキが共同開発に加わり、基本的なメカニカル部分を共用しながら3メーカー独自のエクステリアを作り上げていく、という方向性でプランニングの検討が始まっているということが判明した。
このコンパクトミドシップスポーツ、2025年の市販開始を目標としているという。
まさに先日お伝えした「LFAII」と同時期で、これが事実ならトヨタはフラッグシップスポーツモデルの投入と同時に、エントリークラスにもスポーツモデルを投入することになる。
この背景には、トヨタが推進する「もっといいクルマづくり」が大きく関係している。
これは豊田章男社長がしばしば口にしている言葉だが、何も趣味の話をしているのではない。
若者のクルマ離れ、自動車の白物家電化が言われて久しいが、自動車メーカーとしては、10年後、20年後、さらには50年後の生き残りのためにも、「クルマ好き」を育てていかなければならない、というのがその根底にはある。
自動車が実用的な道具であることは大前提だが、その一方で運転すること自体が楽しく、「愛車」として所有することの魅力を伝えていく……。
そのためにもGR86のようなクルマが必要で、BMWとの協業でスープラも投入した。
こうした信念を背景に、GR86より手軽な、エントリークラスのスポーツモデルをラインナップに加える、というのが今回のプロジェクトなのだ。
2015年の東京モーターショーに、トヨタは「S-FR」という1.5Lエンジンを搭載するコンパクトFRを出展したことは記憶に新しいだろう。
完成度は高く、インテリアも市販車レベルに仕上げられていた。
実際に市販化を前提に開発が進行しており、あとは最終GOサイン待ちという段階だったが、収益性の問題から市販化を断念せざるを得なかった。
つまり、トヨタ一社で開発、販売をするのでは採算ベースに乗せられない、という判断だ。
そこでダイハツ、スズキに声をかけ、三社協業により、それぞれの得意分野、開発資源を活用して開発コストを圧縮しながら市販化を実現するビジネスモデルを模索したというわけだ。
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