トヨタが燃料電池モジュールをインド商用車メーカーにテスト供給! 果たして大型FCEVトラック製造は実現するのか?

トヨタが燃料電池モジュールをインド商用車メーカーにテスト供給! 果たして大型FCEVトラック製造は実現するのか?

 トヨタ自動車のインド現地法人トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)は1月5日、インドの大手商用車メーカー・アショクレイランドに対し、燃料電池(FC)モジュール1基を供給すると発表した。アショクレイランドでは、トヨタFCモジュールを用いた商用車ベースの燃料電池車(FCEV)を試作し、そのフィージビリティスタディ(実現可能性の検証)を実施する。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/トヨタ自動車、アショクレイランド、「フルロード」編集部

水素社会実現で調達拡大も期待

トヨタFCモジュール・縦型のタイプI。トヨタ・キルロスカのプレスリリースでは、この写真を掲載していることから、アショクレイランドへ供給するのもタイプIの可能性がある。なお、トヨタが日野と共同開発している国内向け大型FCEVトラックも、タイプIを搭載している
トヨタFCモジュール・縦型のタイプI。トヨタ・キルロスカのプレスリリースでは、この写真を掲載していることから、アショクレイランドへ供給するのもタイプIの可能性がある。なお、トヨタが日野と共同開発している国内向け大型FCEVトラックも、タイプIを搭載している

 トヨタは、水素社会の実現を推進すべく、燃料電池(FC)をさまざまな用途・分野で活用できるようにした「FCモジュール」を開発、2021年に製品化した。具体的には、FC本体である燃料電池スタックに、水素・空気を供給する補機類と電力の制御システムを組みつけて、パッケージ化したものである。

 パッケージ化によって、トラックやバスはもちろん、重量物輸送、鉄道、航空、船舶、フォークリフト、重工業での生産活動など、CO2排出抑制が難しいとされるジャンルにおけるFCの利用拡大を図っている。その供給も、トヨタ自らサプライヤとして、世界の自動車メーカーや輸送機器・産業機械メーカーなどを対象に販売しており、今回のアショクレイランドに対する供給もその一環だ。

 トヨタがアショクレイランドに供給するFCモジュールは、試作車用の1基のみ。とはいえ、インド政府が22年3月に、水素社会実現に向けたロードマップ「国家水素ミッション (NHM)」を策定しているため、将来は供給量拡大やライセンス供与などが期待できるのかもしれない。

 TKMの広報責任者・Sudeep S.Dalviバイスプレジデントは、「私たちは、アショクレイランドのFCEV商用車の製作・試験とフィージビリティスタディに対し、FCモジュールを供給できることを非常に嬉しく思います。排気ガスとCO2の排出量削減は、トヨタにとって常に重要であり、国家目標であるエネルギー自立にも貢献できるよう取り組んでいます。トヨタは、自然と共生できる水素社会を実現すべく、水素利用を促進してまいります」と述べた。

 また、アショクレイランドの技術責任者・N.Saravanan博士は、「アショクレイランドは、TKMとのコラボレーションによって、世界的に有名かつ実績がある先進的なFCモジュール・システムをインドの商用車セクターへ導入できることに興奮しています。アショクレイランドの革新的で差別化された製品がもたらした実績と、トヨタの燃料電池における技術的リーダーシップを組み合わせることで、人と物資の両方の輸送を脱炭素化するためのプロト検討とフィージビリティスタディが実施できるという、大きなチャンスが創出されたのです」とコメントしている。

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