誰もが愛車を長く乗りたいと思っているはず。しかし、日頃何気なく行っている運転が愛車を傷めつけてしまっていることも……。それらひとつ一つは大きなトラブルに直結するものではないが、塵も積もれば山となる。いずれは致命傷になるような大ダメージを与えてしまうことにもなりかねない。
そこで今回は、愛車に少しずつダメージを与えてしまうNG運転を解説していこう。
文/入江 凱、写真/写真AC
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■「急」のつく操作をする
基本的に急発進、急加速、急停止、急ハンドルといった「急」のつく操作はクルマ全体に大きな負荷をかける。例えば、急発進、急加速を行うとエンジンやトランスミッション内のオイルが油膜切れを起こし、潤滑剤としての役割を十分に果たすことができなくなる可能性がある。また、急発進、急加速に加えて、急ハンドルを繰り返すと、フレームやブッシュ、足回りの劣化が進行してしまう。
こういったことから、スムーズなアクセル&ステアリングワークやブレーキングを心掛けることは愛車を長く、トラブルフリーで乗り続けるためには必須だ。
■チョイ乗り(短距離の運転)を繰り返す
買い物や子どもの送り迎えなど、短い距離を走るチョイ乗りを繰り返すのはクルマには優しくない運転のひとつ。ちなみに、チョイ乗りに当てはまる距離の目安は1回あたり8㎞以下の走行と言われている。
クルマのバッテリーはエンジン回転数を上げて走ることによって充電を行うが、走行距離の短いチョイ乗りでは十分な充電が行われず、バッテリーの寿命を早めてしまう。また、暖気なしのエンジン自体が温まりきらない状態でチョイ乗りをしてしまうと、蒸発しきれなかったエンジン内部の水分がエンジンオイルに混入してエンジンオイルが変質してしまう恐れもある。
チェイ乗りをする場合は、1~2分程度アイドリングをして暖気をして、急加速しないようにしながらエンジンの回転をある程度上げるようにする。これでバッテリーの劣化やエンジンオイルの劣化を防ぐことができる。
■停車時Pレンジのみでサイドブレーキを使わない
Pレンジだけでクルマを停車しておくと、ギヤの噛み合いが弱くなって遊びが多くなり、最悪の場合は、ギヤの歯止め用の金属製の爪(パーキングロックポール)が外れてクルマが動いてしまうこともある。
さらに、Pレンジに入れた状態でクルマが動いてしまうと、パーキングロックポールに強い負荷が掛かって破損してしまうこともある。
パーキングロックポールの破損を防ぐだけではなく危険を回避する意味でも、停車時には必ずサイドブレーキとPレンジの両方を使うようにしよう。
■半クラッチを多用する
クラッチは交換費用がかなり高額になるので、半クラッチには注意したい。クラッチを半分滑らせている状態にすることでエンジンの回転をタイヤ側にスムーズに伝える方法が半クラッチだが、多用すればクラッチディスクの摩耗が激しくなり、最悪の場合はクラッチをつないでも滑ってしまって走行できなくなってしまう。
また、エンジンが高回域にある時にいきなりドンとクラッチをつなぐと大きな摩擦熱が発生して、クラッチの摩耗が一気に進んでしまう。
右折時や左折時、上り坂では4速や5速といった高いギヤのままクラッチを切らず、まずは適切なシフトダウンを行うことが理想だ。とにかく、半クラッチの使用は必要最小限にとどめることを心掛けよう。
■車止め(輪止め)にタイヤを当てたまま駐停車する
車止めにタイヤをぶつけるようにして駐車するクルマをよく見かけるが、これはNG。車止めに勢いよく当てた時に車体にかかる負荷は凹凸のある悪路を走行している時と同じくらいなのだ。特に、サスペンションへの負荷は大きくなる。最悪の場合は、ホイールアライメント(タイヤの取り付け角度)が狂う可能性もある。
特に注意したいのは扁平率の低いタイヤを装着している場合で、タイヤで衝撃を吸収しきれずホイールに大きなダメージを与えることもある。
また、車止めにタイヤを押し当てた状態のまま駐車するとサスペンションに負荷がかかったままになってしまうので避けよう。
車止めにタイヤが当たったと感じたらそのまま駐車せず、少しだけ前に出して駐車することが足回りにダメージを与えないコツだ。
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