移動販売車といえばミラ・ウォークスルーバンなど超個性的な車種が多かったが、ここにきてこれまた珍しい移動販売車に出会った。
なんとイタリアの名車フィアット600をカフェにして営業しているオーナーに出会ったのだ。たまたまイベント会場に現れたフィアット600の雄姿に感動しつつ、オーナーにあれこれ聞いてみた。
埼玉県内であれば出会えるかもしえない超レア移動販売車の素性とは!?
文/写真:池之平昌信
【画像ギャラリー】超レア!! 移動カフェとして大活躍しているフィアット600を画像でチェック(36枚)画像ギャラリー■フィアット500の派生モデル「600 Multipla」を発見!!
イタリアの大自動車メーカー、フィアット。創業123年!というのだから驚く。現代の人気車といえば500(チンクェチェント)だが、そのモデル、実は「復刻」されたデザインだということはご存知だろう。
そうアニメ映画「ルパン三世・カリオストロの城」などで主人公が乗っていたタイプのものが、1957年から20年間も生産されていたのだ。そして今回、埼玉県内のモトクロス場(オフロードヴィレッジ)で筆者が発見し腰を抜かしそうになったのはその500の派生モデルといってよいであろう、600 Multipla(セイチェント・ムルティプラ)1967年モデルだ。
1998年に発売され、奇抜なデザインで話題となった、「ムルティプラ」にもご先祖さまがいたとは・・・知らなかった。MULTIPLAとは「多数」を意味するので、まさかこのかわいいクルマも前列に3人乗れるのかな?と覗いてみると、さすがにそうではなかったが、後部座席に、まるで「人がはまっている」かのように座っている。この移動式カフェのオーナー谷内隆さん(45才)だ。
■どうしてこのクルマで移動カフェを?
早速いい匂いのしているカフェ・アメリカーノ(400円)を注文し、飲みながら話しをきいた。
「このクルマを買ったのは10年くらい前です。静岡のスティルベーシックというチンクェチェント専門店で約250万円でした。それからさらに150万円ほどかけて、エンジンや足回りなどをオーバーホールしましたね。600という名前ですけど、これは750ccの水冷4気筒のモデルです。
カフェ営業中はムリですが、シートを元に戻せば2x3列で6人乗りですよ。高速道路でも時速80キロくらいが精いっぱいですかね。普段は普通に乗ってたんですが、5年くらい前にこの600でカフェを始めました。高速道路に乗るのはしんどいので埼玉県内での営業だけになってしまいますが、おかげさまで大好評です。近いうちにサラリーマンを辞めて、この移動カフェに専念しようと計画してるところです。」
確かに深みがあって美味しいコーヒーだし、価格のわりに量もたっぷりとある印象だ。
それにしても、どうしてまたこういう珍しいクルマで?
「もともとはVWのタイプ2(通称ワーゲンバス)が好きだったんです。なんせ3台も乗り継ぎましたから。ホントはそれでカフェを始めても良かったんですが、ライバル(他店舗)がたくさんいまして・・・。で、この600となりました。旧いクルマですが、パーツもちゃんと手に入りますし、埼玉のH&Sというショップでしっかりとメンテしてますから大丈夫です!」
なるほど、そういうことでしたか。とハナシを聞いている間にもお客さんは途絶えない。けっこう儲かるのでは?と思ったら、今日は「まだまだですよ」とのことだった。イベント(公園マルシェなど)や天候によっては行列もできちゃうのだろう。
コメント
コメントの使い方