物流の2024年問題への布石!? 厚生労働省が荷主や運送事業者向けの相談センターを開設

物流の2024年問題への布石!? 厚生労働省が荷主や運送事業者向けの相談センターを開設

 昨今、トラック運送業界で取りざたされることの多くなった「物流の2024年問題」とは、2024年4月1日に施行される「時間外労働の上限規制」等の働き方改革関連法によって起きるであろう諸問題のこと。

 トラック業界は、トラックドライバーの「時間外労働」によって支えられている部分が大きいので、特に長距離輸送などでは物が運べなくなる懸念があり、運送事業者の売り上げの減少、ひいてはトラックドライバーの収入減少につながる可能性もある。

 この時間外労働をはじめドライバーの長時間労働に関しては、運転時間の計算の仕方をはじめ、どう規制を守ったらいいのか、なかなかむずかしい面があるが、それに答えようと、厚生労働省が「相談センター」を設けた。以下、その概要をお伝えする。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

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長時間労働改善のための相談窓口

 厚生労働省は、2022年8月1日、荷主企業や運送事業者の相談に電話とオンラインで対応する「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を開設した。

 トラック運転者の長時間労働改善に向けて、荷主企業からの作業環境改善に関する相談や、運送事業者からの労務管理上の改善や作業環境の改善に関する相談に対応する。また、利用者の希望に応じて、オンライン相談や現地での訪問支援を無料で実施する。

 2024年4月から、トラック運転者にも時間外労働の上限規制が適用される。これにより、トラック運転者の時間外労働の上限は「年間960時間」となり、従来通りの働き方ではトラックを動かせない。

 これにより物の動きが停滞する「物流の2024年問題」が現実的な危機となっている。

トラック運転者の改善基準告示も内容見直しへ

 また、トラック運転者には「改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)という、運転時間等に関する決まりがある。拘束時間や時間外労働、「430」休憩(4時間運転したら30分休憩)などのルールを定めたものだ。

 この改善基準告示は2024年4月から新しくなる予定であり、その内容が厚生労働省の委員会で現在検討されている。

 いずれにしてもトラックドライバーの長時間労働を改善する必要があり、そのためには荷主と運送事業者が協力して取引環境・労働環境の改善を図っていくことが求められている。

 相談センターでは、「ドライバーの時間外労働の上限規制では、何から手をつけたらいい?」とか「荷主が取り組むべきことは?」「荷待ち時間の削減をどう進めればいい?」といった相談を受け付けるという。

 なお、相談する前に2024年4月以降の時間外労働(年間960時間が上限)や、現在の改善基準告示など、最低限のことは理解しておく必要がある。

入職者はおよそ10万人の減少

 いっぽうで、同省が8月31日に発表した令和3年(2021年)の雇用動向調査では、「運輸・郵便業」の入職者数が前年比で9万7800人の減少となった。

 これは全16業種中で最大の減少幅で、2番目に大きい「宿泊業・飲食サービス業」の4万7700人の2倍以上という大幅な減少だ。

 離職者数も前年より6万100人減っているとはいえ、およそ10万人の入職減を補うことはできなかった。全体としてみても入職者数は36万900人、離職者数は36万1700人となり、物流の担い手は増えるどころかむしろ減ってしまった。

 2024年問題を前にして、実情は非常に厳しいと言わざるを得ない。担い手をすぐに増やすのが難しい以上、作業の効率化と労働環境の改善を並行して進める必要がある。そのためには荷主と運送事業者の協力が不可欠だ。

 中小企業が多い運送業では改善する意思はあっても、どこから手をつけていいかわからないということも多い。また、荷主企業が運送事業者の実態をよく理解していないこともある。

 双方からの相談を無料で受け付ける「相談センター」が、トラックドライバーの長時間労働改善の一助となることを期待したい。

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