新車の発表会や発売1か月後のタイミングでメーカーから公表される初期受注台数。多くの新車には月販目標台数が設定されてあり、人気車になると「目標台数の4倍を越える台数を受注!」といったニュースを見聞きすることも多いだろう。
直近では新型クラウンの受注台数が、発売2日前時点で約2万台に迫り話題となったように、初期受注は人気の指標として取り上げられるケースも多い。
しかし、それはあくまで“出だし”の良し悪しを計る指標。新車は発売数か月前から予約できるとあって、目標台数を超える初期受注を抱えている場合がほとんどだ。本当の真価が問われるのは“その後”。華々しくデビューした注目車は、果たして今後勢いを持続できるのか。
文:ベストカー編集部、渡辺陽一郎
写真:編集部
ベストカー 2018年8月10日号
フォレスター&センチュリーの初期受注をどうみる?
■フォレスター/先行予約台数:4119台(2018年5月18日~6月18日)
新型フォレスターは7月19日に発売開始。まずは2.5LのNAのみでスタートし、2Lエンジン+モーターのハイブリッドは9月14日に追加される。
先行予約で人気を集めたのは、そのハイブリッド搭載グレード「アドバンス」。スバル初の乗員認識技術搭載という新鮮さも手伝ったか。
■今後の展望は?【TEXT/渡辺陽一郎】
海外市場も含めると、フォレスターは世界で最も販売台数の多いスバル車だ。日本でも人気車種であり、先代型からの乗り替え需要も多い。5月18日から実車のない状態で商談を開始して、4119台の受注は妥当といえる。
従来型ユーザーのなかには、試乗した後で新型に乗り替えるか否かを判断する人も多いだろうから、今後も売れゆきは堅調に伸びる。
■センチュリー/初期受注台数:316台(6月20日時点)
レクサス LSを凌ぐ価格で登場する新型センチュリー。搭載パワーユニットはV8、5.0Lエンジンベースのハイブリッド。
初期受注台数は少ないように思えるが、使われる用途と、1日に2〜3台しか生産できないことを考えると充分。
■今後の展望は?【TEXT/渡辺陽一郎】
先代は国産乗用車で唯一のV型12気筒、5Lエンジンを搭載して価格は1253万8286円だった。それが新型は1960万円だ。
V8、5Lエンジンベースのハイブリッドは先代LS600hと基本は共通で、4WDではなく2WD。それで700万円以上も値上げしたのだから、316台の受注は立派といえる。が、いずれは先代同様に月10台程度の販売に落ち着くだろう。
トヨタの注目2モデルは今後も安泰か?
■クラウン/初期受注台数:約1万8700台(6月24日時点)
15代目新型クラウンの初期受注は、月販売目標台数(=4500台)の約4倍となる1万8700台。極めて好調だといえる。パワーユニットは2L直噴ターボ、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドの3種類が用意されているが、人気は2.5Lハイブリッドに集中。実に初期受注の約80%が2.5Lハイブリッドとなっている。
グレード的にはスポーティなルックスの「RS」が人気を集め、約6割のユーザーがRS系を選択。一番人気は2.5Lの「RS アドバンス」とのこと。
■今後の展望は?【TEXT/渡辺陽一郎】
予約受注は発売から2カ月前の2018年4月下旬に開始。クラウンでは新型が発売されると即座に乗り替える顧客が多いため、受注台数は1万8700台に達した。
セダンと高価格車が売れない時代に、クラウンは大幅な路線変更をしながら販売は好調だ。新型の商品力というより、従来型が築いた信頼と、販売店の尽力が大きく貢献したのだろう。今後も堅調だ。
■カローラスポーツ/初期受注台数:約3700台(6月24日時点)
1.2L直噴ターボ+10速CVTと、1.8Lエンジンベースのハイブリッドの2種のパワーユニットでスタートしたカローラスポーツ。
月販売目標が2300台ということを考えれば、まずまずの滑り出しといえる。8月にはMT車も追加設定される予定で、そちらにも期待だ。
■今後の展望は?【TEXT/渡辺陽一郎】
予約受注は2018年5月中旬頃に開始。6月24日時点の受注台数は、約3700台と控え目だ。従来型からの乗り換え需要がない新型車で、車種の知名度も低いから台数は伸び悩む。
販売店では「カローラスポーツの発売と同時に廃止されたオーリスからの乗り替えが目立つ」という。乗ればわかる「よさ」はあるが、早期にカンフル剤の投入が必要となるかもしれない。
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