間もなく11月27日に発売予定のレクサスUXは、トヨタ C-HRと基本骨格を同一とするモデル。言わば“レクサス版C-HR”といった存在だ。
このように、レクサスやアウディなどの上級ブランドは、トヨタやフォルクスワーゲン(VW)車をベースに車両を開発することが多い。内容はさまざまで、プラットフォームが共通でもホイールベースが違うこともあるが、何らかの共通点を見い出せる。
一方で、少なくともショックアブソーバーなど足まわりの設定と、内装の作りは違う。乗り心地と質感は、上級ブランドの大切な表現になるからだ。
ランクルとレクサスLXやVWゴルフとアウディA3など、大衆車をベースとする高級車は、価格に見合った価値があるのか?
文:渡辺陽一郎
写真:編集部、TOYOTA、NISSAN
ランクルベースで1000万円超! レクサスLXは割高?
まずはオフロードSUVのランドクルーザーとレクサスLX570を比べる。
プラットフォームは2850mmのホイールベースを含めて共通だが、足まわりの設定は違う。デザインについては、外観とインパネの形状は異なるが、車内の広さと前後席のシート間隔はほぼ同じだ。いわゆる「居住性」に違いはない。
エンジンはランドクルーザーがV型8気筒4.6Lで、LX570は排気量を5.7Lに拡大した3UR-FE型だ。後者は国産乗用車では最大の排気量になる。
ランドクルーザーの動力性能は最高出力が318馬力、最大トルクは46.9kgm。LX570は377馬力・54.5kgmとした。
試乗すると、LX570のほうがパワフルでスムーズだ。車両重量は2.7トン前後に達するが、力不足は感じない。静粛性もLX570の方が優れる。
乗り心地もLX570が良好だ。ランドクルーザーは路面からの振動が床に伝わりやすいが、LX570には柔軟性が伴う。
そして、LX570にはエコ/コンフォート/スポーツSなど舗装路での走りを変化させる「ドライブモードセレクト」と、ロックやモーグルといった悪路の走行パターンを選べる「マルチテレインセレクト」を標準装着した。このほかSDナビなども備わる。
価格はランドクルーザーで最も高額になる「ZX」が684万7200円で、LX570は1115万円だ。差額は約430万円に達する。
ランドクルーザーにはカーナビやパワーバックドアなどが標準装着されず、装備の違いを価格に置き換えると約120万円だ。エンジン排気量の価格換算は、同系列であれば100cc当たり2万円が相場だから、1.1Lの違いであれば22万円と考えられる。内装の質の違いは価格に換算しにくいが、多めに見積って50万円とする。足まわりなど、乗り心地を向上させた対価も50万円だ。
これらを合計すると242万円で、車両価格はLX570がランドクルーザー ZXに比べて前述のように約430万円高い。そうなるとLX570は、約188万円割高という計算が成り立つ。LX570の価格は、927万円くらいが適正だろう。
また、LX570は悪路走破力を高めるメカニズムを充実させたが、LED照明の付いたサイドステップなど、ボディに装着される装飾が多い。このような外観で、果たして悪路を走りたい気分になれるのか、という矛盾もある。
LX570はランドクルーザーに比べると多分に情緒的で、理屈では割り切れないところが多いのだ。
◆評価/ランドクルーザーが買い得
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