年末に正式発表が予定されているフェラーリのSUV「プロサングエ」。フェラーリから初めて登場するSUVにはどんなエンジンが搭載されるのか? どれほどの出力を発揮するのか? 自動車評論家 西川 淳氏がそのパフォーマンスを予想する。
文/西川 淳、写真/FERRARI、LAMBORGHINI、ASTONMARTIN、JEEP、LANDROVER、PORSCHE、TOYOTA
■SUVとは明言してはいないのだが……
その昔、高性能なカタチのイメージといえば、下からセダン→2ドアセダン→クーペ→ミドシップクーペの順となり、その頂点にマルチシリンダーエンジンをミドに搭載するスーパーカーが存在していた。
セダンが最もポピュラーなファミリィカーであった時代のそれはヒエラルキーだった。
翻って今の時代、セダンは決して最も広がった裾野ではない。むしろ特定分野にのみ存在する絶滅危惧種だ。
そのいっぽうで多くのユーザーがSUVスタイルを好んで手に入れている。だからメーカーも以前のセダンに代わる存在としてSUVを企画し、それをベースに付加価値を高めてきた。
ラグジュアリーブランドが軒並み収益力の高いSUVをリリースし、スーパーカーブランドまでが追従する。セダンの時代とそれは同じ方程式というべきだろう。
ランボルギーニのウルスはSUVのウラカン級だと言えるし、アストンマーティンDBXはDB11だろう。
そしてついにフェラーリまでもがSUVスタイルをリリースする時がきた。
マラネッロは今年末に発表する「プロサングエ」という名のモデルをSUVであるとはひと言も言っていないが、明かされたティザーイメージでは明らかに「背が高い」。
これまでのカテゴライズにとらわれないまったく新しいモデルであることをアピールしたいというわけだが、クロスオーバーモデルであることには違いない。それもとびきり高性能な……。
■ライバルモデルのスペックからプロサングエのパフォーマンスを予想
果たしてプロサングエはどんなパフォーマンスのモデルになるのだろうか。希望的な観測も交えて想像してみよう。
プロサングエの性能を予想するにあたっては、ライバル車のスペックを先に検討しておくことが手っ取り早い。
フェラーリがまったく新しいスポーツモデルをリリースするという噂が立ち、それが本決まりになってきた昨今、例えばSUV市場で先行するアストンマーティンはDBXの最高出力を707hpに上げたスペシャルグレードを用意した。
アストン期待の次世代ミドシップカー、ヴァルハラ用のM178LS2エンジンを積んできたあたり、プロサングエに話題を取られる前にアピールしておきたかったというわけだろう。
ランボルギーニウルスも今年マイナーチェンジ(フェイスリフト)を予定している。
おそらくスタンダードモデルは現在の650psを少し引き上げたV8ツインターボを搭載するだろう。そして2023年には待望のプラグインハイブリッドパワートレーンを積む。
姉妹モデルとなるポルシェカイエンターボS Eハイブリッドがすでに681psを出しているから、ウルス用としてはこれを700psオーバーにチューンして少なくともDBX707を上回るスペックとなるに違いない(重量増も考慮しなくてはならない)。
さらに史上最強のSUVとして忘れてはならないのが、先代グランドチェロキーのトラックホークで710psを誇っていた。
このあたりの数値が、プロサングエのパフォーマンススペックの下限となってくるのではないか。問題はパワートレーンだ。
コメント
コメントの使い方