新型モデルが登場してから1年後など、販売の勢いが一段落したときに登場するのが特別仕様車だ。ベースとなるカタログモデルに、人気のメーカーオプションや上級グレードの装備を盛り込み、割安で販売を行う。
特別仕様車は、装備が充実していて安価であることから、ユーザーメリットが大きく、さらに販売店としても新型車に近いカタチでプロモーションでき、販売効率が高い。
カタログモデルと特別仕様車、ディーラーでの販売方法に違いがあるのだろうか。それぞれの売れ行きなどにも触れながら、ディーラーと特別仕様車の関係性を深堀していこう。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■ディーラーにおける特別仕様車の存在感
ある程度の販売実績があるクルマであれば、特別仕様車が設定される。長期間、改良の手が加えられなかったり、新型発表当時から販売台数が大きく右肩下がりになってきたりすると、販売の起爆剤として投入されるのが特別仕様車だ。
モデル末期のクルマや、長期的に改良等の変化が無く、市場の注目から外れてしまった(営業マンも存在を忘れかけている)クルマが、特別仕様車になって甦る例も少なくはない。特別仕様車の設定は、「改良までは出来ないけど、再び注目を集めてちょうだい!」というメーカーの気持ちが入っているだろう。
ベースモデルとは違い、「特別」かつ「不定期」に設定されるのが特別仕様車なのだが、中には登場を確約され、ユーザーが待ち焦がれているものもある。
例えば、アルファードの「S TYPE GOLD」(ヴェルファイアの「GOLDEN EYES」)やヴォクシーの「煌」がいい例だ。こうした特別仕様車には根強いファンがいて、新型車が出てもしばらく様子をみて、特別仕様車が出てくるタイミングで買い替えるというユーザーもいる。
人気があり認知度の高い特別仕様車への問い合わせは多く、アルファード・ヴェルファイア、ヴォクシーなどでは、新型モデル登場と同時に「タイプゴールドは?煌はいつでるの?」と、気の早い質問が多く飛び出す。
毎度名称や形式を変更する特別仕様車が多い中で、特別仕様をあえて定番のカタチにしてしまうメーカーの戦略もすごい。過去には三菱やスズキが、スポーツブランドとのコラボを行い、定期的に特別仕様車を出していた。こうした取り組みは、ブランドを形成し、ファン構築に大きな役割を果たしている。
特別仕様車は、販売を担当するディーラーにとって、存在を思い出す栞のような存在であり、販売状況を大きく好転させる可能性を持つもの。文字通りの特別なクルマなのだ。
コメント
コメントの使い方双方に利益がなければ、二度と特別仕様車なんて出せないでしょうね。