最高齢自動車ジャーナリスト【御大】三本和彦の「喝」!!

最高齢自動車ジャーナリスト【御大】三本和彦の「喝」!!

歯に衣着せぬ評論でお馴じみの1931年生まれの自動車ジャーナリスト、三本和彦さんがベストカー本誌で連載の金口木舌(きんこうぼくぜつ)。連載最終回となったベストカー2018年8月26号を紹介しよう。

※金口木舌(きんこうぼくぜつ)とは:古代中国で官吏が法律などを民衆に示す際に木鐸(ぼくたく。口が金属、舌が木製の鈴)を鳴らしたことから、優れた言論で社会を教え導く人の例えという意味

文/三本和彦 写真/ベストカー編集部


■金口木舌①死ぬ前に買う最後のクルマ

さて、長年こきつかわれてきた連載担当の小野君が異動になるってことで、いったんこの連載をやめることになったわけですが、相変わらず、きついお題ばかりだねえ。

一発目は「最後のクルマ」だそうです。最後に乗りたい、欲しい、買うクルマってことね。ボクはもうすぐ齢87だから、今乗っているポロが最後でもいいと思ってるんだ。

これまで免許取ってから40台近く乗ってきたからねえ。もちろん、それぞれ思い出深いけれど、5台思い出深いクルマを挙げるとすれば、スバル360、ホンダN360、ブルーバード510型SSS、ベンツ190D、NSX。

三本さんの奥様、著名な写真家・上野千鶴子さんとスバル360

スバル360は嫁さんとよくドライブしましたよ。よかったねえ。ホンダNコロ(N360)はやっぱり親父さん(本田宗一郎)が作ったクルマだからねえ。高性能なのに安くて居住性も広かった。いいクルマでした。

510ブルのSSSは、サファリラリーで走る勇姿を目の当たりにして「これ買った!」と叫んでしまったほど、カッコよかったですね。

ベンツ190Dはディーゼル好きが高じて2台も買いました。トルク盛り盛りで走りが楽しかったのを覚えています。NSXは、当時の川本信彦社長の心意気、気宇壮大なところをかったわけです。

で、ボクが最後に買いたいと思っているクルマですが、まだ決めかねています。欲しいクルマが決まり、購入することになったらお知らせしますね。

※三本さんの愛車遍歴ですが「記憶違いもあり、定かではありません」と本人談

■金口木舌②ニッポンの自動車業界はココがダメ!

続いてのお題は「日本の自動車業界を叱る」。たいそうなお題だねえ。これは頭に血がのぼって茹で蛸になりそうなほど、たくさんあるよ。

まず最初に言いたいのは、無資格審査問題、燃費偽装に代表される企業の緩みだね。食品偽装事件の時と同様、企業側は一般ユーザーを舐めきっているのがよくわかった。

そして日本の自動車メーカーが日本市場を軽視していること。そりゃ市場規模を考えればしかたないかもしれないが、ひどすぎる。

日本市場は、売れない、売れても台数が少ないから軽視して、市場規模の大きい北米市場のユーザーをターゲットに新車開発をする。

ボクが理想とするのは、その地域ごとに車種、仕様を決める生産方式。その真ん中にいるのは日本です。日本人が考えて日本人が作ったクルマを基本に変えていくのです。中国専用の長いセダンは別として、ドイツ車はドイツ人が、ドイツ基準、欧州基準で作っているでしょ。

家電も含めて、なんでもそうですが、コスト優先しすぎです。抜群にいい使い勝手のよさはそのままに、コストをかけるところには、かけてくださいよ。

安っちいはおしまい。夢のあるクルマを!  ボクが20代、30代の頃は、クルマを見て目が踊り、乗って卒倒したもんですよ!

クルマの形って決まっているようで、決まっていないもの。もっと夢のある奇想天外なデザインのクルマ、もっと速いクルマを作ってほしい。日本車は型にはまりすぎている感じがします。

1971年頃、イタルデザインを創設したジョルジョット・ジウジアーロを取材した時のもの。中央が三本さん

次ページは : ■金口木舌③もう思い残すことはない? 三本氏の「遺言状」

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